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歯石と食べ物の関連性

歯石と食べ物の関連性まとめ

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

今回は「歯石と食べ物の関連性」について書いていきます。

歯石の形成メカニズム

歯石は、歯の表面に蓄積した歯垢(プラーク)が硬化してできるものです。歯垢は、食べ物の残りかすや唾液中のタンパク質、細菌が混ざり合ったもので、特に糖分を含む食べ物や飲み物を摂取した後に歯の表面に付着します。歯垢が除去されないまま放置されると、唾液中のカルシウムやリン酸と結合して硬化し、歯石となります。歯石は一度形成されると、通常の歯磨きでは除去できず、歯科医院でのクリーニングが必要です。

糖分と歯垢の関係

糖分を多く含む食品は、歯垢の形成に大きく影響を与えます。特に、砂糖や精製された炭水化物(白パン、クッキー、ケーキなど)は口の中で酸を生成しやすく、細菌が増殖しやすくなります。これにより、歯垢がより多く形成され、結果的に歯石の元となります。歯垢が長時間口の中に残ると、唾液中のミネラルと結びついて歯石を作りやすくなるため、糖分を多く含む食事が続くと歯石の形成が促進されます。

食物繊維と歯の健康

一方、食物繊維を多く含む食品、特に生の野菜や果物は、口の中の汚れを自然に除去する作用があります。これらの食品を噛むことによって唾液の分泌が促進され、唾液が歯垢を洗い流す役割を果たします。例えば、リンゴやニンジンのような硬めの食べ物は、咀嚼する過程で歯の表面を物理的に掃除する効果があり、歯垢の蓄積を防ぐことができます。

カルシウムと歯石の関係

カルシウムは歯の健康に欠かせない成分ですが、歯石の形成においても重要な役割を果たします。唾液中のカルシウムは、歯のエナメル質を修復する助けをしますが、同時に歯垢に蓄積されると硬化し、歯石を作る原因となります。そのため、カルシウムを多く含む食べ物(乳製品など)を摂取しつつ、定期的に歯の清掃を行うことが大切です。適度なカルシウムの摂取は、歯の強化には役立ちますが、口腔ケアを怠ると歯石の原因にもなり得ます。

酸性の飲食物の影響

酸性の飲食物(炭酸飲料、柑橘類、酢を使った食品など)は、歯の表面のエナメル質を軟化させ、細菌が歯に付着しやすくします。これにより、歯垢が蓄積しやすくなるため、歯石の形成リスクも高まります。特に、酸性の飲み物を頻繁に摂取することは、歯石の生成を加速させる一因となります。

歯石は食べ物を食べなければつかない?

料理

食べ物を食べなくても歯垢(プラーク)はつきます。お口の中に元々いる細菌たちのせいです。それらと唾液が合わさって石灰化し、固まったのが歯石です。ゆえに食べ物を食べなくても、歯石はつきます

例えば胃ろうなど、管を通して栄養を身体に送っている方(=経管栄養)でも、お口の中は汚れます。むしろ口から食べ物を食べることで唾液が多く分泌され、細菌が洗い流されるなど自浄作用が働きます。そのため口から食べ物を取っていない方ほど汚れやすいといっても過言ではありません。

経管栄養とは

管を用いて胃に直接栄養を送ることをいう。栄養は、食事によって口からとるのが最良であるが、舌、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)、食道に疾患があって嚥下(えんげ)運動に障害のある患者、口腔(こうくう)や食道の手術後で手術部位を清潔かつ安静に保ちたい患者、意識不明、拒食症の患者などにはこの方法を用いる。管は一般には鼻腔または口腔を経るが、直接、胃や小腸内に挿入する方法もある。

引用 コトバンク

食後どれくらいで歯石になる?

料理

食べ物を食べた直後は、歯に汚れがついているようには見えません。歯垢(プラーク)は、食べ物を食べた後およそ4~8時間ほどで作られます。

歯磨きをしなかったり歯磨きしても磨き残しがあったりすると、その歯垢(プラーク)は歯石となり固まってしまいます。歯垢〜歯石になるまでの時間はおよそ48〜72時間2〜3日ですね。

2〜3日間歯磨きしないという方は少ないと思いますが、歯磨きの癖や磨き残しやすい場所があれば、知らぬ間に2〜3日放置されて歯石となります。歯磨きの癖や磨き残しをなくすためには、歯医者で歯科衛生士に歯磨き方法を習うのが一番です。

歯石を取ると食べ物がはさまりやすくなる?

料理

歯医者で歯石を取ってもらったことにより、歯と歯の間に隙間ができることも。そうなると歯石を取る前よりも食べ物がはさまりやすくなりますよね

そう思われる方もいると思います。しかし歯石は歯垢(プラーク)が固まったものであり、その歯垢(プラーク)は細菌の塊です。加えて、歯石自体も表面がザラザラしているため汚れが付きやすくなっています。また歯石の下に虫歯が隠れていることだってあります。

  1. お口の中の細菌数を減らす
  2. これ以上歯石をつかないようにする
  3. 治療を円滑に進める

歯周病・歯茎の腫れだけでなく、これらのためにも歯石を取ってもらうのは重要なことと言えます。

歯石予防のための食事の工夫

歯石の予防には、日々の食事の工夫が役立ちます。以下のようなポイントに気を付けることで、歯垢の蓄積や歯石の形成を防ぐことができます。

  • 糖分の摂取を控える・・砂糖を多く含む食品や飲み物の摂取を減らし、間食を控えることで、歯垢の形成を抑えます。
  • 食物繊維を積極的に摂る・・硬めの野菜や果物を日常的に食べることで、自然な歯の清掃効果が得られます。
  • 酸性の食品に注意する・・酸性の飲食物を摂取した後は、すぐに水で口をすすぐか、しばらくしてから歯磨きを行うと良いです。
  • バランスの良い食事・・カルシウムやビタミンDを含む食品をバランスよく摂取し、歯の健康を保つことが重要です。

歯石と食べ物の関連性に関するQ&A

歯石はどのようにできるのですか?

歯石は、口の中に存在する細菌と唾液が結合して石灰化し、固まったものです。食べ物を食べなくても、口内の細菌が存在し、それらと唾液が反応して歯石が形成されます。

歯石になるまでの時間はどのくらいですか?

食後およそ4~8時間後に歯垢が作られます。歯垢は48~72時間で歯石に固まります。つまり、食事後からおおよそ2~3日後に歯石となります。

歯石を取ることの利点は何ですか?

歯石を取ることにはいくつかの利点があります。まず第一に、歯石の除去によって口内の細菌数を減らすことができます。また、歯石を取ることによって新たな歯石がつきにくくなります。さらに、歯石を取ることは治療を円滑に進めるためにも重要です。

歯石と食べ物の関連性まとめ

歯のキャラクター

おおもとの原因である食べ物を食べなければ歯石はつかない・・・ということは決してありません。いつも通りの生活をし、しっかり歯を磨くことができれば歯石は防ぐことができます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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