今回は「歯の痛みとストレスの関係」について書いていきます。
歯の痛みはストレスと関係がある?
ストレスを感じることで、歯に何かしらの影響を及ぼす可能性があります。
- ストレスによる歯ぎしり・食いしばり
- ストレスによる唾液分泌量の低下
- ストレスによる免疫力の低下
1. 歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりの原因にはかみ合わせなども挙げられますが、ほとんどはストレスによるものだと言われています。
これらは日中だけでなく、寝ている間に無意識に行なっていることも。寝ている間に歯を食いしばったり歯ぎしりをしていて、朝起きたときに歯が痛い・・・という患者さんも多くいらっしゃいます。
ストレスが原因の歯ぎしりや食いしばり(ブラキシズム)
ストレスは、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりを引き起こすことがあります。特に夜間のブラキシズム(就寝中の歯ぎしり)は歯に過度な負担をかけ、歯のエナメル質が削れたり、歯周組織にダメージを与えたりすることで、歯の痛みが生じる原因になります。長期的には、顎関節症の原因にもなり、慢性的な痛みを引き起こす可能性があります。
歯の痛みにつながる理由
歯ぎしりや食いしばりにより、大きな力が歯にかかります。これは歯の痛みや知覚過敏、歯が割れたり被せ物がこわれたりする原因となります。
また歯ぎしりや食いしばりが繰り返されると、「歯根膜」が炎症を起こすことがあります。歯根膜とは、食感を感じたり歯に負担がかからないよう力を分散させたりなど、とても重要な役割を担っている組織です。
▼歯ぎしりによる身体への影響はこちらでまとめています。
https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/bruxism-effect8/
治療法・対処方法
一番はストレスの解消でしょう。リラックスできる環境をつくったり適度な運動をしたり。また歯ぎしりや食いしばりは、癖や習慣となっていることが多いです。日常の中で自分が歯ぎしりや食いしばりをしていないか、意識を向けるだけでも大きく変わってきます。
寝ている間の歯ぎしりや食いしばりには、専用のナイトガードと呼ばれるマウスピースで対処することができます。歯ぎしりや食いしばりから歯を守るためのマウスピースです。歯科医院で伝えれば作ってもらうことができます。
ナイトガードはあくまで歯を守るためのマウスピースです。歯ぎしりや食いしばりを治すためではありません。
▼歯ぎしり用マウスピースの効果や費用についてはこちらでまとめています。
https://matsumoto.or.jp/toothteeth/bruxism-mouthpiece/
2. 唾液分泌量の低下
ストレスが溜まると、唾液の分泌が減少し、口内が乾燥しやすくなります。これにより、細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病が進行し、痛みが生じることがあります。
唾液には自浄作用や殺菌作用など、さまざまな良い作用があります。これによりお口の中の環境は一定に保たれ、簡単には虫歯ができないようになっています。
唾液には粘性の高い(ねばねばしている)ものと、粘性の低い(さらさらしている)ものがあります。前者は水分量が低く、後者は水分量が高いです。
人によって唾液の種類・性状はちがい、遺伝的に(=唾液の性状的に)虫歯ができやすい方もいます。
ストレスを強く感じると、粘性の高いねばねばした唾液が出やすくなり唾液そのものの分泌も減少します。逆にリラックスした状態では、粘性の低いさらさらした唾液が出やすくなります。
歯の痛みにつながる理由
食事をとるとお口の中のpHが下がり、歯がとけやすい状況となります。正常であれば、唾液が元のpHに戻してくれていますが、ストレスにより唾液分泌量が低下すると、この作用が抑えられ歯がとけやすい=虫歯になりやすい状況が続いてしまいます。
そのほかにも唾液が歯の表面を覆うことで虫歯になるリスクを下げたり、自浄作用により細菌を洗い流してくれています。これは虫歯だけでなく歯周病においても重要です。
このように唾液は重要な作用を多く持っています。これらにより簡単には虫歯ができないようになっているのです。ストレスにより唾液の分泌量が低下すると、虫歯ができやすくなり歯の痛みが出やすくなると考えられます。
治療法・対処方法
こちらもストレスの解消が一番です。
ストレスだけでなく遺伝や生活習慣によっても唾液の量・種類は変わってきます。服用薬の副作用や、加齢によっても唾液量が減少することがあります。歯の痛みにつながる前に、歯科医院で相談してみると良いでしょう。
3. 免疫力低下
ストレスが長期間続くと、免疫力が低下し、細菌やウイルスによる感染症が発生しやすくなります。口腔内でも同様に、歯茎や歯周ポケットに感染が起きやすくなり、これが痛みの原因となることがあります。特に歯周病が進行すると、強い痛みを伴うことがあるため、ストレスと免疫機能の低下によるリスクは無視できないものがあります。
歯の痛みにつながる理由
普段から歯垢(プラーク)や歯石がついている状態だと、ストレスや不規則な生活により免疫力が低下したときに歯の痛みや歯茎の腫れが出やすくなります。普段から痛みをかかえている方は、免疫力低下により強い痛みが出ることも。
治療法・対処方法
まずはあとは食生活や生活習慣、睡眠時間に気を配り、体調管理をしっかり行うことです。しかしこれは簡単なことではありません。どうしても体調を崩してしまったり免疫力が落ちてしまうことはあります。
そのため免疫力が低下したときに、歯の痛みにつながらないよう普段から歯磨きをしっかり行うことです。土台をしっかりかためておけば、ちょっとしたことでは影響を受けないでしょう。
ただ自己流になっていて、しっかり歯磨きできているつもりでも汚れが残っている・・・ということは多々あります。歯の痛みが出る前から定期的に歯科医院に通いチェックしてもらったり、歯科衛生士に正しい歯磨き方法を習うのも重要です。
ストレス緩和の方法と口腔ケアの重要性
ストレスを緩和することが歯の痛みを防ぐために重要です。定期的な運動やリラクゼーション法(ヨガ、深呼吸など)は、ストレスを減らし、ブラキシズムや顎関節症を予防するのに役立ちます。また、ストレスがかかっているときでも適切な口腔ケアを怠らないことが、口内の健康を保つために重要です。これらの対策方法を提案することで、読者が日常的にストレス管理を意識しやすくなるでしょう。
歯の痛みとストレスの関係に関するQ&A
歯ぎしりや食いしばりは、歯に大きな力がかかるため、歯の痛みや知覚過敏、割れや被せ物の破損などを引き起こす原因となります。また、繰り返される歯ぎしりや食いしばりにより、歯根膜が炎症を起こすこともあります。
歯ぎしりや食いしばりの対処方法として、ストレスの解消が一番重要です。リラックスできる環境を作ったり、適度な運動を行ったりすることが推奨されます。また、寝ている間の歯ぎしりや食いしばりには、専用のマウスピースを使用することができます。歯科医院で作成してもらうことができます。
ストレスを強く感じると、唾液の粘性が高くなり、唾液の分泌量が減少します。ストレスによって分泌されるねばねばした唾液は水分量が低く、歯の保護や虫歯予防などの役割を果たせなくなります。
歯の痛みとストレスの関係まとめ
虫歯や歯周病がないと思っていても、ストレスにより歯の痛みが出てくることはあります。歯に痛みがあるのに歯科医院で原因が見つからなかった場合は、ストレスをかかえていないかなど自身を振り返ってみる必要があるかもしれません。