今回は「インプラントのメリット ・デメリット」などについて書いていきたいと思います。
インプラントのメリット
歯のインプラント治療は歯の被せ物、入れ歯と違って、元々の自分の歯に近い機能や審美生(見た目の良さ)を保つことができます。また、基本的にはインプラントを入れる部分以外に負担がかかることはありません。
1. 自然な見た目と機能
インプラントは、天然の歯に非常に近い見た目と機能を提供します。人工歯は色や形が周囲の歯と調和するように作られ、見た目が自然で目立たないため、笑顔にも自信が持てます。また、インプラントは顎の骨にしっかりと固定されるため、食べ物を噛む力が元の歯とほぼ同じように回復します。
- 咀嚼力の回復、審美的な改善、発音の改善
2. 周囲の健康な歯への影響が少ない
インプラントは、失われた歯の部分にのみ行う治療のため、隣接する健康な歯を削る必要がありません。ブリッジの場合は、両隣の歯を削って支台とする必要がありますが、インプラントではその必要がないため、周囲の歯の寿命を保つことができます。
- 健康な歯を保護できる
3. 顎の骨の保持
歯が失われると、その部分の顎の骨は次第に吸収されて薄くなることがあります。しかし、インプラントは顎の骨に直接埋め込まれるため、噛む力が骨に伝わり、骨の吸収を防ぐ効果があります。これにより、顎の骨の量を保つことができ、顔の輪郭が維持されるという長期的なメリットもあります。
- 骨の維持、老け顔の防止
4. 安定性が高い
インプラントは顎の骨としっかり結合するため、入れ歯のようにズレたり外れたりする心配がありません。特に、食事中や会話中に不安を感じることが少なく、安定感のある装着感が得られます。
- しっかりと固定され、自然な使用感
インプラントのデメリット
歯のインプラントは顎の骨に歯の根っこの代わりとなるもの(=インプラント体)を埋め込むので、そのための手術が必要となります。その手術や侵襲(=生体内部へ刺激を与える・傷を与えること)のために、顎の骨の骨量が減ったり、骨の質に影響が出ることがあります。また手術からケア期間を考慮すると当然ですが治療期間は長くなります。加えて、歯のインプラントは保険がきかないので治療費が高額となります。
1. 費用が高い
インプラント治療は、他の治療法と比べて高額になる傾向があります。手術や人工歯の材料、技術力の高さが必要なため、保険が適用されない場合は費用がかなりかかることがあります。また、顎の骨が不足している場合には、骨移植などの追加手術が必要になり、さらにコストが上がることもあります。
- 費用が高額、追加手術が必要な場合がある
2. 治療期間が長い
インプラント治療は、通常の歯科治療に比べて時間がかかります。歯根を埋め込む手術後、インプラントが骨と結合するためには数ヶ月の治癒期間が必要です。さらに、その後人工歯を取り付けるため、トータルの治療期間は6ヶ月以上かかることもあります。
- 長期にわたる治療が必要
3. 手術のリスクがある
インプラントは外科手術を伴う治療であるため、麻酔や感染、神経損傷などのリスクが伴います。特に、下顎のインプラント手術では、顎の神経に近い位置で手術が行われるため、神経損傷によるしびれや痛みが生じる可能性があります。また、手術後のケアを怠ると、インプラント周囲炎という感染症が発生するリスクもあります。
4. すべての人に適しているわけではない
インプラント治療は、すべての患者さんに適しているわけではありません。顎の骨の量が不足している場合や、糖尿病などの持病がある場合、治癒力が低いため、インプラントがうまく定着しないことがあります。また、歯ぎしりが激しい人は、インプラントが破損するリスクがあるため、事前に歯科医と十分な相談が必要です。
歯のインプラント治療には以上のようなデメリットもあるので、「どの歯科医院でやってもらうか」というのはとても重要です。
歯のインプラント治療が受けられない人
18歳未満の方
成長途中の子供には基本的には歯のインプラント治療は行いません。なぜなら、現在の歯のインプラントは顎の骨に埋め込むと顎の骨と結合します。そのため、顎骨の発育に伴って顎の骨の中に埋まっていってしまうからです。危険ですよね。
一般に女性は18歳、男性は20歳くらいになると骨の成長が止まると言われています。そのため歯のインプラント治療を始めるのであればそれ以降が良いでしょう。現在歯のインプラント治療は、歯がなくなりやすい40歳後半〜60歳代が中心となっています。高齢者でも手術を受けられるような健康な方であればインプラント治療を受けることが可能です。
全身疾患のある方
心疾患などで症状が重い方・状態の安定していない方、糖尿病の方などは歯のインプラント治療を受けるのは難しいでしょう。糖尿病にかかっていると、手術後の傷の治りが悪く術後感染のリスクが高いからです。そのため血糖値がコントロールされていない場合、コントロールされるまで治療は延期する必要があります。
そのほか骨粗鬆症(=骨密度が低くなる)は、インプラントを支える骨の硬さが十分でないことが考えられるためリスクはあります。しかし顎の骨に埋め込むインプラント体の埋め方や、インプラント体の種類を選ぶことによって対応が可能です。
加えて骨粗鬆書の治療薬としてビスフォスフォネート製剤を使用している場合は注意が必要です。ビスフォスフォネート製剤を使用していない方に比べて、手術後に顎の骨が壊死するリスクが高いからです。しかしビスフォスフォネート製剤<の種類を変えたり、期間を調整することによっては歯のインプラント治療が可能になります。歯科医師と、骨粗鬆症の方の主治医双方に相談することが必須です。
金属アレルギーのある方
歯のインプラント治療にはさまざまな金属が使われます。顎の骨に金属のインプラント体を埋め込むわけですから、金属に対してアレルギーがあれば大変なこと。あらかじめパッチテストなど検査を受けておくと安心でしょう。
喫煙をされている方
喫煙は歯科に限らず、全身においても良い影響はありません。もちろん喫煙者の方もわかった上で喫煙しているとは思います。喫煙をすると全身の血液の流れが悪くなります。そのため喫煙は、手術後に傷の治りが遅くなる原因となります。そのため歯のインプラント治療期間中、また治療終了後でも喫煙は悪影響を及ぼすため禁煙を続けていく必要がありますね。
インプラントのメリット ・デメリットに関するQ&A
インプラント治療は、自然な歯の機能や見た目を保つことができ、また他の歯に負担をかけることが少ないのが主なメリットです。
成長途中の子供は顎骨がまだ成長しているため、インプラントが顎の骨と結合し、顎骨の成長に伴って顎の骨の中に埋まってしまう可能性があるからです。
重い心疾患や糖尿病等の全身疾患を持つ人は、手術後の傷の治りが遅れ、感染リスクが高まるため、インプラント治療は難しいとされています。
インプラントのメリット・デメリットまとめ
インプラントに限らず、どの治療においてもメリットがあれば必ずデメリットもあります。デメリットまで理解した上で、治療を受けるか決めましょう。