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歯ぎしりによる影響

歯ぎしりによる影響8選

まつもと歯科 理事長・総院長 松本 正洋

歯ぎしりによる影響は、歯の摩耗や詰め物の破損、顎関節への負担に加えて、頭痛や肩こり、睡眠障害など全身にも影響を及ぼすことがあります。歯ぎしりが与える影響とその対策についてご説明します。

歯ぎしりとは?

歯ぎしり(専門用語で「ブラキシズム」)は、以下のような特徴を持つ行動です。

  • 歯の擦れ合わせ・・上下の歯をこすり合わせる動き。
  • 歯の噛み締め・・強い力で歯を噛み締める行動。

これらは主に無意識のうちに行われ、特に睡眠中に起こりやすいとされています。

歯ぎしりの主な原因

歯ぎしりの原因は個人差がありますが、主な原因は以下のようなものです。

  1. ストレスや緊張・・精神的なストレスや日常のプレッシャーが歯ぎしりを引き起こすことがあります。
  2. 噛み合わせが悪い・・不正咬合(歯列不正)により、歯の接触が不均一になることで歯ぎしりが誘発される場合があります。
  3. 睡眠障害・・睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が関連していることもあります。
  4. 生活習慣・・カフェインやアルコールの過剰摂取、喫煙が歯ぎしりを悪化させる要因となることがあります。

歯ぎしりによる影響

人形

歯ぎしりは軽視されがちですが、与える影響は歯や顎に良くないものばかりです。

歯への影響

  1. 歯の摩耗
  2. 詰め物や被せ物の破損
  3. 顎関節への負担
  4. 歯周組織への影響
 

歯ぎしりや歯の食いしばりによって歯にかかる力は、思っている以上に大きな力です。このような負担が歯にかかり続けると、歯がすり減ったり割れたりするのはもちろんのこと、神経がダメージを受けてしみたり痛みが出やすくなります

また歯に力がかかり続けることであごが痛くなったり口が開けづらくなる顎関節症になることも。あるいは歯を支えている骨にも力がかかり、骨が吸収されて歯周病が悪化することもあります。

歯の摩耗

長期間の歯ぎしりは、歯の表面をすり減らし、エナメル質が損傷されます。これにより、歯が敏感になり、冷たいものや熱いものを摂取する際に痛みを感じやすくなります。また、摩耗が進行すると、歯の形が変わり、噛み合わせにも影響を与えることがあります。

  • 歯が短くなる
  • 知覚過敏が発生する
  • 詰め物や被せ物が破損しやすくなる

詰め物や被せ物の破損

歯ぎしりの強い圧力により、詰め物やクラウンが破損するリスクが高まります。特にセラミックなどの素材は割れやすいため、歯科治療を受けた部分にダメージを与えることがあります。これにより再治療が必要になるケースもあります。

顎関節への負担

歯ぎしりは顎関節に過度な負担をかけ、顎関節症を引き起こすリスクがあります。顎関節症は、顎の痛みや開閉時の音、さらには頭痛や首の痛みを伴うことがあり、日常生活に支障をきたすことがあります。

  • 顎の痛みやこわばり
  • 口を開閉する際の音や違和感
  • 頭痛や首肩の凝り

歯周組織への影響

歯ぎしりによって歯に過剰な力が加わると、歯を支える歯周組織にも悪影響を及ぼします。歯肉の炎症や歯周病の進行を促進し、歯がぐらついたり、最悪の場合、歯が抜けることにつながることもあります。

身体への影響

  1. 頭痛・肩こり
  2. 腰痛
  3. 睡眠障害

歯ぎしりは口腔内だけでなく、全身にも影響を及ぼすことがあります。歯ぎしりや食いしばりにより、頭の横にある筋肉が緊張状態となります。これがずっと続くことで頭痛が起こります。

同じように歯ぎしりや食いしばりにより、ものを噛む筋肉も緊張状態となります。この筋肉は肩や腰の筋肉ともつながっているため、あごの疲れだけでなく肩こり腰痛といった症状も出ます。

このように顔や口周りの筋肉に力がかかり続けることで、顔が大きくなったエラが張ったようにように見えるなど見た目にも影響を及ぼすことがあります。

頭痛や肩こり

歯ぎしりによる顎の筋肉の緊張は、頭痛や肩こりを引き起こすことがあります。特に、朝起きたときに頭が痛いと感じる場合は、夜間の歯ぎしりが原因であることが考えられます。筋肉の緊張が長期間続くと、慢性的な肩こりや首の痛みを引き起こすこともあります。

睡眠障害

歯ぎしりは、本人だけでなく、家族の睡眠にも影響を与えることがあります。大きな音を伴う場合、同じ部屋で寝ている人の睡眠を妨げることがあり、結果的に家族全員の健康に悪影響を及ぼすことがあります。さらに、歯ぎしり自体が睡眠の質を低下させ、疲労感を感じやすくなることもあります。

歯ぎしりへの対策

歯科医院でマウスピースを作ってもらったり、歯ぎしりの原因を見つけて対処することなどが挙げられます。歯ぎしりや食いしばりは、上の歯と下の歯が当たることから始まりますので、日頃から上下の歯が当たっていないか、自分で意識して離すだけでも歯ぎしりや食いしばりは減っていくでしょう。何もしていないとき、口を閉じていても上の歯と下の歯の間には隙間があるのが正しい位置です。

歯ぎしりを軽減し、口腔内の健康を守るための対策として、以下の方法が有効です。

マウスピースの使用

歯ぎしりを緩和するためのマウスピース(ナイトガード)は、夜間の歯ぎしりによる歯の摩耗や顎関節への負担を軽減します。歯科医に相談し、歯型を取ってご自身の歯に合ったものを作成してもらうことが推奨されます。

  • ナイトガードと呼ばれる専用のマウスピースを装着することで、歯や顎への負担を軽減します。
  • 患者さんの歯型に合わせたカスタムマウスピースを作成することで、より効果的な保護が可能です。

ストレス管理

歯ぎしりは、ストレスが原因で起こることが多いといわれています。そのため、ストレスを適切に管理することも重要です。リラクゼーション法やストレッチ、十分な睡眠を心がけることで、歯ぎしりを予防することができます。

  • リラクゼーション法や運動、趣味を通じてストレスを軽減することが重要です。
  • 深呼吸や瞑想などのリラックス技術も有効です。

姿勢の改善

噛み合わせが悪い場合、歯ぎしりが誘発されることがあります。また、姿勢が悪いことも顎に負担をかける原因となるため、正しい姿勢を保つことが大切です。特に、長時間のデスクワークをする際には、定期的に姿勢をチェックし、筋肉の緊張をほぐすようにしましょう。

生活習慣の改善

  • カフェインやアルコールの摂取を控える。
  • 就寝前にリラックスする時間を設ける。

噛み合わせの調整

  • 歯科医師による噛み合わせの確認や調整を行います。
  • 不正咬合が原因の場合、矯正治療が必要になることがあります。

睡眠障害の治療

  • 睡眠時無呼吸症候群などがある場合は、専門医の治療を受けることが重要です。

歯ぎしりを治すにはどの病院に行けば良い?

まず歯科医院に行くことをおすすめします。歯科医院で歯ぎしり用のマウスピースを作ってもらい、就寝中などに使用します。歯ぎしりをすぐなくすことは難しいですが、それまでの間歯への負担を減らすために使用します。

覚えておきたいのは、このマウスピースで歯ぎしり自体を治せるわけではありません。歯ぎしりによる歯への負担を軽減するのがマウスピースです。歯ぎしり自体を根本的に治すには、歯ぎしりをしてしまう原因(ストレスなど)を解決しなければいけません。

歯ぎしりを放置しないために

歯ぎしりは無意識のうちに進行し、歯や顎、周囲の組織に深刻なダメージを引き起こす可能性があります。早期に歯科医師に相談し、適切な治療や予防策を講じることで、健康な口腔状態を維持することができます。

定期的な健診を受けることで歯ぎしりの初期症状を発見でき、早期治療が可能になります。歯ぎしりの影響に悩む患者さんは、一度歯科医院での相談をおすすめします。

まとめ

歯のキャラクター

歯ぎしりが与える影響は、歯や顎関節だけでなく、全身の健康にまで広がります。しかし、適切な対策を取ることでその被害を最小限に抑えることが可能です。マウスピースの使用やストレス管理、姿勢の改善などを実践することで、歯ぎしりによる負担を軽減できます。また、歯科医院での早めの相談とケアが、将来的なトラブルの予防に繋がります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科吹田本院
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医日本歯周病学会

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