今回は「歯周病予防にガムは効くのか」について書いていきたいと思います。
▼歯周病の原因・症状・歯肉炎との違いについてはこちらでまとめています。
https://matsumoto.or.jp/toothteeth/toothbrushing-pain/
歯周病予防のためのガムの効果
1. 唾液の分泌を促進させる
ガムを噛むことによって、唾液の分泌が促進されます。唾液には自浄作用があり、口腔内の細菌や食べカスを洗い流す効果があります。唾液にはまた、酸を中和する働きがあるため、口腔内の酸性度を調整し、歯や歯茎の健康を保つことに寄与します。この唾液の作用によって、歯周病を引き起こす細菌の繁殖を抑制する効果が期待されます。
2. キシリトールガムの効果
歯周病予防に特に効果が期待されるのは、キシリトールを含むガムです。キシリトールは、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の活動を抑制し、さらに歯垢(プラーク)の形成を防ぐ効果があります。キシリトールは、歯の再石灰化を促進する作用もあるため、歯周病予防にも有効とされています。定期的にキシリトールガムを噛むことで、歯周病のリスクを軽減する効果が期待できます。
3. 口腔内を清潔に保つ
ガムを噛むことで口腔内が活発に動くため、歯や歯茎に付着した食べカスが除去されやすくなります。これにより、歯垢や歯石の形成を防ぐ一助となり、歯周病予防につながります。ただし、ガムだけで歯垢や歯石を完全に除去することは難しいため、あくまで補助的な役割として考える必要があります。
4. 歯茎のマッサージ効果
ガムを噛むことで、歯茎への適度な刺激が加わり、血行が促進されます。血行が良くなることで、歯茎の健康を保つ効果が期待でき、歯周病の予防に繋がります。しかし、噛みすぎると顎への負担がかかるため、適度な時間のガム噛みが推奨されます。
5. 注意点
ガムを選ぶ際には、糖分が含まれていない無糖ガムを選ぶことが重要です。砂糖を含むガムは、むしろ虫歯や歯周病の原因となる可能性があるため、キシリトールや他の甘味料が使用されている無糖ガムを選ぶと良いでしょう。また、ガムの噛みすぎは顎に負担をかけるため、適度な時間に留めることが大切です。
### 結論
ガムは、正しく使用すれば唾液の分泌促進や歯垢の除去、歯茎のマッサージ効果などにより、歯周病予防に役立ちます。特に、キシリトールを含むガムが推奨されますが、ガムだけに頼らず、日々の歯磨きや歯科での定期的なチェックも重要です。
歯周病予防に「ガム」はおすすめ
歯周病の予防に「ガム」を噛むことは効果的であると言われています。
歯周病予防にガムをおすすめする理由
ガムに限らず、ものを噛むと唾液が多く出ます。先述の通り唾液には様々な効果があり、抗菌作用や細菌などを洗い流す作用は歯周病予防に効果的です。1日1〜3粒程度を目安にガムを噛むと良いでしょう。
ただし歯周病の主な原因は歯垢(プラーク)。歯垢(プラーク)は粘着質で、歯にくっついています。唾液は細菌を洗い流すことはできますが、歯垢(プラーク)を落とすことはできません。
そのため歯磨きを行うことは大前提で、あくまでガムはそれを手助けするもの。言うならばガムを噛まなくても歯磨きをしっかり行い、治療を受けていれば歯周病の予防は十分にできます。「ガムを噛めば歯周病予防になる」という考え方は間違いです。
加えて、ガムを頻繁に噛みすぎると歯を支えている骨に過度な負担がかかることも。「歯周病予防」ではなく「すでに歯周病になっている方」は特に注意が必要。歯を支えている骨がすでに弱っている可能性があるためです。適切な量を守って取り入れていきましょう。
歯周病予防ガムのおすすめ・選び方
GOOD
BAD
✔︎酸性の成分が含まれているもの
キシリトールは砂糖と同じくらいの甘さを持っています。それでいて虫歯の原因にはならず、むしろ虫歯を防ぐという有能な成分です。これが含まれているガムを噛むことは、虫歯・歯周病の予防に効果的であると言えます。
逆に糖類が含まれているガムは、言わずもがな虫歯の原因となり得ます。ガムは長時間お口の中に入れておくものなので、歯や歯茎と接触している時間が長いです。それに糖類が含まれていれば、虫歯の原因となることは想像に易いでしょう。ガムを噛んでいたら虫歯になってしまった・・・ということもあり得ます。
酸性の成分が含まれているガム(クエン酸や果汁入りなど)は、酸により歯の表面のエナメル質が溶ける可能性があります。これは虫歯の初期段階と同じ状態。酸性度にもよりますが、虫歯や歯周病予防のためにガムを噛むというのであれば、これらも避けるべきでしょう。
「ものを噛むこと」の重要性
ものを噛むことで多く出る唾液には、さまざまな効果があります。①ものを噛む=唾液が出る
②ものを噛む=脳を活発にさせる
③ものを噛む=ダイエット効果が得られる
①ものを噛む=唾液が出る
ものを噛むと唾液が多く出ますよね。この唾液にはさまざまな効果があります。
✔︎唾液に含まれる酵素により消化を助ける
✔︎食べ物をまとめ、飲み込みやすくする
✔︎抗菌作用により細菌・ウイルスから身体を守る
✔︎歯を再石灰化させ、バリアを張って守る
✔︎口の中を中性に保つ(酸性だと虫歯になりやすくなる)
これらは唾液のごく一部の作用。綺麗なものではないと敬遠されがちな唾液ですが、実は私たちを守っている重要なものなのです。このような素晴らしい働きをする唾液は、ものを噛むとより出やすくなります。
②ものを噛む=脳を活発にさせる
ものを噛むと、脳に血液が送り込まれ、また筋肉を通じて脳に刺激が伝わります。これらにより脳が活性化し、記憶力や認識力、判断力、集中力が高まると言われています。これは認知症の予防にも繋がるとされ、ご高齢の方ほどよく噛むよう言われているのはこのためです。
③ものを噛む=ダイエット効果が得られる
食べ物をよく噛むと唾液が多く出て、血糖値が上昇します。これにより満腹中枢が刺激されます。
満腹中枢とは
脳の視床下部にあり、摂食行動を調整する中枢神経。食欲を抑える摂食中枢と合わせて食欲中枢と呼ばれます。満腹中枢は血糖値の上昇によって刺激され、食欲を抑制します。食事をゆっくりと食べると、満腹中枢が刺激されやすく、食べすぎを抑えることができます。
引用 日本健康倶楽部
ものをよく噛むことにより満腹中枢が刺激される=食べすぎを防ぐことができるということ。さらにものを噛むことにより顔の筋肉も鍛えられ、しわなどの予防にも効果があるとされています。
口臭を防ぐために食事を抜くのは間違い
口臭などを気にして食事を抜く時、ありませんか?
たまにこのような方を見かけますが、これは間違い。確かにニンニクなどにおいの強いものを食べれば口臭に繋がりますが、普通のご飯やおかずといった食事はむしろ食べることで口臭を防ぎます。
というのも、噛むことで唾液が多く出るから。それによりお口の中が潤いますよね。食事を取っていないことで空腹の状態だったり、それによるお口の中の乾燥は、口臭の原因となっています。
▼口臭の原因・内臓との関連についてはこちらでまとめています。
https://matsumoto.or.jp/toothteeth/breath-sign/
歯周病予防にガムは効果的に関するQ&A
ガムを噛むと唾液の分泌が増え、唾液には抗菌作用や細菌などを洗い流す作用があります。これらが歯周病予防に効果的とされています。しかし、歯周病の主な原因は歯垢(プラーク)であり、これを落とすには適切な歯磨きが必要です。また、ガムの噛みすぎは歯に過度な負担を与え、歯面が擦り減って知覚過敏を起こすことがあるので注意が必要です。
キシリトールが含まれているガムが推奨されます。キシリトールは砂糖と同じ甘さを持ちつつ、虫歯予防にも役立ちます。一方で、糖類が含まれているガムや酸性の成分が含まれているガムは避けるべきです。
唾液は口の中を潤し、食べ物から口内の粘膜を保護します。また、唾液に含まれる酵素は消化を助け、食べ物をまとめて飲み込みやすくします。さらに、抗菌作用により細菌やウイルスから体を守り、歯を再石灰化して保護し、口の中を中性に保ちます。
まとめ
ガムを噛むことは歯周病の予防に効果的ですが、その主目的は唾液の分泌を促進し、その抗菌作用や細菌を洗い流す作用を活用することです。歯周病の主な原因である歯垢を取り除くには適切な歯磨きが必須で、ガムはその補助的な役割を果たします。ガムを選ぶ際は、キシリトールが含まれており、糖類や酸性の成分が含まれていないものが理想的です。
また、ものを噛むことは唾液分泌以外にも脳活性化やダイエット効果があるとされています。ただし、ガムを過度に噛むことは歯周病の既存の病状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。食事を抜くと口臭の原因になり得るので、定期的に食事をとることも推奨されます。