乳歯歯並びの良い・悪いとは？前歯が斜めに生えてきたら

まつもと歯科　理事長・総院長　松本 正洋

今回は「乳歯（子供の歯）の歯並び」について書いていきます。

【乳歯の歯並び】良い・悪い
【乳歯の歯並び】前歯が斜めに生えてきた
乳歯の歯並びが永久歯に与える影響
乳歯歯並びの良い・悪いに関するQ&A
乳歯の歯並びについてまとめ

【乳歯の歯並び】良い・悪い

乳歯の歯並びは、子どもの成長過程で自然に改善されることがあるため、完全に「悪い」と判断するのは早い場合があります。特に、乳歯が揃い始める時期には歯並びが乱れることがよくありますが、成長と共に顎のサイズが大きくなり、歯が適切な位置に移動することもあります。

乳歯の歯並びは、「すきっ歯」になっている状態が良いと言われています。歯と歯の間にすき間がある、「すきっ歯」。永久歯だと悪い歯並びとして挙げられますが、実は乳歯の場合は逆です。

なぜ乳歯のうちはすきっ歯である方が良いのでしょうか？

その理由は、後から生えてくる永久歯にあります。永久歯は、乳歯に比べて大きさが大きいのはご存知でしょうか？永久歯の大きさは、乳歯のおよそ1.5〜2倍。そのため乳歯のとき歯と歯の間にすき間がないと、永久歯の生えてくるスペースが足りなくなってしまうのです。

永久歯の生えてくるスペースが足りないとどうなるのか？

永久歯はスペースがなくても何とか生えてこようとするので、ガタガタの歯並びや八重歯になったりします。

乳歯は2〜3歳ごろに生えそろいます。その後もあごは成長し続けるので、4〜5歳ごろになると歯と歯の間にすき間があいてくるはずです。

【乳歯の歯並び】前歯が斜めに生えてきた

乳歯の前歯が斜めに生えてきても、焦る必要はありません。むしろ乳歯の前歯が、はじめからまっすぐ生えてくることの方が珍しいと言われています。多くの場合は斜めに生えてきたり、隣の乳歯とすき間があいた状態で生えてきたりします。そのため焦る必要はありません。

乳歯が生えてからもあごは成長し続け、それにともなって歯も動いていきます。乳歯が全て生えそろうまでは様子をみましょう。

斜めに生えてくる原因

乳歯が斜めに生えてくる主な原因として、顎の発達の遅れや、乳歯のスペース不足などが考えられます。また、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖（舌突出癖）がある場合、歯が斜めに生えることもあります。このような習慣によって歯並びに影響が出るため、習慣を改善することが重要です。

早期治療の必要性

乳歯の歯並びが悪い場合でも、必ずしも早急に治療が必要ではないことを伝えると同時に、定期的な歯科検診を通じて経過を観察することの重要性を強調することが大切です。場合によっては、早期の介入が望ましい場合もあり、特に顎の発達に問題がある場合や、歯のスペースが極端に狭い場合は、早期の矯正治療が検討されることがあります。