よくあるご質問
歯周病・虫歯・被せ物

どんな場合に神経を抜く必要があるの?

どんな場合に神経を抜く必要があるの?

歯の神経を抜く根管治療が必要になる状況は、歯の内側にある歯髄(神経)が感染や損傷を受けて炎症を起こしている場合で、虫歯でいうとC3の状態です。根管治療が必要となる主な原因とその理由についてご説明します。

歯の神経とは?

歯の神経は「歯髄(しずい)」とも呼ばれる部分で、歯の内部にある非常に重要な組織です。この歯髄がどのような役割を果たしているのか、またどのような構造なのかを以下で詳しく解説します。

1. 歯の神経の構造

歯の神経(歯髄)は、歯の内部にある「歯髄腔(しずいこう)」と呼ばれる空間に収まっています。

位置

歯の中心部分にあり、エナメル質や象牙質といった硬い組織に囲まれています。

構成

歯髄は以下のような成分で構成されています。

  • 血管・・歯に栄養を供給します。
  • 神経繊維・・痛みや刺激を感知します。
  • 結合組織・・歯髄全体を支える役割を果たします。

2. 歯の神経の役割

歯の神経は、歯の健康を保つために重要な役割を果たしています。主な役割は次の通りです。

痛みを感知する

  • 歯髄には感覚神経が存在しており、冷たいもの、熱いもの、甘いものなどの刺激を感知します。
  • また、虫歯や外傷による異常な痛みを知らせる「警報装置」の役割を果たします。

歯に栄養を供給する

  • 歯髄を通る血管は、歯に必要な酸素や栄養分を供給します。
  • これにより、象牙質などの歯の組織が健康に保たれます。

歯の成長と修復を助ける

  • 子どもの頃、歯が発育する際に重要な役割を果たします。
  • また、大人の歯でも軽度の損傷や虫歯が進行していない場合には、象牙質の修復を助けます。

3. 歯の神経がダメージを受ける原因

歯の神経は非常にデリケートで、次のような理由でダメージを受けることがあります。

虫歯の進行

  • 虫歯が象牙質を越えて歯髄に到達すると、炎症や感染が発生します。
  • 初期段階では軽い痛みや冷たいものに対する過敏が見られますが、進行すると激しい痛みや腫れを引き起こします。

歯の外傷

  • 事故や衝撃で歯にひびや割れが生じ、神経に影響を及ぼす場合があります。

歯の治療による刺激

  • 深い虫歯を削る際や詰め物・被せ物を装着する際に、歯髄が刺激されることがあります。

過剰な摩耗や歯ぎしり

  • 歯ぎしりや過剰な摩耗により象牙質が露出し、神経が刺激されやすくなる場合があります。

4. 歯の神経が炎症を起こすとどうなる?

歯髄が炎症を起こすと、以下のような症状が現れることがあります。

歯髄炎

  • 虫歯や外傷により神経が炎症を起こすと、鋭い痛みやズキズキとした持続的な痛みを感じます。

歯髄壊死

  • 神経がダメージを受け続けると、最終的に壊死します。この場合、痛みはなくなるものの、感染が広がるリスクがあります。

根尖病変(こんせんびょうへん)

  • 神経が死んだ状態のまま放置すると、歯の根元に膿がたまり、腫れや痛みを引き起こします。

5. 歯の神経を守るためにできること

歯の神経を健康に保つことは、歯全体の健康を維持する上で重要です。以下のポイントを参考にしましょう。

毎日の歯磨きを徹底する

  • 歯垢(プラーク)や食べかすをきちんと除去することで、虫歯の発生を予防できます。

定期的な健診を受ける

  • 虫歯や神経のトラブルを早期に発見するため、歯科医院での定期健診を受けましょう。

歯を過剰に使いすぎない

  • 歯ぎしりや硬いものを噛む習慣がある場合は、マウスピースを使用することを検討してください。

適切な食生活を心がける

  • 甘いものを控え、バランスの良い食事をとることで、歯の健康をサポートします。

歯の神経は、歯の感覚や栄養供給、修復に重要な役割を果たしています。神経が健康であることは、歯全体の健康を保つための基本です。一方で、虫歯や外傷などで神経がダメージを受けると、さまざまなトラブルが発生します。

患者さんが歯の神経を守るためには、毎日のケアや定期的な歯科健診が欠かせません。何か異常を感じた場合は早めに歯科医に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。

歯の神経を抜く必要性

歯の神経を抜くということは、歯髄を除去して失活歯になるということです。どのような場合に神経を抜かなければならないのかは、主に以下のような場合です。

  1. 重度の虫歯
  2. 外傷
  3. 重度の歯周病
  4. ひび・割れ
  5. その他の要因

1. 重度の虫歯

  • 原因・・虫歯が進行すると、エナメル質とその下の象牙質に穴を開けて、歯髄に到達します。この状態を虫歯の進行度ではC3と呼びます。虫歯の進行は、お口の中の細菌が糖をエサにして酸を作り出し、その酸が歯を溶かすことで起こります。
  • 必要性・・虫歯が歯髄に達すると、細菌が歯髄内で感染を引き起こし、炎症を伴う激しい痛みが起こることがあります。この状態を放置すると、感染が歯の根の周囲の組織や骨に広がり、抜歯が必要になる可能性があります。

2. 歯の外傷

  • 原因・・事故やスポーツ中の衝撃、転倒などで歯に強い力が加わると、折れたり亀裂が入ったりすることがあります。これによって歯髄が損傷して、細菌が侵入し、炎症が起こりやすくなります。
  • 必要性・・外傷による歯髄の損傷や感染は、なるべく早い治療が必要です。そのまま放置すると、歯が変色したり、感染が広がって強い痛みが起こるリスクが高まります。根管治療を行うことで、損傷した歯髄を除去し、歯を抜かずに保存することが可能です。

3. 重度の歯周病

  • 原因・・歯周病は細菌による感染症で、歯周組織に影響を与えます。軽い歯肉炎から始まり、進行するとポケットが深くなり、歯を支える骨や組織が破壊されて最後には抜けてしまいます。
  • 必要性・・歯周病が進行して歯の根元や歯髄に影響を与えると、痛みや感染が発生します。根管治療を行うことで、感染源を取り除き、歯を保存することができます。また、歯周病の進行を食い止めるための治療と組み合わせて行うことが多いです。

4. ひび・割れ

  • 原因・・亀裂が入ると、その亀裂をから細菌が歯髄に侵入する可能性があります。特に深い亀裂の場合、神経や血管が直接感染して腫れや痛みを起こして膿が出ることがあります。
  • 必要性・・亀裂や破折が原因で歯髄が感染した場合、根管治療が必要です。亀裂を修復して、感染部分を取り除く処置をすることで、歯の保存が可能となります。

5. その他の要因

  • 歯の内部の問題・・内部に嚢胞が出来たり、以前の治療が完全に行われて折らず問題が生じた場合も、根管治療が必要になることがあります。
  • 必要性・・これらの内部の原因で歯髄に損傷が起こった場合、歯を守るためには、なるべく早く根管治療を受けることが必要です。

神経のある歯と、神経のない歯では、何が違う?

  • 生活歯・・神経のある天然歯のこと
  • 失活歯・・抜髄の処置を行って神経がない状態

神経のある生活歯は、歯髄を通じて血液や酸素や栄養分が歯に運ばれ、エナメル質や象牙質が弾力を保つことが出来ます。

神経を取ってしまった失活歯になると、神経を抜くための根尖治療が完璧に行われたとしても、再びその歯が生活歯に戻ることはありません。

歯髄を取ってしまうことで、確かに患者さんは痛みを感じなくなり、治ったという実感を得られるかも知れません。しかし根管治療がきちんと行われていなければ、後々、根尖病巣と呼ばれる歯根の先端部分の感染が起こり、腫れや痛みが出てしまうと、抜歯しなければならなくなります。

根管治療後に数年経って根尖病巣が出来てしまった場合は「再根管治療」によって歯を残せる可能性もあります。通常の根管治療は保険診療で行うことが出来ますが、再根管治療はマイクロスコープを用いての自費診療になる場合がありますので、治療方法や治療費に関しては担当医に詳しくお聞き下さい。

根管治療を行うメリット

根管治療(神経を抜く治療)は、多くのメリットを持ち、機能の維持に繋がります。以下に根管治療を行う主なメリットを詳しく説明します。

  1. 痛みの緩和
  2. 歯を保存して抜歯を回避出来る
  3. 感染拡大の防止
  4. 生活の質の向上
  5. 審美的な利点
  6. 経済的な利点

1. 痛みの緩和

  • 歯髄が感染して炎症を起こすと、激しい痛みが起こります。これは、歯髄内の神経が刺激されるためです。根管治療を行うと、感染や炎症を起こした神経や組織を取り除くため、痛みが緩和されます。
  • 進行した深い虫歯が原因で痛みを感じる場合、根管治療によって神経を取り除くと、痛みがおさまります。
  • 外傷による痛みも、根管治療で対応できます。

2. 歯を保存して抜歯を回避出来る

  • 根管治療は、抜かずに保存するための治療法です。歯を失うと、噛み合わせや発音、見た目の問題が生じることがあります。保存することで、これらの問題を回避することができます。
  • 抜歯を避けられるため、ブリッジやインプラントなどの補綴治療を必要としません。
  • 天然歯を保存することで、噛む力や食事の楽しみを維持できます。

3. 感染拡大の防止

  • 感染した歯髄を放置すると、感染が歯の根の周囲の骨や組織に広がることがあります。根管治療を行うことで、感染源を取り除き、周囲の健康な組織を保護します。
  • 歯根の先端に膿瘍が形成されることを防ぎます。
  • 歯の周囲の骨が失われることを防ぎ、歯の安定性を保ちます。

4. 生活の質の向上

  • 痛みや不快感がなくなることで、生活の質が向上します。食事や会話、仕事や趣味に集中できるようになります。
  • 痛みから解放され、夜間の睡眠が改善されます。
  • 日常生活でのストレスが軽減され、精神的な安定が得られます。

5. 審美的な利点

  • 歯を保存することで、自然な笑顔を保つことができます。特に前歯の場合は目立つため、審美的な面でのメリットが大きいです。
  • 前歯の保存により、笑顔や話す際の見た目を自然に保てます。
  • 抜かずに治療することで、違和感のない見た目に出来ます。

6. 経済的な利点

  • 歯が保存出来ると、将来的な高額な補綴治療(インプラントやブリッジなど)を避けることができます。根管治療は歯を失わずに済むため経済的な選択肢となることが多いです。
  • 抜歯後のインプラントやブリッジ治療の費用を節約できます。

まとめ

虫歯などで神経が損傷して腫れや痛みが出ている時に根管治療を受けることには、痛みの軽減、歯の保存、感染拡大の防止など、多くのメリットがあります。適切な治療とケアを行うことで、歯の健康を長期間維持することが可能です。

根管治療は大変繊細な治療です。治療には数回の通院が必要になりますが、抜歯を回避するための重要な治療となります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科吹田本院
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医日本歯周病学会

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▶吹田の歯医者なら「まつもと歯科」