
ボロボロの歯を放置すると、見た目や機能に支障をきたすだけでなく、感染が広がることで歯や全身の健康にも悪影響を及ぼします。歯を放置するリスクや早期治療の重要性、歯医者への抵抗を軽減する方法についてご説明します。
目次
ボロボロの歯の主な特徴
虫歯が進行した状態
- 歯が黒ずんだり、穴が開いている。
- 神経にまで達した虫歯により、痛みや炎症を引き起こしていることが多い。
歯周病による歯のぐらつき
- 歯茎が腫れたり、赤くなっている。
- 歯周病の進行により、歯を支える骨が失われ、歯が動くようになっている。
破折や欠けた歯
- 外傷や過剰な噛み合わせの力により、歯が欠けたり折れたりしている。
- 詰め物や被せ物が取れて、歯の一部が欠損している場合も含む。
着色や汚れ
- 歯垢(プラーク)や歯石が長期間放置されて、歯が黄ばみや茶色に変色。
- 飲食物や喫煙の影響で汚れが取れない状態。
歯の欠損
- 虫歯や歯周病、外傷により歯が抜けたまま放置されている。
- 隣の歯や噛み合わせの歯が傾いている場合もある。
ボロボロの歯になる主な原因
- 不十分な歯磨き・・毎日の歯磨きが不適切で、歯垢や歯石が溜まりやすい環境を作っている。
- 歯科健診を受けていない・・定期的な健診を受けず、初期の問題を放置した結果、重症化している。
- 食生活の乱れ・・糖分の多い食品や酸性の飲み物を過剰に摂取している。
- 喫煙・・歯や歯茎の健康を損ない、回復力を低下させる。
- ストレスや夜間の歯ぎしり・・歯への負担が増加し、欠けたり割れたりする原因となる。
ボロボロの歯を早く治さなければいけない理由
早く治療を受けて治さなければいけない理由は以下のようなものです。
1. 感染のリスク
既に虫歯や歯周病がある程度進行している状態です。今後さらに進行すると歯の根や周囲の組織に感染が広がる可能性があります。感染が進むと、最終的には抜歯が必要になる場合もあります。
2. 痛みと不快感
痛みや不快感が既に生じていることが多く、日常生活に支障をきたしている場合があります。食事や会話が困難になり、生活の質が低下します。
3. 美容上の問題
ボロボロの歯は見た目にも悪影響を与えます。笑顔や会話の際に自信を失う原因となり、社会的な交流にも影響を与えることがあります。
4. 歯の機能の低下
歯は食物を噛むために重要な役割を果たしています。ボロボロの歯では食事を十分に噛むことができず、消化不良や栄養不足を引き起こすことがあります。
5. 他の歯への影響
ボロボロの歯を放置すると、周囲の健康な歯にも影響が及ぶ可能性があります。感染が広がったり、歯並びが悪くなることがあります。
6. 全身の健康への影響
口腔内の健康は全身の健康とも密接に関係しています。口腔内の感染が全身に広がり、心臓病や糖尿病のリスクを高めることがあるとされています。
以上の理由から、ボロボロの歯はなるべく早く治療する必要があります。歯を失うことを回避するためにも、早めに受診しましょう。
ひどい虫歯の治療は恥ずかしい?
男性・女性に関わらず、重度の虫歯を歯医者さんで見せるのは恥ずかしいと医院へ行くのを躊躇う方がおられます。しかし、放っておくと顎骨・副鼻腔・血液疾患など様々な種類の病気になるリスクが高くなるため、なるべく早く予約をして、通院しましょう。
ひどい虫歯の治療を恥ずかしいと思う必要がない理由
1. 歯医者は治療のプロであり、日常的に重度の症例を扱っている
歯科医師や歯科衛生士は、虫歯治療のプロフェッショナルです。ひどい虫歯の症例は日常的に見られるため、患者さんが考えるほど「特別なケース」ではありません。むしろ、早めに治療を始めることが患者さんの健康にとって最善です。どのような状態であっても、患者さんを批判することはありません。
2. 虫歯の進行はさまざまな理由で起こり得る
虫歯が進行する理由は、歯磨きが不十分だった場合だけではなく、以下のような多くの要因があります。
- 遺伝的な要因や歯質の弱さ
- 糖尿病や薬の副作用による唾液の減少
- 何らかの理由で急激に免疫が弱くなることがある
- 忙しさやストレスで健診を受ける余裕がなかった
- 過去の歯医者での嫌な経験
これらの背景があることを理解すれば、「自分が悪い」という気持ちは必要以上に抱かなくて良いと分かります。
3. 治療は生活の質を向上させる一歩
ひどい虫歯を放置すると、痛みだけでなく以下のような影響が出ることがあります:
- 食事がしにくくなる
- 話しにくくなる
- 口臭が気になる
治療を受けることでこれらの問題を解消し、生活の質を大きく向上させることができます。また、治療が終わると「もっと早く行けばよかった」と思う患者さんが多いのも事実です。
4. 歯医者は患者さんを助けるためにいる
歯科医院は、患者さんを助けるための場所です。痛みや不安を抱えた状態で通院するのは大変ですが、歯科医師やスタッフはその気持ちに寄り添いながら対応してくれます。
最近では、患者さんの不安を和らげるための工夫がされている医院も増えています。
5. 現代の歯科治療は痛みを軽減する技術が進んでいる
「痛い治療をされるのではないか」という心配から、通院をためらう方もいますが、現在では痛みを最小限に抑える技術が発達しています。たとえば:
- 表面麻酔や細い針を使った麻酔
- レーザー治療
- 静脈内鎮静法
こうした技術を利用することで、快適に治療を受けられるようになっています。
歯医者さんを避けがちな理由
また、歯医者さんを避けてしまう原因で下記のようなものがあります。
- 歯科医師から怒られた経験がトラウマになっている
- 虫歯治療で痛かったから嫌になった
- 歯科医師にボロボロの歯を見せるのが恥ずかしい
歯科恐怖症と呼ばれる方の場合、子供の時にドクターから怒られたり、処置の際に何も説明をせずいきなり削られて驚いたり、痛かったりすると、歯医者さんが怖いという意識が強くなってしまうことがあります。
歯医者さんが怖い方がボロボロの歯を治すには?
歯科にトラウマがある場合、なるべく怖い思いをせずに治したいと思う方がほとんどだと思います。その際には、下記の麻酔や治療を行っているクリニックを選ぶと、眠っている間に治療を終わらせてもらうことが出来ます。
笑気麻酔
- 鼻から亜鉛華窒素入りガスを吸入する
- 麻酔作用がセデーションに比べて弱いため、恐怖症の方には静脈内鎮静法を適用する
- 笑気麻酔は保険診療で受けられます
静脈内鎮静法(点滴麻酔・セデーション)
- 静脈に鎮静剤を点滴する
- 半分眠り、お酒を飲んだふわふわした状態になり不安や恐怖心を失くします
- 生体監視モニターできちんと心拍数や呼吸など全身管理をする麻酔科の専門医が付き添う(当院の場合)
無意識歯科治療
- 静脈内鎮静法を利用した治療
- 眠っている間に治療が可能なため痛みや恐怖心を感じない
- 治療のための器具が口腔内に入ると嘔吐反射が出る方・短期間で集中して治療を終わらせたい方に効果的である
※笑気麻酔は保険適用です。静脈内鎮静は保険のきかない自由診療となります。
【動画】虫歯で歯がボロボロなのに恥ずかしくて歯医者に行けない方へ
まとめ

ボロボロの歯を放置すると、見た目の問題だけでなく、感染や痛み、全身の健康に悪影響を及ぼします。治療を受けるのが恥ずかしいと感じる場合でも、歯科医師は患者さんの健康を第一に考えており、非難することはありません。
また、笑気麻酔や静脈内鎮静法を活用することで、恐怖や痛みを最小限に抑えた治療が可能です。ボロボロの歯を見せることの恥ずかしさにとらわれず、早めに歯科医院を訪れることで、健康な笑顔と生活を取り戻しましょう。
監修

歯科衛生士 坂上明美
医療法人真摯会
まつもと歯科
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