今回は「子供の口内炎」についてまとめていきます。
目次
口内炎の種類
1. ウイルス性口内炎(ヘルペス性歯肉口内炎)
子供に多く見られるウイルス性口内炎の一つが、ヘルペスウイルスによって引き起こされるヘルペス性歯肉口内炎です。このタイプの口内炎は、唇や歯茎に水疱ができ、その後破れて痛みを伴う潰瘍となります。高熱や全身の倦怠感が見られることもあります。
- 原因・・ヘルペスウイルス(主にHSV-1)の感染によるものです。初感染は幼児期や小児期に発症することが多く、主に唾液や接触によって感染します。
- 対処法・・痛みを和らげるために、口内炎専用の軟膏や口腔内洗浄剤を使用することが有効です。また、症状が重い場合は抗ウイルス薬を使用することも検討されます。脱水を防ぐため、十分な水分補給を心がけます。
2. アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は、口の中に小さな白い潰瘍が一つまたは複数現れるのが特徴です。痛みが強く、食事や会話に支障をきたすことがあります。発熱や全身症状を伴わないことが一般的です。
- 原因・・ストレス、栄養不足(特にビタミンB群や鉄分の不足)、免疫低下、口腔内の傷などが原因と考えられます。
- 対処法・・口内を清潔に保つため、うがいや消毒を行います。ビタミンを補給するため、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。症状が重い場合は、ステロイド入りの軟膏が処方されることがあります。
3. 外傷性口内炎
外傷性口内炎は、口の中を誤って噛んだり、硬い食べ物で口内を傷つけた際に発生することがあります。傷ができた場所に炎症が起こり、口内炎となります。
- 原因・・誤って頬や唇、舌を噛む、または歯の矯正装置や食べ物で口内が傷つくことによって発生します。
- 対処法・・刺激を避けるために、刺激物(辛い食べ物、酸味の強い食べ物)を控えるとともに、傷口を清潔に保つよううがいをします。治癒を促進するために、口内炎用の薬を使用することが有効です。
4. カンジダ性口内炎
カンジダ菌による感染が原因で発生するカンジダ性口内炎は、口の中に白い苔状のものが付着し、赤みを帯びた痛みを伴うことがあります。特に乳幼児や免疫力が低下している子供に多く見られます。
- 原因・・免疫力の低下や抗生物質の長期使用によって、口腔内のカンジダ菌が増殖し、口内炎を引き起こします。
- 対処法・・抗真菌薬の使用が必要です。抗生物質の使用を見直すことや、口腔内を清潔に保つために、うがいを心がけることも重要です。
【子供の口内炎症状①】赤い・白い
これは口内炎の中でも最もよく見かける症状ではないでしょうか。
原因
唇やお口の中が赤く腫れたり水ぶくれができたり、白いコケのようなものができることもあります。
赤い・白い口内炎はウイルス・細菌感染により発症します。またぶつけたり尖った歯から長期間刺激を受けることでも発症します。火傷によって似たような症状が出ることもあります。
対処法
基本的に口内炎の部分には触らないようにします。歯磨きをするときも同様です。また口内炎以外の部分は清潔を保つようにします。うがい薬や塗り薬を塗って様子を見ましょう。
【子供の口内炎症状②】発熱した
口の中の痛みを訴えるだけでなく、高熱やリンパの腫れなど明らかな異常を認めます。
原因
単純ヘルペスウイルスに感染すると、口内炎だけでなく高熱が出ます(38〜40度ほど)。単純ヘルペスウイルスは、感染してもすぐ発症するのではなく、2〜12日間ほどの潜伏期間があります。
単純ヘルペスウイルスに感染すると、お口の中には強い痛みを感じます。
対処法
単純ヘルペスウイルスは潜伏期間があり、その期間は目に見える症状が出にくいです。しかしその間でも、お口の中に不快感や違和感を感じるなど子供が症状を訴えることがあります。
そのような症状をあまりに訴えるようであれば歯科医院に相談しましょう。目に見える症状が出るまでママ・パパは気づきにくいです。
【子供の口内炎症状③】食べ物を食べない
原因
口内炎により舌やお口の中に痛みを感じるときは、食べ物を口にしたがらない・食べないでしょう。口内炎があるからこそ食べ物で栄養をとることが大切ですが、子供はそれが理解できなくて当然です。
対処法
子供が口内炎により食べ物を食べないときは、水分を多く含んだものや柔らかいものを勧めてみましょう。おかゆやおじや、柔らかい煮物などであれば食べやすく、口内炎を傷つけにくいです。
避けるべき食べ物は熱いもの、辛みのあるもの、酸っぱいもの、乾燥しているもの、固いもの、弾力のあるものなどです。刺激の強いものは口内炎を悪化させる可能性があります。
乾燥しているものはお口の中の水分を奪うことで口内炎を傷つけてしまったり、また何度も噛む必要があるものは、口内炎を噛んでしまい悪化させるリスクが高いです。
【子供の口内炎症状④】なかなか治らない
基準になる期間は「2週間」です。
原因
単なる口内炎ではない可能性があります。
対処法
子供の口内炎がなかなか治らない、特に2週間以上経っても良くならない場合は、病院へかかりましょう。塗り薬を使っていればそれを持参すると伝わりやすくて良いです。
【子供の口内炎症状⑤】繰り返しできる
日常生活にも目を向けてみましょう。
原因
子供の口内炎ができる原因はさまざまですが、口内炎を何度も繰り返すようであれば、普段の生活に原因があるかもしれません。
歯磨きが上手くできずお口の中が不潔な状態だと、お口の中で細菌が増え口内炎ができやすくなります。また身体の免疫力・抵抗力が弱っているとウイルスに感染しやすかったり、口内炎ができやすくなります。
対処法
歯科医院で定期検診を受けたり、歯磨き指導を受けるのも手です。また口内炎の予防に効く食べ物を積極的に取り入れたり、食べ物の温度に気を使うのも良いでしょう。
▼口内炎の予防・口内炎に効く食べ物はこちらでまとめています。
https://matsumoto.or.jp/toothteeth/mouth-pain-food/
子供の口内炎はどの病院・何科に行くべき?
お子さんの口内炎は小児歯科や小児科へかかるのが正解です。
ただ単純ヘルペスウイルスなど、ウイルスによる口内炎の場合は、高熱やリンパの腫れなども症状として現れます。この場合は小児歯科ではなく小児科にかかった方がスムーズです。
予防と生活習慣の改善
口内炎を予防するためには、日常の生活習慣が重要です。
- バランスの取れた食事・・ビタミンB群や鉄分を含む食事を摂ることで、口内炎を防ぐことができます。
- ストレス管理・・子供がストレスを感じたときに、リラックスできる環境を整え、ストレスを和らげることが予防に役立ちます。
- 口腔内の清潔維持・・歯磨きをしっかり行い、口内を常に清潔に保つことで、細菌やウイルスの繁殖を防ぎます。
子供の口内炎症状と原因・対処法に関するQ&A
口内炎が2週間以上治らない場合は、ただの口内炎ではない可能性が考えられます。このような場合は、病院を受診することが重要です。既に塗り薬を使っている場合は、それを持参して医師に相談しましょう。
子供がよく口内炎になる場合は、歯磨きが上手くできずお口の中が不潔な状態である可能性があります。また、身体の免疫力・抵抗力が弱っていると口内炎ができやすくなります。予防法としては、定期的な歯科医院の検診や歯磨き指導を受けること、口内炎予防に効く食べ物を摂取すること、食べ物の温度に気を付けることが挙げられます。
子供が単純ヘルペスウイルスに感染した場合、高熱やリンパの腫れなどがある場合は小児科を受診することが適切です。口内炎が発生している場合でも、一般的な感冒症状や発熱などが伴う場合は、口腔のみならず全身の症状を考慮する必要があります。
子供の口内炎まとめ
大人でさえつらい口内炎。子供はもっと痛がったり、食べ物を食べようとしなかったりするでしょう。お口の中の痛みや違和感を訴えたら耳を傾け、必要に応じて病院に連れていってあげましょう。