
歯の生え変わりは通常、6〜12歳頃に起こりますが、個人差が大きく、中には「早すぎる」「遅すぎる」と心配される親御さんも少なくありません。歯の生え変わりの時期に関する基本的な知識、早い生え変わりが歯並びにどのような影響を与えるのか、そして親が注意すべきポイントについてご説明します。
目次
歯の生え変わりとは?その基本的な流れ

子どもの歯である乳歯は、成長に伴って永久歯に生え変わります。一般的に、乳歯は生後6か月頃から生え始め、3歳頃までに20本がそろいます。その後、6歳前後から生え変わりが始まり、12歳頃までに永久歯へと移行します。
乳歯と永久歯の役割には違いがあります。乳歯は、食べ物をかむためだけでなく、あごの成長を促し、永久歯が正しい位置に生えるためのガイドとして機能します。そのため、乳歯の健康状態や生え変わりのタイミングは、将来の歯並びに大きく影響します。
歯の生え変わりの時期

子供は身体の成長にともなってあごの骨が成長し、歯の生え変わりはおおむね6〜12歳頃にかけて起こります。
▼乳歯(子供の歯)

↓
▼永久歯(大人の歯)

ただ身長や体重の増加、運動能力などに個人差があるのと同じで、歯の生え変わりの時期にも個人差があります。
6歳±2年くらいで最初の歯が生え変わるというお子さんは多く、ゆえに4~8歳あたりの生え変わりであれば「早すぎる!」「遅すぎる!」と心配することはないでしょう。
また生え変わったばかりの歯は、実はまだ未完成。歯の根っこの部分まで完成するのはさらに2〜3年ほどかかると言われています。
前歯・奥歯のすべてが永久歯に生え変わる時期は、こちらのサイトがわかりやすくまとめられています。
歯はいつ作られている?

歯のもととなるものを「歯胚(しはい)」といいます。乳歯の歯胚は、実は妊娠7~10週目にはもう作られています。
例えば永久歯の中で最も早く生えてくる第一大臼歯や前歯は、妊娠12~20週頃にはもう歯胚ができています。
歯の生え変わりが早いと歯並びが悪くなる?

歯の生え変わりが早いと、以下のような歯並びへの影響が考えられます。
1. 永久歯が十分に生えるスペースが確保できない
乳歯が早期に抜けてしまうと、永久歯が生えるためのスペースが確保されず、隣の歯が移動してしまうことがあります。これにより、永久歯が生えるスペースが不足し、歯が重なったり、傾いたりして不揃いな歯並びになるリスクが高まります。
具体例
乳歯が予想より早く抜けた場合、周囲の歯がその空間に移動し、結果として永久歯が斜めや横向きに生えてくることがあります。
2. 顎の発育と歯の生え変わりのバランスが崩れる
顎の成長は歯の生え変わりと連動しています。早い時期に乳歯が抜けると、顎の成長が追いつかず、歯と顎のサイズに不均衡が生じる可能性があります。顎が十分に成長していない状態で大きな永久歯が生えると、歯並びが不揃いになりやすくなります。
リスク
特に犬歯や臼歯などの大きな歯は、生えるために多くのスペースを必要とするため、顎の成長が不十分な場合、正しい位置に生えにくくなることがあります。
生え変わりが早い原因

乳歯の生え変わりが通常より早い原因には、いくつかの要因が考えられます。
外傷や虫歯
外傷による乳歯の早期脱落や、虫歯で乳歯がダメージを受けることが原因で、通常の時期より早く抜けることがあります。
遺伝的要因
家族に早い時期に歯が生え変わる傾向がある場合、同様のケースが見られることがあります。
発育の早さ
一般的に成長が早い子供は、歯の生え変わりも早くなる傾向があります。
栄養不足や病気による影響
栄養不足は乳歯の成長を妨げ、早期脱落の原因となることがあります。また、病気や感染症による体調不良も影響します。
外傷や乳歯の早期脱落
転倒や事故で乳歯が抜けると、永久歯の生えるタイミングが変わることがあります。
生え変わりの時期が遅い場合の影響

逆に、生え変わりが遅い場合も問題が生じることがあります。
遅れる原因
- 遺伝やホルモンの影響:家族歴やホルモン分泌の異常が原因となる場合があります。
- 栄養不足や慢性的な健康問題:カルシウムやビタミンDの不足は、歯の成長を遅らせることがあります。
影響
- 永久歯の生えるスペースが不足することによる歯列の乱れ:乳歯が長く残りすぎると、永久歯の正常な位置が確保できなくなります。
- 歯列矯正の必要性が高まる場合があります:矯正治療が複雑化し、期間も長くなる可能性があります。
また、乳歯が長期間残ると歯垢がたまりやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まることも考えられます。乳歯のケアを怠ると、将来的に永久歯の健康にも悪影響を及ぼします。
歯の生え変わりの時期に注意すべきこと

①歯磨きを徹底し虫歯を予防しましょう
②乳歯でも虫歯ができたら治療しましょう
①歯磨きを徹底する
生えてきたばかりの乳歯・生え変わったばかりの永久歯は、しっかり生えそろった歯と比べると実はやわらかいです。また歯の表面の目が荒く、ざらざらしているのが特徴です。
ゆえに生え変わったばかりの歯は酸などに溶けやすく、私たちが思っているよりも簡単にむし歯になってしまいます。また目が荒いことで汚れがつきやすくなっています。
汚れがつきやすい上に虫歯になりやすいというダブルパンチです。そのため、いつも以上にしっかりとした歯磨き・虫歯予防が重要となってきます。
②乳歯でも虫歯は治療が必要
小児歯科にいるとき「子供の歯はどうせ抜けるから治療しなくていいですよね?」という声を時々耳にします。しかしこれは大きな間違い。
あとから生えてくる永久歯は歯茎の中、つまり乳歯の下で成長を続けています。そのため乳歯の虫歯を放置すると、永久歯の質や歯並びに悪影響を及ぼしてしまうのです。
永久歯の歯並びを考えたとき、生え変わりの時期よりこちらの方が重要ですね。
永久歯は子供が今後一生使っていくもの。その永久歯を大切にするために、乳歯に虫歯や異常があったら必ず歯科医師に相談し、必要に応じて治療を受けるようにしましょう。
歯並びへの影響を最小限にするための対策

歯の生え変わり時期における問題を予防するためには、以下のような対策が有効です。
定期的な歯科健診
- 生え変わりの進行状況をチェック:歯科医による観察で、問題の早期発見が可能です。
- 問題が早期に見つかれば治療が容易:簡単な処置で解決することが増えます。
家庭でできるケア
- 適切な歯磨き指導:フッ素入りの歯磨き粉を使うことで、歯を強く保てます
- バランスの取れた食事(カルシウムやビタミンDの摂取):乳製品や魚などの摂取が重要です。
専門的なアドバイスを受ける
- 歯科医や矯正専門医の相談を定期的に受ける:適切な治療計画を立てるために役立ちます。
まとめ
歯の生え変わりは、子供の成長に欠かせない重要なプロセスです。生え変わりが早い場合、永久歯のスペース不足や顎の発育がアンバランスになるなどのリスクがあるため、注意が必要です。
しかし、正しいケアや適切な歯科治療を受けることで、歯並びへの悪影響を最小限に抑えることができます。お子さんの将来の口腔内健康を守るために、早めの対応と定期的な歯科健診を心がけましょう。