よくあるご質問
インプラント・入れ歯

入れ歯のお手入れ方法とその必要性

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

今回は「入れ歯のお手入れ方法」について書いていきます。

入れ歯のお手入れ方法

マウスピースの洗浄液
 ①歯ブラシ入れ歯清掃用ブラシを使う

 ②歯磨き粉はつけない

 ③就寝時は外し、水や薬液に漬けておく

 ④お湯は使わない

 ⑤定期的に歯科医院で診てもらう

①歯ブラシや入れ歯清掃用ブラシを使う

入れ歯お手入れ用に、歯磨き用とは別の歯ブラシを用意しましょう。入れ歯清掃専用の歯ブラシ、「義歯ブラシ」も売られています。どちらを使っても構いません。続けやすい方にしましょう。

入れ歯の洗浄

まず水である程度汚れを落としてから、歯ブラシで磨いていくと効率が良いです。上の図は小さい歯ブラシを使っていますが、普通の歯ブラシでも構いません。歯をみがくようにこすって磨いていきます。ゴシゴシしすぎると傷がついてしまうので、優しく磨きましょう

総入れ歯の汚れやすい部分 部分入れ歯の汚れやすい部分

特に歯にひっかけているバネのところが汚れやすいです。汚れが残りやすいといった方が適切かもしれません。

入れ歯を支えている自分の歯が虫歯歯周病にならないよう、バネの部分も忘れず磨きましょう。

②歯磨き粉はつけない

入れ歯のお手入れのときに、歯ブラシに歯磨き粉をつける必要はありません。むしろつけない方がいいです。歯磨き粉には研磨剤が含まれているので、入れ歯を傷つけてしまう可能性があるからです。

③就寝時は外し、水や薬液に漬けておく

就寝時は入れ歯は外しましょう

就寝前に外した後は、薬液に漬けておきます。入れ歯は乾燥すると割れやすくなったり、変形の原因になりますので注意してください。

入れ歯洗浄液

④お湯は使わない

お湯の方がきれいに汚れが落ちそうという考えはわからなくもないですが、熱いお湯はお手入れで使わないでください。入れ歯が変形する可能性があります。60℃以下くらいの、ぬるま湯であれば大丈夫です。煮沸消毒などは間違えてもしないでくださいね

⑤定期的に歯科医院で診てもらう

使い始めてからも定期的に診てもらうことが重要です。入れ歯が使っているうちにズレが生じ、合わなくなってくることも多くあります。痛みなどが出る前に定期的にチェックしてもらいましょう。

入れ歯お手入れの必要性

スマホとマウスピース

入れ歯のお手入れが十分でない=不潔だと、

 ①口臭の原因になる

 ②虫歯歯周病になるリスクが高まる

 ③誤嚥性肺炎の原因になる

 ④入れ歯や口の中にカビが生える原因になる

 ⑤口内炎の原因になる

などが考えられます。

①口臭の原因になる

特に入れ歯のプラスチック部分は汚れがつきやすく、口臭の原因になりやすいです。
歯磨きと同じで、お手入れが不十分だと口臭が起こります

②虫歯や歯周病になるリスクが高まる

部分入れ歯の場合、特に注意が必要です。入れ歯を支えている、歯にひっかけているバネの部分の清掃が不十分だと、よりリスクが高まります。

③誤嚥性肺炎の原因になる

入れ歯のお手入れが不十分で汚れや細菌が表面に残っている場合、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)に気をつけなければなりません。

誤嚥性肺炎とは

食べ物や唾液などが誤って食道ではなく気管に入り、肺に流れ込んだ細菌が繁殖することで起こる肺炎。高齢者や脳梗塞の後遺症がある患者など、飲食物を飲み込む嚥下(えんげ)機能が衰えている人に起こりやすい。

引用 コトバンク

誤嚥性肺炎により亡くなる方は少なくありません。それほど誤嚥性肺炎は注意すべきものです。

誤嚥性肺炎の予防には、お口の中を清潔に保つことも重要であると言われています。ある研究では歯磨きや歯科医師・歯科衛生士によるケアを受けた方は、受けなかった方と比較して、誤嚥性肺炎の発症率がおよそ半分であったという結果が出ています。

④入れ歯や口の中にカビが生える原因になる

正確にはキッチンやお風呂などの水回りに生えるカビとは少し種類が違いますが、お口の中や入れ歯のお手入れが不十分だと、お口の中にもカビが生えます。このカビの原因となる細菌はもともと口の中にいます。基本的に、免疫力があれば生えてきません。しかしご高齢の方で免疫力が下がってきたり、体調を崩されたりするとカビが生えてきます

カビを予防するためにも、日頃からお口の中・入れ歯のお手入れを行い、清潔を保つことが重要です。

⑤口内炎の原因になる

入れ歯のお手入れが不十分なことにより細菌が多くなると、お口の中の粘膜が赤くなったり口内炎ができたりします。歯垢(プラーク)などの汚れは細菌を多く含んでいます。日頃から入れ歯の手入れを行い、清潔を保つようにしましょう。

入れ歯のお手入れについてまとめ

歯のキャラクター

年齢を重ねるごとに歯を失い、入れ歯になる可能性が高まっていきます。ご両親やおじいちゃん、おばあちゃんなど、周りで入れ歯にお困りの方がいたら参考にしてみてください。

入れ歯は正しく使用していても、時に痛み違和感の原因になったり、噛みづらさしゃべりづらさを感じてしまうもの。例え入れ歯安定剤を使って楽になっても、それはあくまで一時的なものです。我慢して使い続けることで、歯茎が痩せてしまったり入れ歯自体が歪んでしまったりすることもあります

いま使用している入れ歯がしょっちゅう合わなくなる、しょっちゅうゆるくなったり違和感を感じたりするという場合は、歯科医院を変えてみてもいいかもしれません。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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