
インプラントは、失った歯を補うための優れた治療法です。適切なセルフケアや定期的なメンテナンスを行うことで、長期間にわたり快適に使用できます。インプラントの平均寿命や寿命を延ばすためのポイント、注意すべき習慣についてご説明します。
インプラントの平均寿命

インプラントを入れてから10年経ってもまだ使える確率は、なんと90%を超えています。ただこれはしっかりセルフケアを行い、定期的なメンテナンスを受けているがゆえの結果です。
一方で、セルフケアやメンテナンスが不足していると、インプラントの寿命は短くなります。そのため、患者さん自身のケアと歯科医院でのチェックが非常に重要です。
インプラントの寿命を延ばす方法

インプラントを長く使うためのポイントを以下にまとめました。
1. セルフケアの徹底
インプラントがダメになる主な原因は虫歯ではなく、歯周病(インプラント周囲炎)です。以下のようなセルフケアを徹底しましょう。
- 歯ブラシの活用・・毎日の歯磨きを丁寧に行う。
- 歯間ブラシ・フロスの使用・・歯と歯の間やインプラント周辺の清掃を補助。
- マウスウォッシュの活用・・口腔内の細菌数を減らす。
これらのセルフケアを継続することで、インプラント周囲の健康を保つことができます。
2. 定期的なメンテナンス
インプラントは形状が複雑であり、セルフケアだけでは十分に管理しきれない部分もあります。そのため、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが重要です。
定期的に歯医者に通うことで、クリーニングだけでなくメンテナンスも受けることができます。歯周病を予防するだけでなくかみ合わせの調整や、人工歯根に異常がないかチェックしてもらうことができます。
- クリーニング・・専用器具でインプラント周囲の清掃を行う。
- 噛み合わせの調整・・インプラントに過度な負担がかかっていないか確認。
- 人工歯根のチェック・・異常や損傷がないか確認。
これらのメンテナンスを通じて、異常があった場合でも早期に対応することが可能になります。
3. 信頼性の高いインプラントを選ぶ
インプラントにはさまざまなメーカーや種類がありますが、有名メーカーの製品を選ぶことが推奨されます。
▼インプラントの有名メーカーはこちらでまとめています。
https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/implant-cost/
世界的に知られているメーカーのインプラントは安全性・安定性が高く、万が一何かあってもすぐに対応ができます。マイナーなメーカーだと、「需要が少ないため生産を終了しました」「パーツが届くまでに長い期間がかかります」などとすぐに対応できない可能性があります。
例えば車も同じですね。マイナーなメーカーの車を買うと、車が故障したときに直せない可能性がありますが、有名やトヨタや日産の車であれば、故障してもすぐに直してもらうことができます。
- 安全性と安定性・・世界的に信頼されているメーカーのインプラントは、品質が高くトラブルに迅速に対応可能。
- サポート体制・・部品が入手しやすく、長期にわたり安心して使用できる。
インプラントの寿命がきたら

インプラントの寿命がきたら、再度の手術が必要になることがあります。ただし、保証期間内であれば無料で再手術を受けられることが一般的です。
しかし、以下のような場合には保証が適用されないこともあります。
- 歯科医院での定期的なメンテナンスを受けなかった場合
- セルフケアが不十分だった場合
インプラントの寿命を延ばすためには、日常的なケアと歯科医院でのサポートが欠かせません。
インプラントの寿命を縮める要因
インプラントが長持ちしない場合は、以下のような理由が考えられます。
1. 歯磨きの不足
インプラント周囲の清掃が不十分になると、感染症やインプラント周囲炎のリスクが高まります。きちんと磨けていると思っていても、磨き残しがあるかもしれませんので、歯科健診でチェックしてもらいましょう。
2. 喫煙や過度な飲酒
喫煙は血流を悪化させ、インプラントの骨への定着を妨げます。骨にしっかりと固定されていないと、グラグラしてしまいます。また、過度な飲酒も口腔内環境を悪化させる要因となります。
- 喫煙・・血流を悪化させ、骨とインプラントの結合を妨げる。
- 過度な飲酒・・口腔内環境を悪化させる要因に。
3. 不規則な生活習慣
不規則な生活習慣は全身の健康に悪影響を与え、免疫を下げる要因になります。結果としてインプラントの寿命にも影響を及ぼします。
4. 歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりはインプラントに過度な負荷をかけ、早期の破損や脱落の原因となります。これらの問題がある場合は、ナイトガードの使用を検討しましょう。
ブリッジ、入れ歯の平均寿命
インプラントと同様、「歯を失った部分に入れるもの」であるブリッジや入れ歯の寿命を見てみましょう。
ブリッジの平均寿命
ブリッジの平均寿命は7〜8年と言われています。ブリッジを入れるためには、周りの歯を大きく削らなければいけません。削った周りの歯を支えにして、ブリッジを入れます。

ブリッジはこのように被せる形であり、基本的には一度つけたら取ることができません。そのため掃除がしにくく、虫歯や歯周病の原因となります。ゆえに平均寿命が少し短くなっています。
- 平均寿命:7〜15年
- 土台となる歯(支台歯)の状態によって寿命が左右されます。
- 支台歯に虫歯や負担が生じると、全体のやり直しが必要になる場合があります。
- メリット・・固定式で違和感が少ない。
- デメリット・・健康な歯を削る必要がある場合が多い。
入れ歯の平均寿命
入れ歯の平均寿命は3〜5年と言われています。
入れ歯自体が壊れるというよりは、あごの骨が痩せて入れ歯が合わなくなったり、入れ歯を支えていた歯がだめになったりという点が大きいです。
- 平均寿命:5〜10年
- 経年劣化や顎骨の変化により、作り直しや調整が必要になることが多いです。
- 毎日取り外して清掃する手間がありますが、比較的手軽な治療法です。
- メリット・・取り外しが可能、初期費用が安い。
- デメリット・・安定性が低く、長期的な調整が必要。
寿命に影響する要因
口腔内の清潔さ
- インプラントは「歯周病」(インプラント周囲炎)に、入れ歯は「口腔カンジダ症」や汚れによる臭いに、ブリッジは支台歯の虫歯リスクに影響されます。
- 定期的な歯磨きや歯垢(プラーク)の管理が重要です。
メンテナンスの頻度
- インプラント・・歯科医院での定期的な健診やクリーニングが必須。
- 入れ歯・・日々の清掃と歯科医院での調整。
- ブリッジ・・支台歯の健診と日々の歯磨きが必要。
使用状況
- 歯ぎしりや噛む力の強さが過剰だと、インプラントやブリッジの寿命を縮める原因になります。
- 入れ歯は食事や使用頻度による劣化が起きやすいです。
まとめ
インプラントの平均寿命は10年以上とされていますが、それを実現するためには、セルフケアの徹底と定期的なメンテナンスが欠かせません。一方で、喫煙や不規則な生活習慣、歯ぎしりといった要因は寿命を縮める可能性があります。
インプラントは適切なケアを行えば、他の補綴治療よりも長持ちすることが期待できます。健康な口腔環境を維持し、長く快適に使用するために、歯科医師と協力しながら継続的なケアを心がけましょう。
また、寿命の長さだけでなく、日々の使いやすさやメンテナンスのしやすさも考慮する必要があります。
- 長期的な安定性を重視する場合はインプラント。
- 費用を抑えつつ簡便な治療を求める場合は入れ歯。
- 固定式で自然な見た目を重視するならブリッジ。
歯科医との相談を通じて、ご自身に合った最適な治療法を見つけましょう。