
ブリッジ治療は、両隣の歯を支台として橋を架けるように被せ物をする方法です。咀嚼や見た目を回復する効果がありますが、支台歯への影響やセルフケアなど、いくつかのデメリットもあります。ブリッジ治療のメリット・デメリット、他の治療法との違いについてご説明します。
ブリッジの治療とは
虫歯や歯周病などで1本歯を抜く必要がある場合、両隣の歯を支えるために削り、歯を失った部分に橋を架けるように被せ物をする治療をブリッジ治療と呼びます。治療の分類としては補綴(ほてつ)治療で、架橋(かきょう)義歯、橋(きょう)義歯と呼ばれます。ブリッジの治療ができるかどうかについては、下記の条件を満たす時に限られます。
- 連続して1本以上の歯を失った部分が僅かな本数である
- 欠損部分と隣接する歯が健康である
僅かな本数というのがあいまいですが、連続した歯を失った場合、3本までしかブリッジで治療を行うことができません。それ以上の本数の連続した欠損がある場合は、入れ歯になります。1本欠損の場合、支台歯2本で3本分の噛み合わせる力が必要になるため、咀嚼の力がかかり過ぎてしまうのです。
ブリッジ治療の仕組みとは?
ブリッジ治療は、失われた歯の隙間を埋めるために、人工歯を被せ物で支える治療方法です。
治療の流れは以下の通りです。
- 欠損した歯の両側の健康な歯を削り、支台歯(支えとなる歯)にする
- 支台歯の上にクラウン(被せ物)を装着し、それらを人工歯で連結して隙間を埋める
- ブリッジ全体を固定することで、噛む機能や見た目を回復します
ブリッジのメリット
1. 機能の回復
歯のブリッジは、失った歯の機能を補い、噛む力を回復させます。これにより、しっかりと咀嚼できるようになりますので、胃腸に負担をかけずに食事をスムーズに行うことができるようになります。
- 失った歯の部分を迅速に補うことで、咬む機能を早期に回復します。これにより、食事の際のストレスが軽減され、固い食品や噛みごたえのある食材を再び楽しむことができます。
- また、咬合機能が早期に回復することで、他の歯や顎関節への負担を軽減し、長期的な口腔内の健康維持に寄与します。
- 例えば、失われた歯がある状態を放置すると咬合バランスが崩れ、隣接する歯や対向する歯が移動してしまうリスクがありますが、ブリッジ治療によりこれらの問題を未然に防ぐことが可能です。
2. 見た目の改善
ブリッジは、天然の歯に近い外見を持つため、見た目が良くなります。特に前歯が欠けた場合、ブリッジで治療することで自信を持って笑顔を見せることができるようになります。
- セラミックなどの素材を使用することで、健康な歯と見た目がほぼ変わらない仕上がりが期待できます。見た目の自然さは患者さんの自信に繋がり、会話や笑顔を楽しむ日常生活への貢献度が高いです。
- 特に前歯など審美的な要求が高い部位においても、自然な色合いや形状を再現する技術が確立されているため、審美的要望に応えられます。
- また、人工歯の材質選択によっては、耐久性や審美性をさらに高めることが可能で、長期間にわたって満足のいく結果が得られます。
3. 歯並びの維持
失った歯を補わないと、隣の歯が空いたスペースに移動し、歯並びが乱れる可能性があります。ブリッジを使用することで、隣の歯が移動するのを防ぎ、歯並びを維持することができます。
4. 短期間で治療が完了する
- インプラント治療に比べて治療期間が短く、数週間から1カ月程度で終了します。短期間での治療が可能なため、特に仕事や家庭の事情で長期の通院が難しい方にとって有利な選択肢となります。
- また、治療中も比較的通常の生活を続けられるため、生活の質を維持しやすいのも特徴です。
- 例えば、ブリッジ治療では治療完了までに数回の通院で済むことが多く、忙しい日常の中でも実現しやすい治療方法と言えるでしょう。
5. 費用が比較的安価
- 保険適用の場合、インプラントよりも安価に治療が可能です。保険が適用されない高価な治療と比較すると、費用面での負担が少ないため、多くの患者さんにとって実現可能な治療法です。
- 例えば、セラミックや金属など、使用する素材によって費用は異なりますが、選択肢が豊富であるため、患者さんの予算や希望に合わせた治療計画が立てやすい点がメリットと言えます。
- 特に複数の歯を補う場合でも、費用が抑えられるため、コストパフォーマンスに優れた方法とされています。
ブリッジのデメリット
1. 健康な歯への影響
ブリッジを装着する際、隣接する健康な歯を削る必要があります。これにより、健康な歯が弱くなるリスクがあります。
- 支台歯にするため、隣接する健康な歯を削る必要があります。
- 健康な歯に負担をかけることになるため、長期的に見るとその歯の寿命が短くなる可能性があります。
2. セルフケアが必要
ブリッジは、天然の歯と同様に歯磨きやフロスでのケアが必要です。特に、ブリッジの下に食べ物が詰まりやすく、虫歯や口臭の原因になりますので、専用のデンタルフロスや歯間ブラシでのケアが重要です。
- ブリッジの下部に歯垢が溜まりやすく、歯磨きが不十分だと虫歯や歯周病の原因になります。
- 特別なデンタルフロスや歯間ブラシを使用する必要があります。
3. 予後の問題
ブリッジの下にある歯が虫歯や歯周病にかかるリスクがあります。これにより、ブリッジの寿命が短くなることがあります。
4. 長期的な費用
ブリッジはインプラントに比べて初期費用が低い場合が多いですが、材質によっては数年後に再治療が必要になることがあり、長期的には費用がかかることがあります。
5. 寿命が限られている
ブリッジの寿命は通常5〜15年程度です。個々のケースによりますが、いずれは交換が必要となることが多いです。
- ブリッジは通常10年から15年程度の寿命とされており、それ以上使用する場合は修理や再作成が必要になる場合があります。
- 特に素材や使用環境によって寿命が異なるため、適切な素材選びが重要です。
ブリッジ治療が適しているケース
歯茎の状態が良好な場合
歯茎が健康で、支台歯となる歯がしっかりしている場合、ブリッジが適した選択肢となります。
インプラント治療が難しい場合
骨の量が不足している、全身疾患がある、外科手術に不安がある場合には、ブリッジを選択される場合が多いです。
早急な機能の回復が求められる場合
短期間で咬む機能や見た目を回復したい場合に適しています。
他の治療との違いについて
ブリッジ治療以外の治療としては、入れ歯やインプラントがあります。
入れ歯

入れ歯治療は保険適用内・自費治療ともに行える治療法ですが
- ブリッジ治療より入れ歯の作製には時間がかかる
- 欠損部を支える歯(支台歯)がバネをかけることでダメージを受けやすい
- 噛む刺激の伝達がいかず他の残存歯を支えるあごの骨も痩せて抜けやすくなる
インプラント

インプラント治療は手術により人工歯根を埋入し自立する人工歯を入れる治療で、食べ物を噛む力は天然歯と変わらず、他の残存歯に影響を与えない治療法ですが
- 保険適用外の自由診療であるため費用が高い
- 治療期間が入れ歯治療やブリッジ治療に比べてかかる
- 手術になるため、服用中の薬や全身疾患の状態によってはインプラント治療を行えない人もいる
このように他の治療方法にも一長一短の特徴があります。
まとめ

ブリッジ治療は、短期間で機能や見た目を回復できる優れた方法ですが、隣接する健康な歯を削る必要があり、長期的なメンテナンスが欠かせません。
一方で、入れ歯やインプラントなどの他の治療法と比較すると、それぞれにメリットとデメリットがあるため、患者さんの口腔状態やライフスタイルに合わせた選択が重要です。
歯科医としっかり相談し、自身に最適な治療法を見つけて、大切な歯の健康を守りましょう。