今回は「Eライン」について解説します。
矯正で「Eライン」とはどういう意味?
横顔のEライン(エステティックライン)とは、顔の美的バランスを評価するために用いられる基準の一つです。具体的には、以下のように説明されます。
Eラインの定義
Eラインは、顔の側面(横顔)を評価するために用いられるラインで、以下のポイントを結んだ直線です。
1. 鼻尖(びせん)・・鼻の先端
2. オトガイ(顎先)・・顎の最も突き出た部分
理想的なEラインの基準
Eラインを考える際に重要なポイントは、鼻先と顎先を結ぶ直線と、唇の位置関係です。理想的なEラインの基準として以下の点があげられます。
- 唇の位置・・このEラインに対して、上下の唇が少し内側に位置するのが理想的とされています。具体的には、上唇がEラインから約4mm、下唇が約2mm内側にあるのが美しいとされています。
上唇とEライン
- 上唇の位置・・理想的には、上唇がEラインから約4mm内側に位置します。これは横顔を見たときに、上唇が少し引っ込んでいる状態です。
下唇とEライン
- 下唇の位置・・理想的には、下唇がEラインから約2mm内側に位置します。上唇に比べて少し前に出ている状態です。
上記の基準の理由とは?
この基準は、横顔を見たときに全体のバランスが取れていると感じるためのものです。特に、唇がEラインよりも大きく前に出ていると、口元が突出して見え、バランスが崩れた印象を与えることがあります。
Eラインが整っているとは?
Eラインよりも唇が内側に収まるためには、鼻の高さやあごが適度に出ていること、歯が適切な位置に収まっていることなどが条件となります。
ただ、このEラインの基準は欧米人を基準に作られたもの。日本人は欧米人よりも鼻が低いです。そのため日本人では、「Eラインに唇が少し触れるくらいが美しい」とされることもあります。
Eラインを左右する要素とは?
Eラインの理想的な位置関係は、以下の要素によって影響を受けます。
鼻の形状
- 鼻の高さと形状・・鼻が高い(鼻筋が通っている)場合、Eラインがよりシャープに見えることがあります。鼻の形状は遺伝的な要素が強いですが、整形手術などで調整することも可能です。
顎の形状
- 顎の突出度・・顎が後退している場合、Eラインが崩れやすくなります。顎が適度に前に出ていることが理想的です。これも顎の成長や整形手術によって調整することが可能です。
歯並び
- -歯の位置と傾き・・前歯が突出している場合や、歯並びが悪い場合、唇の位置がEラインに対して前に出やすくなります。矯正治療によって歯並びを整えることで、Eラインに近づけることができます。
理想的なEラインの追求
美容整形や矯正歯科では、Eラインを考慮して以下のような治療が行われることがあります。
- 鼻整形・・鼻を高くしたり形状を整えることで、Eラインを理想的な状態に近づけます。
- 顎整形・・顎の形状や位置を調整する手術により、Eラインのバランスを取ります。
- 矯正治療・・歯並びを整えることで、唇の位置を調整し、理想的なEラインに近づけます。
矯正でEラインはきれいになる?
歯並び矯正は、必ずしもEラインを整える目的のみで行うものではありません。
出っ歯の矯正とEライン
出っ歯は、上あごがEラインより外に出ている状態です。
出っ歯の矯正とEラインの関係
出っ歯は、上の前歯が前に出ているため、唇全体が前方に突出する傾向があります。この状態ではEラインに対して唇が前に出過ぎており、横顔のバランスが崩れている場合が多いです。
出っ歯の矯正では、前歯を適切な位置に戻すために、歯を後方に移動させて歯列全体を整えます。これにより、唇の位置が後退し、Eラインに対する唇のバランスが改善されることが期待できます。
出っ歯の矯正後のEラインの変化
矯正治療により前歯の位置が後退すると、唇がEラインに近づき、横顔のバランスが整うことがあります。特に、出っ歯が原因で唇が大きく前に出ていた場合には、矯正治療後にEラインが理想的な状態に近づくことがよく見られます。
ただし、Eラインはあくまで鼻と顎の位置に対する基準であるため、鼻や顎の骨格によっては、矯正治療だけでは理想的なEラインに到達しない場合もあります。こうした場合、口元のバランスをさらに整えるために、外科的な治療(例:顎の手術)を検討することもあります。
▼出っ歯矯正の方法はこちらでまとめています。
受け口矯正とEライン
受け口の矯正とEラインの関係
受け口の場合、下顎が前に突出しているため、Eラインに対して下唇が前に出過ぎている状態になります。このため、横顔のバランスが崩れ、顎が強調されることでEラインの美しさが損なわれることがあります。
受け口の矯正治療では、下顎の位置を後ろに下げ、上下の歯の位置を引っ込めて唇や顎の位置を調整します。これにより、下唇がEラインに近づき、横顔のバランスが改善されることが期待できます。受け口の矯正には、ワイヤー矯正やマウスピース矯正、場合によっては外科的矯正(セットバック整形など)が用いられます。
受け口の矯正後のEラインの変化
受け口の矯正治療後には、下顎が適切な位置に戻るため、下唇の位置も後退し、Eラインに対する唇のバランスが整うことが期待されます。特に、受け口が原因で顎が強調されていた場合には、矯正後にEラインがより理想的な状態に近づくことが多いです。
ただし、Eラインの改善には鼻や顎の骨格も関与しているため、受け口の矯正だけで完全に理想的なEラインを実現することが難しい場合もあります。こうした場合には、外科的な処置を検討することが必要になることもあります。
▼受け口・しゃくれ矯正の方法はこちらでまとめています。
Eラインをきれいにするには抜歯矯正が必要?
出っ歯や受け口の方がEラインや美しい横顔を作るためには、抜歯が必要になることがほとんどです。これは日本人の、鼻が低めでホリが浅いという顔立ちによるもの。
ただ歯並びをきれいにするなら「歯を抜かない矯正」も可能ですが、横顔の美しさやトータルした結果を得るためには抜歯が必要となります。
矯正のEラインについてまとめ
歯並びを整えることによってできるとされる「Eライン」。Eラインにより横顔が美しくなりますが、Eラインは必ずしも矯正治療で整うとは限らないようです。
監修
医療法人真摯会
クローバー歯科クリニック
まつもと歯科
歯列・歯並び・ 咬み合わせのお悩みなら。マウスピース、インビザライン、裏側、小児矯正等。LINE相談可。八重歯、出っ歯、受け口の治療など得意です。大阪梅田、なんば、心斎橋、吹田、豊中、神戸にあります。