歯が生えてない時は当然歯みがきの必要はありませんが、この時期に歯みがきの準備は始まっています。この時期には、口のまわりや口の中を触られるのに慣れておくことが大切です。
最初は口のまわりを優しくさわってあげて、慣れてきたら口の中をきれいな指で軽くふれたりします。指で触られるのに慣れてくれば、歯が生えてきた時にガーゼみがきや歯ブラシがしやすくなります。
最初に生えてくる歯は下の前歯のことが多いですが、下の前歯はむし歯になりにくいところなので、歯が生えたからと、すぐ歯ブラシでしっかりみがく必要はないです。
まず、親が座ってそこに子供を寝かせて、しゃべったり、顔や口のまわりを優しくさわって、お互いリラックスしてから、ガーゼや綿棒で歯をみがいてあげます。
そして慣れてきたら少しずつ歯ブラシを使い始めますが、まずは歯ブラシのふんい気に慣れることが大事です。
この時期の歯みがきの姿勢は、「寝かせみがき」と言って、お母さんのひざの上に子供さんをあお向けにしてみがきます。
▲寝かせみがき
子供さんの頭が親のお腹につくようにすると自然に首がそり、お口の中が見えやすくなります。頭も固定されみがきやすくなります。(ひざのあたりに頭があると見えにくいです。)
下の前歯に続いて上の前歯が生えてきますが、上の前歯は下の前歯よりむし歯になりやすいので、歯磨きの必要性が高くなります。上の前歯4本が生える頃は、ガーゼだけでなくて、歯ブラシでのケアも始めてみて下さい。
また、上くちびるの裏側にある上唇小帯(じょうしんしょうたい)というひもみたいなものがありますが、ここを歯ブラシでみがくと痛みますので、子供さんが「歯みがき嫌い」になってしまいます。
みがく時には、左手の人差し指を横にして上唇小帯の上に乗せ、歯ブラシが当たらないようにして下さい。歯ブラシを歯に当て、横に小きざみに震わせるようにして、少しずつ移動させます。
力を入れすぎると、かえって汚れが落ちにくくなります。
▲上唇小帯(じょうしんしょうたい)
裏側も表側と同じように小きざみに行います。寝ながら授乳してる子供さんの場合は上の前歯の裏側に母乳が残ってしまって、むし歯の原因になることがありますので、卒乳するまではていねいにみがいてください。
歯と歯の間にすき間のない子供さんは糸ようじ(デンタルフロス)も使うとなお良いです。
乳歯の奥歯が生えるころに、子供さんが「寝かせみがき」を嫌がるようになったら、立った状態で、後ろから子供さんのアゴを利き腕でない方の腕でささえて、顔を少し上向きにしてみがく「立たせ後ろみがき」でみがくのが良いです。
▲立たせ後ろみがき
「寝かせみがき」や「立たせ後ろみがき」での歯みがきではうがいがしにくいので、歯みがき粉を付けると飲み込んでしまったり、むせたりして子供さんに嫌がられます。
子どもの歯みがきの目標は歯の表面をきれいにすることなので、歯みがき粉はつけなくても大丈夫です。いつでもどこでもみがけるようにするためにも、歯みがき粉はこの時期はなくてもいいです。
3〜4才になると、子どもの手指の運動能力も高まるので、自分である程度はみがけるようになります。まず子供さんにみがかせてその後で親御さんが仕上げみがきをすれば良いです。
子供さんの歯をみがくのに最も効果的なのはスクラッビング法(ゴシゴシみがき)と言われています。あまり強くない力で、シャカシャカ・シュッシュといった音がでる感じで横方向に少しずつみがいていきます。みがく順番を決めるとみがき残しが出ないようになります。
なお、歯ブラシは毛先が歯の表面に直角に当たっていないと、みがきの効果があがりにくいですので、歯ブラシの毛が斜めになったりしないようにしてください。
また、歯の間は歯ブラシだけでは汚れが取れませんので、糸ようじ(デンタルフロス)を使います。
歯みがきをするタイミングですが、毎食後とおやつの後の歯みがきが理想的ですが、忙しいとなかなか難しいです。
そこで、一番ゆっくりした時間が持てる就寝前にていねいに歯みがきをするのが良いです。
むし歯に最もなりやすいのは夜寝てる時なので、寝てる間は歯がきれいな状態が保て、むし歯予防にはすごく有効です。朝ごはんや昼ごはんの後は忙しくない範囲で行って下さい。
6才臼歯という名前の永久歯が最初に奥歯に生えてきます。歯は生えた直後が最もむし歯になりやすいです。特に6才臼歯は生える場所が口の中の一番奥なので、とてもみがきにくく、歯ブラシできれいにするのが難しいです。さらにかみ合わせの面が複雑な形をしていて他のどの歯よりもむし歯になる率が高いです。かみ合わせの面をかき出すように歯ブラシを当てて下さい。
子供さんも6才くらいになれば、歯みがきも自分で出来るようになりますが、きれいにみがくのはなかなか難しいです。
そこで、始めのうちは親御さんが確認したり手伝ってあげて下さい。毛先が届きにくい時は、6歳臼歯だけをみがくように、歯ブラシを前からでなく、横から入れてみがいて下さい。
歯の間の汚れは歯ブラシだけでは取れないので、糸ようじ(デンタルフロス)を使って、時々みがいてください。
子供さんが自分で歯をみがく時は、既述のスクラッビング法がよごれを取るのに最も効果的です。
ちなみに歯ブラシでしっかりみがけば歯の普通の表面はきれいになりますが、6才臼歯のかみ合わせの面の細かい溝の汚れを完全に取るのは難しいです。生えたばかりの6才臼歯にはフッ素を塗ったり、細かい溝を埋めるシーラントという予防処置も行うことが望ましいです。
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