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子供の歯

乳歯の虫歯の治療と予防について

乳歯の虫歯の治療と予防について

乳歯の虫歯は子供の咀嚼能力、発語、そして顎の発育にまで影響を及ぼす可能性があります。さらに、乳歯の虫歯は将来的に永久歯の生え方や健康状態にも影響を与える可能性があります。乳歯の虫歯予防の重要性、効果的な予防法、そして万が一虫歯になってしまった場合の治療法についてご説明します。

子供の虫歯予防の重要性

乳歯の虫歯を予防することは、子供のお口の健康を守るために重要です。更に、子供の頃に正しいセルフケアの方法を身につけると、大人になってもその習慣が持続するというメリットがあります。

  • 定期的な歯科健診・・早期発見と早期治療が虫歯の進行を防ぎます。
  • 正しい方法での歯磨き・・子供に正しい歯磨き方法を教えることで、虫歯予防が可能です。
  • 食生活の管理・・砂糖の摂取を控え、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。

乳歯の虫歯治療方法

乳歯の虫歯治療にはいくつかの方法があります。子供の虫歯の進行状況や健康状態に応じて、適切な治療法を選ぶことが重要です。以下に、乳歯の虫歯治療方法をご説明します。

1. フッ素塗布

フッ素塗布は、虫歯予防および初期の虫歯治療に効果的です。フッ素には以下のような効果があります。

  • 歯の再石灰化・・フッ素は歯のエナメル質を強化し、初期の虫歯が進行するのを防ぎます。また、既に始まった虫歯の進行を抑え、歯の再石灰化を促進します。
  • 酸に対する耐性・・フッ素はエナメル質を酸に強くし、虫歯の原因となる酸の攻撃から歯を守ります。

治療の流れ

  1. 歯科医がフッ素を含むジェルを子供の歯に塗布します
  2. 数分間放置し、その後余分なフッ素を拭き取ります
  3. 治療後、一定時間(通常30分程度)は飲食を避けるよう指示されます

2. シーラント

シーラントは、奥歯の溝や裂け目に詰めるプラスチック製の保護剤です。以下のような効果があります。

  • 物理的に溝を塞ぐ・・シーラントは歯の溝や裂け目を覆い、食べ物やプラークが溜まるのを防ぎます。これにより、虫歯のリスクが大幅に減少します。
  • 数年間保護できる・・シーラントは数年にわたって歯を保護しますが、定期的にチェックし、必要に応じて再塗布することが推奨されます。

治療の流れ

  1. 歯科医が歯の表面を清掃し、乾燥させます
  2. シーラントを歯の溝に塗布し、硬化させます
  3. 完了後、シーラントが正しく定着しているかを確認します

3. 充填治療・詰め物

充填治療・詰め物は、進行した虫歯の治療に用いられます。虫歯によって失われた歯質を補うために、さまざまな材料が使用されます。

  • コンポジットレジン・・白い詰め物で、自然な歯の色に近い材料です。見た目が自然で、前歯など目立つ場所の虫歯治療に適しています。
  • 銀歯・・銀色の詰め物で、耐久性が高く、奥歯など強い力がかかる場所に適していますが、金属で目立つたあまり好まれないこともあります。

治療の流れ

  1. 虫歯部分を削り取ります
  2. 虫歯を除去した部分を清掃し、乾燥させます
  3. 適切な材料で穴を充填し、硬化させます
  4. 詰め物の高さや形状を調整し、噛み合わせを確認します

4. 抜歯

虫歯が非常に進行している場合、乳歯を抜歯することが必要になることもあります。抜歯は最後の手段として行われ、通常は他の治療法が効果を示さなかった場合に検討されます。

  • 感染の防止・・深刻な虫歯が歯髄(神経)や根の周囲の組織に感染を広げるリスクがある場合、抜歯が必要となることがあります。
  • 周囲の歯への影響防止・・虫歯が隣接する歯や永久歯に悪影響を与える可能性がある場合にも抜歯が考慮されます。

治療の流れ

  1. 歯科医が局所麻酔を行い、歯を抜く準備をします
  2. 特殊な器具を使って歯を揺らし、抜歯します
  3. 抜歯後の穴を清掃し、必要に応じて縫合します
  4. 抜歯後のケアについての指導が行われ、痛み止めや抗生物質が処方されることがあります

乳歯の虫歯治療にはさまざまな方法があります。虫歯の進行状況や子供の健康状態に応じて、適切な治療法を選択することが重要です。

乳歯の虫歯を予防するためのポイント

乳歯の虫歯を予防するためには、以下のポイントを守ることが重要です。

1. 歯磨きを習慣づける

  • 1日2回以上の歯磨きが基本ですが、特に就寝前の歯磨きが重要です。これは夜間に唾液の分泌が減少し、虫歯菌が活動しやすくなるためです。
  • 子供の年齢に合った柔らかめの歯ブラシを使用します。0-3歳用、3-6歳用など、年齢別のお口に合わせて設計された歯ブラシが市販されています。
  • 親による仕上げ磨きは、子供の手先の器用さが発達する9-10歳頃まで必要です。子供が仕上げ磨きを嫌がる場合は、特に奥歯や歯と歯ぐきの境目などの磨きにくい部分に磨き残しがないかチェックします。

2. フッ素を活用する

  • フッ素は歯のエナメル質を強化し、酸に対する耐性を高めます。
  • 歯磨き粉は子供用のフッ素濃度の低いものを使用し、飲み込まないよう指導します。
  • 歯科医院でのフッ素塗布は、通常半年に1回程度行います。これにより歯の表面にフッ素の保護膜が形成されます。

3. 食生活の管理

  • 糖分の多い食品や飲料は虫歯菌のエサとなるため、摂取を控えめにします。特にスナック菓子や清涼飲料水には注意が必要です。
  • 間食の回数を減らすことで、歯が酸にさらされる時間を減らせます。食事は1日3回の決まった時間に取るようにし、食後に歯磨きをする習慣をつけます。

4. 早期からの歯科健診

  • 1歳半頃から定期的な歯科健診を始めることで、早期に問題を発見し対処できます。
  • 半年に1回程度の健診が推奨されますが、虫歯のリスクが高い場合はより頻繁に健診を受けることもあります。

5. シーラント処置

  • 奥歯の咬合面には細かい溝が無数にあり、虫歯になりやすい部分です。この溝を特殊な樹脂で物理的に埋めてしまうシーラント処置により、効果的に虫歯を予防できます。
  • 通常は奥歯が生えてきた直後(6-7歳頃)に行います。

6. 虫歯予防の正しい知識の習得

  • 保護者の方が虫歯予防の正しい知識を持つことも重要です。例えば、乳歯の重要性や、乳歯の虫歯が永久歯に影響を与える可能性についての理解が必要です。
  • 子供に対しては、歯磨きの重要性や正しい歯磨き方法を楽しく学べるような工夫が効果的です。例えば、歯磨きソングを使ったり、歯磨きカレンダーで記録をつけたりする方法があります。

これらの方法を総合的に実践することで、乳歯の虫歯予防効果が高まります。個々の子供の状況に応じて、歯科医師や歯科衛生士のアドバイスを受けながら、最適な予防法を見つけていくことが大切です。

まとめ

乳歯の虫歯は一時的な問題ではなく、子供のお口の健康に長期的な影響を与える重大な問題です。乳歯の健康は子供の将来の歯と全身の健康に直結するため、親子でしっかりとケアをしていくことが大切です。

 

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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