今回は「口内炎と舌癌の違い」についてまとめていきます。
目次
口内炎と舌癌の違い
口内炎と舌癌の発症頻度の違い
口内炎は比較的頻繁に発症する症状で、ストレスや栄養不足、口腔内の刺激などが原因となることが多いのに対し、舌癌は比較的稀な疾患です。
多くの場合、口内炎は数日から2週間程度で自然に治癒しますが、舌癌は進行が遅いものの、治癒せずに悪化する可能性が高いため、医療機関にかかる必要があります。
症状の持続期間の違い
口内炎と舌癌の大きな違いの一つは、症状の持続期間です。口内炎は通常、1〜2週間で治癒するのに対し、舌癌は長期間続くことが特徴です。特に、3週間以上治らない口内炎様の症状がある場合は、舌癌の可能性を疑い、早急に専門医に診てもらうことが必要です。
見た目の違い
口内炎は通常、白や赤い斑点で、周囲に炎症や痛みが伴うことが多いです。一方、舌癌は硬いしこりや潰瘍が見られ、時には表面がザラザラしていたり、出血を伴うことがあります。また、舌癌は痛みを感じないことが多く、これも口内炎との大きな違いです。
診断に使用される検査方法
舌癌の診断には、組織検査(生検)が一般的に行われます。医師が疑わしい部位から組織を採取し、癌細胞の有無を確認します。これに加え、CTやMRIなどの画像検査も進行具合を確認するために行われることが多いです。口内炎の場合は、通常検査は必要なく、視診と症状のヒストリーによって診断が行われます。
舌癌の見極め方
まずは舌癌の特徴・見極め方をご紹介します。
発症しやすい年齢
お口の中にできるがんを総じて「口腔がん」と言いますが、その中で最も多いのが舌癌です。舌癌は50歳以上の男性に多いとされていますが、女性の方や若い方でも発症する可能性はあります。
できやすい場所
舌の横(縁)や舌の裏側にできることが多いです。
原因
舌癌の主な原因は、喫煙と飲酒です。喫煙と飲酒両方の習慣がある方はより舌癌を発症するリスクが高いと言われています。
また虫歯や合っていない被せ物・入れ歯などにより、舌の長期間刺激が加わることも舌癌の原因になるとされています。「歯や入れ歯が当たって痛い」という状態を放置していると、そこに刺激が加わり続けてがん化しやすいということです。はじめは口内炎のようですが、なかなか治らない場合は注意が必要です。
見た目
はじめは口内炎と似ていて、ぷくっと膨れて赤くなったり白くなったりします。これが進行してくると、徐々に大きく範囲が広がっていき痛みが出たり出血したりします。ただ痛みや出血がないこともあります。
また口内炎の場合は、口内炎の部分とその周りの粘膜との境目がはっきりしていることが多いです。しかし舌癌でできた腫れものは、周りの粘膜との境目があいまいです。
触れた感じ
腫れている部分に触れたときに、表面がざらざらしていたり硬いしこりのようなものを感じたら舌癌の可能性があります。また舌にしびれを感じたり、舌を動かすときに違和感を感じたりします。
目安となる期間
はじめは口内炎と見極めが難しく、放置しがちです。しかし舌癌の場合は2週間以上経っても症状が良くならず、治りません。これが大きな基準となるでしょう。
口内炎の見極め方
次に口内炎の特徴・見極め方です。自分はどちらに当てはまるか比べてみてください。
発症しやすい年齢
口内炎は子供から大人、高齢者まで幅広い年齢で発症します。
できやすい場所
口内炎は唇の裏や舌、頰粘膜などさまざまな部分に発症します。
原因
口内炎にもいくつかの種類があります。疲れやストレス、栄養不足による免疫力の低下が原因で口内炎ができることもあれば、虫歯や合わない被せ物・入れ歯が当たり続けることが原因にもなります。
また細菌やウイルス感染によっても、口内炎のように腫れものができることがあります。この場合は発熱や強い痛みを伴います。
見た目
赤かったり白かったり、潰瘍・水ぶくれのような見た目です。一番多いのは2〜10mmほどの白い潰瘍です。一気に2〜3個できることも珍しくありません。「口内炎」というくくりでは多くの種類があり、見た目もさまざまです。
触れた感じ
口内炎は触れると痛かったり、食べ物や飲み物がしみやすいです。触れることで細菌がつき、悪化することもあるので注意が必要です。
治るまでの期間
おおむね1〜2週間程度で治ることが多いです。なかなか治らない場合は注意が必要です。
舌癌の転移・生存率
舌癌はその進行具合によって、4つのステージに分けられます。
どのステージにいるかで生存率は変わってきます。舌癌を早いうちに発見でき、その大きさも小さく転移もしていなければ5年生存率も95%と高く、予後も良いです。
5年生存率とは
たとえば癌摘出手術患者のような特定の人口に注目,追跡して得られる5年後の生存率。生命表生存率にならって 1000人に対する生存者数をいう。
引用 コトバンク
ただ1ステージ進むごとに5年生存率はおよそ20%ずつの割合で下がっていきます。このように舌癌の予後が良いかどうかは、転移があるかどうかが最も重要です。
こんな場合は放置せず病院へ
もし舌癌だった場合、早めの受診が必要です。早期に癌を見つけ、適切な治療をすることが生存率を高める最も有効な方法だからです。
✔︎舌にしびれやしこりを感じる
✔︎腫れものから出血することがある
✔︎腫れものと周りの粘膜の境目があいまいである
1つでも当てはまる場合は放置せず、病院へかかりましょう。舌癌じゃなくてただの口内炎だったらどうしよう・・・なんてことはありません。命に関わることです。口内炎だったならそれで良いのです。安心できるだけましです。
口内炎が痛いときはどの病院に行くべき?
舌癌が心配な場合は、歯科・口腔外科にかかりましょう。近くに口腔外科をやっているところがなければ、普通の歯科医院でも良いです。口腔外科への紹介状を書いてもらいましょう。
口内炎であれば耳鼻咽喉科や皮膚科でも診てもらえるようですが、口腔外科であれば舌癌だったときなどその後の治療がスムーズです。あらかじめ病院に電話をして、対応してもらえるか聞くと良いでしょう。
おおまかな治療方法
舌癌が疑われる場合はまず検査をします。その結果次第で治療方法が変わってきます。
舌癌だった場合
舌癌になっている部分を切除します。舌癌がどこまで広がっているかによって切除範囲が決まります。また化学療法(抗がん剤)や放射線療法を組み合わせることもあります。
舌を切除するわけですから、手術後は食事が難しかったり話しづらかったり、歯磨きも簡単にはできなくなります。歯科医師や歯科衛生士だけでなく言語聴覚士など、多くの専門家とともに頑張っていきましょう。
口内炎だった場合
塗り薬や飲み薬を使って治していきます。
どの病院を選べばよいか
舌癌が疑われる場合、早期に耳鼻咽喉科や口腔外科を受診することが推奨されます。特に、がん専門医や総合病院の口腔外科での精密検査が重要です。逆に、口内炎の場合は、一般的な歯科や内科で十分対応可能であり、長期的な口内炎であっても基本的には専門的な治療は不要です。
口内炎と舌癌の違い・見極め方と病院の選び方に関するQ&A
舌癌と口内炎の違いは、主な原因や発生する場所、見た目、触れた感じ、治るまでの期間などが異なります。舌癌は喫煙と飲酒が主な原因で、舌の横や裏側にできやすい腫れものです。初期は口内炎に似ていますが、触れたときに硬くざらざらした感触があり、2週間以上治らないことが特徴です。
舌癌を見極める方法は、以下の特徴に注意することが重要です。 ・口内炎のような状態が2週間以上治らない ・舌にしびれやしこりを感じる ・腫れものから出血することがある ・腫れものと周りの粘膜の境目があいまいである これらの症状がある場合は、放置せずに早めに病院を受診することが大切です。
口内炎が痛い場合は、歯科・口腔外科で診てもらうことが適切です。口腔外科が近くになければ、普通の歯科医院でも対応してもらえる場合があります。舌癌が心配な場合は特に早めに受診し、口腔外科の紹介状をもらうと治療がスムーズに進みます。
口内炎と舌癌の違いまとめ
はじめのうちは口内炎との見極めが難しい舌癌。舌癌であるかどうかは、実際に病院で検査をしてみないとわかりません。ただ自分の口の中の異常にいち早く気が付き対応できるのは自分です。命に関わってくることなので躊躇せず、病院で診てもらうことをおすすめします。