よくあるご質問
歯周病・虫歯・被せ物

見た目でわからない虫歯の原因と予防

見た目でわからない虫歯の原因と予防

「見た目でわからない虫歯」は、症状が現れるまで気づかないことが多く、発見が遅れると深刻な問題に発展する可能性があります。見た目でわからない隠れ虫歯の原因と予防方法についてご説明します。

見た目でわからない虫歯とは?

虫歯と言えば、黒ずんだり穴が開いたりするイメージが強いかもしれません。しかし、中には見た目ではほとんどわからない隠れ虫歯も存在します。これらの虫歯は、表面にほとんど変化が見られず、痛みや不快感もないため、発見が遅れることが多いのです。

見た目でわからない虫歯の特徴

  • 表面に変色や穴が見られない
  • 初期段階では痛みがない
  • 歯の内部で進行している

見た目でわからない虫歯はどんなところに出来る?

見た目でわからない虫歯は、特定の部位にできやすい傾向があります。これらの虫歯は、見えにくい部分に発生し、発見が遅れることが多いです。以下は、その代表的な場所です。

1. 歯と歯の間

歯と歯の間は、歯磨きで歯垢や食べもののカスが完全に除去しにくい部分です。このため、虫歯が進行しやすく、虫歯になっていても見た目ではわかりにくいことがあります。

2. 歯の裏側

歯の裏側は、特に奥歯の場合、鏡で見ても確認しづらい場所です。このため、虫歯が進行しても見つけにくくなります。

3. 歯の根元

歯の根元は、歯肉と接しているため、虫歯が見つかりにくい場所です。特に歯周病が進行している場合、歯茎が下がって歯の根元の象牙質が露出してしまいます。象牙質は歯の冠部分を覆うエナメル質よりも柔らかいため、歯の根元に虫歯が発生しやすくなります。

4. 奥歯の噛み合わせ面の溝

奥歯の噛み合わせ面には細かい溝が多く、これらの部分に虫歯ができやすいです。これらの溝や隙間はとても細いため、歯ブラシの毛先が届きにくく、歯垢が溜まりやすい部分です。

5. 一度虫歯治療を行ったあとの詰め物・被せ物の内部

虫歯が再発することを二次虫歯といいます。詰め物・被せ物の接着剤の隙間などから虫歯菌が侵入して歯の内部で虫歯を引き起こします。二次虫歯は発見しにくく、見つかったときにはかなり進行している場合が多いので注意が必要です。

虫歯ができやすい部位の特徴

  • 歯ブラシの毛先が届きにくい部位・・歯と歯の間や奥歯の裏側など、歯ブラシで汚れを落とすのが難しい部位です。
  • 視認が難しい部位・・見えにくい部位は自己チェックでは虫歯の発見が難しいため、定期的な歯科健診が必要です。
  • 歯垢が溜まりやすい部位・・歯の隙間や溝など、歯垢が溜まりやすく、虫歯になってもわかりにくい場所です。

虫歯を防ぐための対策

歯

デンタルフロスや歯間ブラシの使用

歯と歯の間や見えにくい部分の汚れを効果的に除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシを使用する習慣をつけましょう。

定期的に歯科医院でのクリーニング(定期健診)を受ける

歯科医院での定期的なクリーニングを受けることで、見えにくい部分の歯垢や歯石を取り除くことができます。

定期健診

定期的に歯科医を訪れ、専門的なチェックを受けることで、見た目でわからない虫歯を早期に発見・治療することができます。

フッ素の使用

フッ素入りの歯磨き粉やフッ素塗布を利用することで、歯の再石灰化を促し、虫歯予防効果を高めることができます。

見た目でわからない虫歯は、知らないうちに進行し、深刻な問題を引き起こす可能性があります。毎日の歯磨きと定期的な歯科健診でのチェックで、健康な歯を保ちましょう。

見た目でわからない場所に虫歯が出来る原因

見た目でわからない場所に虫歯が出来る原因はいくつかあります。

歯垢の蓄積

歯の表面に歯垢がたまると、歯垢の中の細菌が糖を餌にして酸を作り出し、酸で歯が溶かされて虫歯が進行します。

構造的に見えにくい部分に発生すると発見が遅れる

歯の内部構造が虫歯の進行を隠すことがあります。特に、歯の根元や隙間など、見えにくい場所にできる虫歯は発見が難しいです。

定期的な歯科健診を受けていない

定期的に歯科健診を受けて虫歯や歯周病のチェックを受けていない場合、虫歯が出来ていても見た目でわからない場所に出来た場合、気付かない可能性があります。

見た目でわからない虫歯の症状と診断方法

症状

  • 食事中に痛みや違和感を感じる
  • 温かいものや冷たいものに対して歯が敏感になる
  • 歯茎が腫れることがある

診断方法

  • X線検査・・目に見えない部分の虫歯を発見するために有効です。
  • デジタル口腔内カメラ・・歯の細かい部分を拡大して観察することができます。
  • 定期検診・・歯科医による定期的なチェックが重要です。

虫歯の予防方法

虫歯を予防するためには、毎日の歯磨きと定期的な歯科健診が不可欠です。

1. 定期的な歯科健診

定期的な歯科検診は、見た目でわからない虫歯を早期に発見するための最も重要な手段です。

  • 最低6ヶ月毎の健診・・最低でも半年に一度、歯科医で健診を受けましょう。虫歯の進行を防ぐために、定期的に歯科衛生士によるクリーニングも併せて行いましょう。
  • X線検査・・見た目ではわからない虫歯を発見するために、歯のレントゲン撮影をしてチェックしてもらうことが有効です。歯の内部や歯と歯の間の状態を詳しく確認できます。

2. 正しい歯磨き方法

毎日の歯磨きは、虫歯予防の基本中の基本です。正しい方法で歯を磨くことで、虫歯はかなり予防できます。

  • フッ素入り歯磨き粉の使用・・フッ素は歯のエナメル質を強化し、虫歯の進行を防ぎます。
  • 歯磨きの時間と頻度・・毎食後に少なくとも数分間歯を磨くことが重要です。特に寝る前の歯磨きを丁寧に行いましょう。
  • 歯ブラシの選び方・・柔らかめの歯ブラシを使用し、歯と歯茎の境目を丁寧に磨きましょう。歯ブラシは雑菌がつきやすく毛先が開いてきますので1~3ヶ月に一度交換することをおすすめします。

3. デンタルフロスと歯間ブラシの使用

歯と歯の間の汚れを落とすことは、見た目ではわからない虫歯を予防するために重要ですが、歯ブラシの毛先が届きにくい部分ですので、デンタルフロスと歯間ブラシも使いましょう。

  • デンタルフロス・・歯と歯の間の歯垢や食べ物のカスを取り除くために、毎日デンタルフロスを使用しましょう。
  • 歯間ブラシ・・歯間ブラシは、特に歯と歯の間が広い部分や歯と歯茎の側面に隙間がある場合、ブリッジがある場合などに効果的です。歯間ブラシを使用することで、フロスでは取り除きにくい歯垢を除去できます。

4. バランスの取れた食事

食生活も虫歯予防に大きな影響を与えます。以下のポイントを心がけましょう。

  • 砂糖の摂取を控える・・砂糖は虫歯の原因となる細菌のエサになります。甘いお菓子や飲料の摂取を控え、砂糖の少ない食事を心がけましょう。
  • カルシウムとビタミンDの摂取・・カルシウムとビタミンDは歯の健康に必要な栄養素です。乳製品や魚、卵などを積極的に摂取しましょう。
  • バランスの取れた食事・・野菜や果物、全粒穀物を含むバランスの取れた食事を心がけることで、口腔内の健康を維持できます。

5. フッ素塗布とシーラント

歯科医院でのフッ素塗布やシーラントの使用は、虫歯を予防するための効果的な方法です。

  • フッ素塗布・・定期的に歯科医院でフッ素塗布を受けることで、エナメル質を強化し、虫歯を防ぎます。
  • シーラント・・奥歯の噛む面の溝をレジン(歯科用プラスチック)でコーティングすることで、歯垢や食べ物のカスが溝に溜まりにくくなり、虫歯予防に効果的です。

6. 唾液の分泌を促す

唾液は自浄作用を持つため、唾液でお口の中を潤すと虫歯予防に役立ちます。唾液の分泌を促すための方法を実践しましょう。

  • よく噛む・・食事中によく噛むことで、唾液の分泌が促されます。やわらかい物ばかり食べず、硬い食物も積極的に摂取しましょう。
  • キシリトールガムの使用・・キシリトール入りのガムを噛むことで、唾液の分泌が促進され、虫歯予防に役立ちます。シュガーレスでキシリトールの含有量の多いガムを選びましょう。

虫歯の治療方法

虫歯の治療方法は、虫歯の進行度によって異なります。隠れ虫歯は、見た目では見逃してしまうほどの小さい虫歯ですが、実際に削ってみれば内部で意外と大きな虫歯になっているという場合もありますので、見た目だけでの判断は危険です。

1. 初期虫歯の治療

初期段階の虫歯は、虫歯菌の出す酸によってエナメル質の表面が溶かされ、歯の表面に白い斑点が見られる状態です。

  • フッ素塗布・・フッ素を塗布することで、エナメル質の再石灰化を促し、初期虫歯の進行を止めることができます。
  • シーラント・・奥歯の溝にシーラント(予防充填材)を塗布することで、プラークの溜まりやすい部分を保護し、虫歯の進行を防ぎます。
  • 食生活の改善・・砂糖の摂取を控え、バランスの取れた食事を心がけることで、初期虫歯の進行を抑えることができます。

2. 中程度の虫歯の治療

中程度の虫歯は、エナメル質を越えて象牙質に達した状態です。この段階では、以下の治療が行われます。

  • 充填治療(コンポジットレジン)・・虫歯部分を削り取り、レジン(歯科用プラスチック)を詰める方法です。レジンは歯の色に合わせて選ばれるため、見た目にも自然ですが、吸水性があるため着色が起こりやすいちう欠点があります。
  • インレー治療・・インレーとは、虫歯部分を削り取った後に型を取り、セラミックや金属で作られた詰め物をはめ込む方法です。耐久性があり、奥歯の治療に適しています。

3. 進行した虫歯の治療

進行した虫歯は、歯の神経(歯髄)まで達した状態です。この段階では、以下の治療が必要です。

  • 根管治療(神経を抜く治療)・・歯の内部の感染した神経や血管を取り除き、内部を清掃・消毒した後、充填材で密封する方法です。痛みを伴う虫歯の治療に効果的で、神経を抜いた後の歯は痛みを感じなくなります。
  • 被せ物治療・・根管治療後は歯が弱くなることが多いため、被せ物(クラウン)を装着することで歯を保護し、機能を回復させます。被せ物にはセラミックや金属、ジルコニアなどの素材が使用されます。

4. 重度の虫歯の治療

重度の虫歯は、歯根まで達し、歯が保存不可能な状態です。この場合、以下の治療が行われます。

  • 抜歯・・重度の虫歯で歯が保存不可能な場合、歯を抜く必要があります。抜歯後は、ブリッジやインプラント、部分入れ歯などで欠損部分を補います。
  • インプラント治療・・抜歯後に骨にインプラントを埋め込み、その上に上部構造(被せ物)を装着する方法です。インプラントは自然な見た目と機能を持ち、長期間にわたる安定性が期待できますが、費用が高いのが欠点です。
  • ブリッジ治療・・抜歯した部分の両隣の歯を支えとして、3本分の連結された人工歯を装着する方法です。ブリッジは比較的短期間で治療が完了しますが、支えとなる歯に負担がかかることがあります。
  • 部分入れ歯治療・・抜歯した部分の両隣の歯を支えとしてバネを引っ掛けて部分入れ歯を安定させます。入れ歯に慣れるまでは異物感を感じる場合があります。

虫歯治療のポイント

痛みの軽減

治療中の痛みを軽減するために、局所麻酔を使用します。患者さんの痛みを最小限に抑える工夫がされています。

治療後のケア

治療後は、虫歯や歯周病予防のために定期的な健診とメンテナンスが重要です。歯科医の指導に従い、適切なケアを続けましょう。

早期発見・早期治療

虫歯は早期に発見し、早期に治療することで、治療の負担を軽減し、歯を長持ちさせることができます。定期健診を欠かさずに受けることが大切です。

まとめ

見た目でわからない部分の虫歯は、発見が遅れると深刻な問題に発展する可能性があります。そのため、定期的な歯科健診と正しい方法での歯磨きが重要です。

  • 定期的に歯科健診を受ける
  • 正しい歯磨きとデンタルフロスの使用
  • バランスの取れた食事を心がける

このような対策を実践することで、虫歯から歯を守ることができます。歯の健康を守るためには、日々の習慣が大切です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

▶プロフィールを見る