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歯の神経があるかないかで何が違う?

歯の神経があるかないかで何が違う?

歯の神経は歯の健康のために重要な役割を果たしています。しかし、虫歯や外傷などで歯の神経を抜くことが必要になる場合もあります。神経の役割、神経がある場合とない場合の違い、そして神経を抜く治療法などについてご説明します。

歯の神経の役割

歯の神経、または歯髄(しずい)は、歯の中心部に位置し、非常に重要な役割を果たしています。歯髄は血管や神経繊維、結合組織から成り立っており、その機能は多岐にわたります。歯の神経の主要な役割は以下のようなものです。

  1. 痛みの感知
  2. 栄養供給
  3. 成長と発育の促進
  4. 感覚の提供
  5. 免疫機能のサポート

1. 痛みの感知

歯の神経は痛みを感知するセンサーの役割を果たします。歯髄には多くの神経繊維が含まれており、これらの神経が虫歯の進行や外傷などの外部からの刺激を感知します。歯に痛みを感じることで問題が起こっていることを発見し、適切な対策や治療を行うことが可能になります。

2. 栄養供給

歯の神経は歯に栄養を供給する重要な役割があります。歯髄には毛細血管が豊富に存在し、これらの血管を通じて歯に酸素や栄養素が供給されます。これにより、歯の健康を維持することが出来ます。

3. 成長と発育の促進

特に乳歯や永久歯の発育において、歯の神経は重要な役割を果たします。歯の成長過程では、歯髄が歯のエナメル質や象牙質の形成を助け、健全な歯の発育を促します。神経が正常に機能することで、歯が適切な形と強度を持つようになります。

4. 感覚を伝える

歯の神経は、温度、圧力、痛みなどの感覚を伝える役割も果たします。例えば、冷たい飲み物を飲んだときや温かい食べ物を食べたときに、その温度を正確に感じることができるのは歯髄が健全に機能しているからです。この感覚は、口腔内の異常や危険を察知するためにも重要です。

5. 免疫機能のサポート

歯髄には免疫細胞も含まれており、外部からの感染に対する防御機能を持っています。これにより、歯が感染症に対して抵抗力を持ち、健康を維持することができます。

以上のように、歯の神経は単に痛みを感知するだけでなく、歯の健康維持、成長、修復、感覚、免疫機能など、広い範囲での重要な役割を担っています。歯の神経が健全であることは、お口の中を健康に保つために不可欠です。

歯の神経がある場合のメリット

歯の神経が正常に機能している場合、以下のようなメリットがあります。

  • 痛みの感知・・痛みを感じることで早期の問題発見が可能になり、虫歯や歯周病の早期治療ができます。
  • 自然な感覚・・温度変化や圧力を感じることができるため、食事や飲み物の温度を正確に感じることができます。
  • 歯の健康維持・・歯への栄養供給がスムーズに行われ、歯が健康に保たれます。

歯の神経がない場合のデメリット

一方で、歯の神経を失った場合には以下のようなデメリットがあります。

  • 痛みの感知能力の喪失・・痛みを感じないため虫歯やその他の問題が進行しても気付きにくく、発見が遅れることがあります。
  • 感覚の鈍化・・温度や圧力に対する感覚が鈍くなり、熱いものや冷たいものを正確に感じることができなくなります。
  • 歯の脆弱化・・神経がない歯は栄養供給が行われなくなるため、歯が脆くなったり、折れやすくなります。

歯の神経を抜く理由と治療法

歯の神経を抜く(抜髄)治療は、主に以下のような理由で行われます。

  • 深い虫歯・・虫歯が進行して神経まで達した場合(C3)、痛みを止めて感染を防ぐために神経を抜くことがあります。
  • 外傷・・外傷によって歯の神経が損傷した場合、痛みや感染を防ぐために抜髄が行われることがあります。
  • 重度の歯周病・・歯周病が進行して、神経にまで影響を及ぼした場合も同様です。

治療法としては、次のような手順で行われます。

  1. 診断・・レントゲンなどで歯と歯茎の内部の状態を確認します。
  2. 麻酔・・痛みを感じないように局所麻酔を行います。
  3. 神経の除去・・特殊な器具を使って神経を除去します。
  4. 消毒・・感染を防ぐために根管内を消毒します。
  5. 充填・・空になった根管に充填剤を詰めて密閉します。
  6. 被せ物の装着・・必要に応じて、歯を補強するためにクラウン(被せ物)を装着します。

抜髄の処置は歯科医師の経験と大変繊細な技術を必要とします。複数回の定期的な通院が必要になりますので、通院のスケジュールや回数についても歯科医師と良く相談しておきましょう。

神経の有無による日常生活への影響

歯の神経があるかないかは、日常生活にも影響を及ぼします。以下の点が考えられます。

  • 食事の楽しみ・・神経がある歯は、食べ物や飲み物の温度を正確に感じることができるため、食事をより楽しむことができます。
  • 健康管理・・神経があることで、歯の痛みや異常を早期に察知し、迅速な対応が可能です。
  • 歯の長寿命・・神経がある歯は栄養が供給され続けるため、歯が健康に保たれ、長持ちします。

歯の神経に関するQ&A

歯の神経を抜いた後、痛みは感じなくなるのですか?

はい、神経を抜いた後はその歯の痛みを感じなくなりますが、周囲の歯茎や他の歯に痛みを感じることがあります。

歯の神経を抜いた後のケアはどうすれば良いですか?

通常の歯磨きやフロスなどの口腔ケアを続けることが重要です。また、定期的に歯科医の診察を受けることが推奨されます。

歯の神経を抜いた後でも虫歯になることはありますか?

はい、神経を抜いた歯でも虫歯になる可能性がありますので、引き続き口腔ケアが必要です。

まとめ

歯の神経があるかないかは、実際には自覚されることはあまりないものの、歯の健康という面では大きな影響を及ぼします。天然歯を長く使っていくためには、歯の神経が果たす大きな役割を理解し、ケアを丁寧に行うことが重要です。特に神経を取った歯は脆くなることがありますので、硬すぎる食べ物は避けるようにしましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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