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インプラント・入れ歯

インプラントの失敗例と原因

インプラントの失敗例4選・それぞれの原因まとめ

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

今回は「インプラントの失敗例、それぞれの原因」について書いていきます。

インプラントの失敗例とその原因

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  1. インプラントの脱落
  2. インプラント周囲炎
  3. 骨との結合の失敗
  4. 審美的な問題
  5. 痛み、しびれなどが起こった
  6. 上部構造が取れた、壊れた


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1. インプラントの脱落

主な症状

インプラントは正しい治療を受ければ骨と強く結合し、自分の歯のように噛むことができます。逆に骨との結合が何らかの理由で行われなかった場合は、インプラントがぐらついたり、インプラントごと抜けて脱落してしまうというケースもあります。

失敗の原因

これは、最初にインプラントを骨に埋め込んだときの初期固定がうまく行われなかった、インプラントを埋入するための骨密度(骨の高さ、幅など)が足りなかった、インプラントが骨と結合する前に過度の力をかけてしまったことなどが原因です。

2. インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、インプラントの周囲組織が炎症を起こす状態のことで、炎症がインプラント周囲の粘膜から歯槽骨にまで広がった状態のことをいいます。

主な症状

インプラント周囲炎は、初期の段階ではふつうの歯周炎と似ています。しかしインプラントは直接骨とつながっているため、インプラントの周りで起きた炎症はすぐに骨にまでうつってしまいます

インプラントの構造

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またもともとの自分の歯と比べると、インプラントの歯は炎症への抵抗力が弱いです。そのため少しの炎症でもあごの骨などがすぐに吸収されてしまい、進行も早いのが特徴です。

インプラント周囲炎はかなり進行するまで痛みやぐらつきなど自覚症状が出にくいのも特徴です。そのため、気づいた頃にはインプラント周囲炎がかなり進行しているということも少なくありません。

失敗の原因

インプラント周囲炎はふつうの歯周炎などと同様、歯垢(プラーク)が原因となることが多いです。歯磨きなどのセルフケアや歯科医院でのメンテナンスが十分でないと、インプラント周囲炎になるリスクが高まります。

また歯周病の治療が不十分なままインプラント治療を行うことも、インプラント周囲炎の原因となりえます。糖尿病喫煙という生活習慣も、インプラント周囲炎の原因となる可能性があります。

3. 骨との結合の失敗

主な症状

インプラントの埋入後、骨とインプラントは数か月でしっかりと結合します。インプラントと骨が適切に結合しない場合、インプラントは安定しないため、しっかり噛むことが出来ません。この状態は、オッセオインテグレーションの失敗と呼ばれます。

失敗の原因

オッセオインテグレーションの失敗の原因には、手術中にインプラントを骨に埋入する際に過度な熱が発生していたり、骨の質が悪いこと、あるいは術後に過度に力をかけ過ぎたなどがあります。

4. 審美的な問題

前歯のインプラントの場合は見た目も大事です。審美的な問題が起こった場合も、インプラントの失敗として数えられます。

主な症状

インプラントの審美的問題としては、見た目が自然歯と大きく異なる場合や、歯茎のラインが不自然になることがあります。

失敗の原因

見た目の失敗の原因には、手術前の計画やインプラントの埋入位置の不備、あるいは上部構造の形状や色が周囲の歯と一致していないことが原因です。審美的な問題を防ぐためには、事前の詳細な診断と計画、そして経験豊富な歯科医による施術が重要です。

5. 痛み・しびれなどが起こった

インプラントの治療直後に痛みや腫れ、しびれが出ることがあります。

主な症状

インプラントの治療直後に痛みや腫れ、しびれなどの症状が出ることはあります。問題なのは、このような症状がなかなか治らないという場合。あるいは痛み止めを服用しても治らなかったり、耐えがたいほどの症状である場合は注意が必要です。

失敗の原因

こちらもインプラント周囲炎と同様、歯磨きなどのセルフケアを怠っていることが失敗の原因となりえます。

またインプラント自体が正しい位置に入れられていないことで、神経を傷つけていることがあります。これにより痛みやしびれなどが生じ、なかなか治らないということもあります。

6. 上部構造が取れた・壊れた

主な症状

インプラント治療を受けた方の中で、インプラントが10年以上持ったという方はなんと9割以上。インプラントは正しい治療を受け、ケアを怠らなければ長い間使い続けることができます。中には40年以上使用されたケースもあるくらいです。

しかししっかりとしたケアを行なっていないと、やはり経年劣化は起こってきます。何かがきっかけでインプラントに被せている歯の部分が取れたり、壊れたりすることもあります。

失敗の原因

かみ合わせが上手く合っていないと、噛むことによる力が偏ってしまい被せている歯が取れたり、壊れてしまう原因となります。これはインプラントに限ったことではありません。自分の歯を削って被せている場合も同様です。

またインプラントの治療時に、被せた部分の締め付けが弱いことで取れてしまった可能性もあります。

失敗後のリカバリー方法とは?

インプラントの失敗が発生した場合でも、適切な対応を取ることでリカバリーが可能です。失敗後の具体的な治療法には、以下のような選択肢があります。

再インプラント手術

骨の状態が良好であれば、再度インプラントを埋入することが可能です。ただし、骨が不足している場合は増骨の処置が必要です。

増骨の処置

骨が不足しているためにインプラントが定着しなかった場合、骨を増やす著しを行ってから再度インプラントを埋入することが検討されます。

増骨の処置の種類

  • GBR法(Guided Bone Regeneration): 人工膜を使用して骨を再生させる方法。
  • サイナスリフト: 上顎の骨が不足している場合に、上顎洞を押し上げて骨を増やす手術。
  • ソケットリフト: 上顎洞を少しだけ押し上げる比較的小規模な骨増成術。
  • 骨移植: 自家骨、人工骨、または異種骨を移植して骨を補う方法。
  • 自家骨採取: 自分の体から採取した骨を使用して骨を増やす方法(例えば顎や骨盤から採取)。

これらの増骨処置は、インプラント治療を成功させるために骨が不足している場合に行われます。

ブリッジや部分入れ歯の選択

再手術が難しい場合、ブリッジや部分義歯といった他の歯科治療法を選択することも可能です。これらの方法はインプラントに比べて手術が不要であり、患者さんの健康状態に応じた柔軟な対応が可能です。

このように、失敗が起きた場合でも、早めに歯科医と相談し、適切な治療法を検討することが重要です。

インプラント失敗の原因に関するQ&A

インプラント治療後の痛みやしびれがなかなか治らない場合、原因は何ですか?

インプラント治療後の痛みやしびれがなかなか治らない場合、歯磨きなどのセルフケアの怠りやインプラントの位置の問題が原因となることがあります。

インプラントに被せている歯が取れたり壊れたりする原因は何ですか?

インプラントに被せている歯が取れたり壊れたりする原因として、かみ合わせが合わないことや締め付けが弱いことが挙げられます。

インプラントが取れてしまう原因は何ですか?

インプラントが取れてしまう原因として、インプラントの位置や深さ、角度が正しくないために骨とのつながりが弱いことが考えられます。

インプラントの失敗例とその原因まとめ

インプラントは自分の歯のように噛むことができ、ケアをしっかり行えば長く使うことができます。しかし中にはインプラント治療で失敗してしまった方もいるのが事実です。不安なことは相談し、納得がいってから治療を始められると良いですね。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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