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歯茎が下がる原因、予防、治療とは?

歯茎が下がる原因、予防、治療とは?

「最近、歯が長く見える気がする…」「歯茎が下がってきたかも?」
そんな風に感じたことはありませんか?

毎朝、鏡を見るたびに「前より歯茎が下がっている気がする…」と不安になることはありませんか?昔は気にならなかったのに、最近、冷たい飲み物がしみるようになったり、歯が伸びたように見えたり…。このまま進行したらどうなるのか、放っておいて大丈夫なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

実は、歯茎が下がるのは珍しいことではなく、多くの患者さんが経験する症状です。
では、なぜ歯茎が下がるのでしょうか?また、そのまま放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか?

今回は、歯茎が下がる原因や予防法、治療法について詳しくご説明します。

歯茎が下がる主な原因

歯茎が下がる原因はいくつかあります。以下のような要因が考えられます。

歯周病

歯周病は歯茎が下がる最も一般的な原因です。歯垢や歯石が溜まることで歯茎に炎症が起こり、次第に組織が破壊されてしまいます。
初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうことも。進行すると歯を支える骨まで影響を受け、歯のぐらつきや抜け落ちにつながる可能性があります。

強すぎる歯磨き

力を入れすぎた歯磨きを続けると、歯茎にダメージを与え、次第に下がってしまいます。
特に硬い歯ブラシを使用すると歯茎を傷つけやすく、長年の習慣が歯茎の後退を引き起こすこともあります。

加齢

年齢を重ねることで自然と歯茎が下がることがあります。
これは歯茎の弾力性が低下し、歯を支える組織が弱くなるためです。

歯並びや噛み合わせの問題

不正咬合や歯ぎしり、食いしばりなどが原因で歯に過剰な力がかかると、歯茎が下がることがあります。
特に歯ぎしりや食いしばりは無意識のうちに続けてしまうことが多く、マウスピースなどを活用して対策することが重要です。

喫煙

喫煙は歯茎の血流を悪化させ、歯周病を進行させる要因になります。
ニコチンの影響で血流が低下し、歯茎の免疫機能が低下することで、炎症が起こりやすくなります。

上記の原因を知ることで、自分に当てはまる要素がないかチェックしてみましょう。

歯茎が下がるとどうなる?放置すると危険!

歯茎が下がった状態を放置した場合のリスクについて解説します。

1. 知覚過敏の悪化

▶ 冷たいものや熱いものを飲食すると歯がしみる症状が出ることがあります。

歯茎が下がると、通常は歯茎に覆われている歯の根元(象牙質)が露出します。象牙質には神経に通じる小さな管がたくさんあり、冷たいものや熱いもの、甘いもの、酸っぱいものなどに敏感になります。そのため、知覚過敏が悪化し、食事や歯磨きが苦痛になることがあります。

2. 虫歯のリスク増加

歯の根元はエナメル質よりも柔らかい象牙質で覆われており、虫歯になりやすい部分です。歯茎が下がることで、この象牙質が露出すると、通常よりも虫歯のリスクが高まります。さらに、歯茎の下がった部分は歯磨きがしにくく、プラーク(歯垢)が溜まりやすくなるため、より虫歯になりやすい状態になります。

3. 歯周病の進行

▶ 重度の歯周病に進行すると、歯を支える骨が減少し、歯がぐらついてしまうことも。

歯茎が下がる原因の一つに歯周病があります。歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまい、歯がぐらつくようになります。放置すると、最悪の場合、歯が抜け落ちてしまうこともあります。

4. 見た目の問題(審美的な影響)

歯茎が下がると、歯が長く見えたり、歯と歯の間に隙間ができたりして、見た目に影響を与えます。特に前歯で歯茎が下がると、見た目の違和感が大きくなり、老けて見える原因にもなります。

5. 口臭の原因

歯茎が下がると、歯と歯茎の間に歯周ポケットができやすくなり、そこに汚れがたまりやすくなります。これが**細菌の温床**となり、口臭の原因になることがあります。

6. 噛む力の低下

歯茎が下がり、歯周病が進行すると、歯のぐらつきが発生し、しっかりと噛むことができなくなります。食事の際に十分に噛めないことで、消化不良や栄養の吸収不良につながることもあります。

7. さらに深刻な健康リスク

近年の研究では、歯周病が全身の健康にも影響を与えることが分かっています。歯茎の炎症が血流を通じて全身に影響を及ぼし、心疾患や糖尿病、認知症のリスクを高める可能性が指摘されています。

歯茎が下がった状態を放置すると、知覚過敏の悪化、虫歯や歯周病の進行、見た目の変化、口臭、噛む力の低下、さらには全身の健康リスクにまで影響を及ぼす可能性があります。

もし歯茎が下がっていると感じたら、早めに歯科医院を受診し、適切な治療や予防策を講じることをおすすめします。

歯茎が下がるのを防ぐための予防法

歯茎が下がるのを防ぐために、以下の予防策を実践しましょう。

1. 正しい歯磨き習慣を身につける

歯磨きは力を入れすぎず、やさしく磨くことが大切です。特に、毛先の柔らかい歯ブラシを使い、歯茎を傷つけないようにしましょう。

歯茎が下がる主な原因の一つは誤った歯磨き方法です。強すぎるブラッシングや間違った歯磨き習慣は、歯茎を傷つけ、後退させる要因になります。

柔らかめの歯ブラシを使用する → 硬い歯ブラシは歯茎にダメージを与えやすいので、「やわらかめ」または「普通」のものを選ぶ。

力を入れすぎず優しく磨く → ゴシゴシ磨くのではなく、小さな円を描くようにやさしく磨くことが重要。

歯と歯茎の境目を意識する → 歯茎に軽くブラシを当てて45度の角度で磨くことで、プラークを効果的に除去できる。

電動歯ブラシの活用 → 手磨きよりも電動歯ブラシを使うことで、適切な力加減で歯磨きができる。

2. 歯周病を予防する

歯周病は、歯茎が下がる最大の原因の一つです。歯周病を予防することで、歯茎の健康を保つことができます。

定期的な歯科検診を受ける → 自分では気づかない歯周病の初期症状を早期に発見するために、半年に1回は歯科医院でチェックを受ける。早期発見・早期治療のために、歯科医院での定期健診を欠かさず受けましょう。

歯間ブラシ・フロスを使う → 歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは落ちにくいため、デンタルフロスや歯間ブラシを使う習慣をつける。

マウスウォッシュを活用する → 殺菌成分入りのマウスウォッシュを使うことで、歯周病菌の繁殖を防ぎ、歯茎の健康を維持する。

3. 歯ぎしり・食いしばりを防ぐ

歯ぎしりや食いしばりは、歯や歯茎に強い負担をかけ、歯茎が下がる原因になります。就寝中の歯ぎしりや日中の食いしばりが気になる方は、マウスピースの使用を検討しましょう。

寝るときにナイトガード(マウスピース)を装着する → 歯ぎしりがある場合は、歯科医院でナイトガードを作ってもらい、歯や歯茎への負担を軽減する。

日中の食いしばりを意識する → ストレスや集中時に無意識に歯を食いしばることがあるので、「上下の歯は離しておく」ことを意識する。

ストレスをコントロールする → ストレスが歯ぎしりを悪化させることがあるため、リラックスできる習慣(深呼吸、運動、趣味)を取り入れる。

4. バランスの取れた食生活を心がける

栄養が偏ると、歯茎の健康が損なわれ、歯茎が下がりやすくなります。

ビタミンCを摂取する → ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、歯茎を健康に保つ働きがあります。

例:レモン、オレンジ、キウイ、パプリカ、ブロッコリー など

カルシウム・ビタミンDを摂る → 歯や骨の健康を保つために、カルシウム(牛乳、小魚、大豆製品)とビタミンD(魚類、きのこ類、日光浴)を意識して摂取する。

抗酸化食品を取り入れる → 歯茎の炎症を抑えるために、緑黄色野菜やナッツ、オリーブオイルなどを積極的に摂る。

5. 喫煙を控える

タバコに含まれるニコチンやタールは、歯茎の血流を悪化させ、歯茎が後退するリスクを高めます。喫煙は歯周病を悪化させる要因なので、禁煙することが望ましいです。

禁煙することで歯茎の血行が改善され、歯周病のリスクが低減する。
喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病になりやすく、治りにくいため、早めに禁煙を検討する。

6. 口呼吸を改善する

口呼吸をしていると歯茎が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなるため、歯茎が下がる原因になります。

鼻呼吸を意識する → 日中も鼻で呼吸する習慣をつける。

寝るときに口テープを使用する → 口呼吸を防ぐために、口に専用のテープを貼ることで改善できる。

アレルギー性鼻炎を治療する → 鼻詰まりが原因で口呼吸になっている場合、耳鼻科で診てもらう。

こうした対策を継続することで、歯茎の健康を守ることができます。

歯茎が下がってしまった場合の治療法

歯茎がすでに下がってしまった場合には、以下のような治療が考えられます。

歯周病治療

歯周病が原因で歯茎が下がっている場合、歯垢や歯石を取り除く治療が必要です。

歯磨き方法の改善指導

歯茎に優しい磨き方を習得し、これ以上の進行を防ぐことが大切です。

歯肉移植術(結合組織移植術)

歯茎が極端に下がってしまった場合、歯肉を移植する手術を行うこともあります。

被せ物でカバーする

特に審美的な問題が気になる場合は、被せ物や詰め物を活用して歯茎の見た目を改善する方法もあります。

患者さんの状態によって適した治療法は異なるため、歯科医院での相談をおすすめします。

まとめ

歯茎が下がる原因は、歯周病、強すぎる歯磨き、加齢、噛み合わせの問題、喫煙など多岐にわたります。放置すると知覚過敏や歯のぐらつきなどのリスクが高まるため、早めの対策が重要です。

予防のポイントとしては、

適切な歯磨きを心がける
定期的な健診を受ける
歯ぎしりや食いしばりを防ぐ
禁煙をする

すでに歯茎が下がってしまった場合は、

歯周病治療
歯磨き方法の改善
歯肉移植術
被せ物によるカバー

といった治療法を検討しましょう。

「歯茎が下がっているかも?」と感じたら、できるだけ早めに歯科医院を受診することをおすすめします。気になる症状があれば、お気軽にご相談くださいね!

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医日本歯周病学会

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▶吹田の歯医者なら「まつもと歯科」