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歯並び・歯列矯正

八重歯はチャームポイント?八重歯の矯正について

八重歯はチャームポイント?八重歯の矯正について

八重歯は日本では「かわいい」とされることもありますが、実際には口腔内の健康や機能に影響を及ぼす可能性があります。八重歯の特徴、健康への影響、矯正治療の方法とそのメリット・デメリットについてご説明します。

八重歯とは何か

八重歯とは、主に上顎の犬歯が歯列から外れて外側に飛び出した形で生えている状態を指します。これは、顎の大きさと歯のサイズのアンバランスや、乳歯から永久歯への生え替わりのタイミングのズレなどが原因で起こります。特に日本では、八重歯が「かわいい」とされる文化がありますが、海外では不正咬合として認識されることが多いです。

八重歯が日本でチャームポイントと言われる理由とは?

八重歯が日本でチャームポイントと言われることには、文化的背景や美的感覚の違いが関係しています。

1. 日本独自の美的感覚

日本では、完璧すぎないものや少し乱れた要素が「可愛らしさ」を生むと考えられることがあります。これを「不完全の美」と言い、茶道や伝統芸術などにも見られる日本独特の美意識です。

八重歯は歯並びが少し乱れて見える一方で、整った歯並びに比べて「親しみやすさ」や「自然な魅力」を感じさせるとされ、日本では好意的に受け取られることが多いです。

2. アイドルや芸能人の影響

八重歯を持つアイドルや芸能人が、笑顔や外見のチャームポイントとして取り上げられることが多くあります。特に、1990年代以降の日本のアイドル文化では、八重歯が「可愛い」「愛嬌がある」と評価され、ファンからの人気を集めてきました。その影響で、八重歯が「チャームポイント」として認識される文化が広がりました。

しかし現代においては、八重歯は不正咬合であるという認識が広まり、八重歯を矯正する方も増えてきています。

3. 子どものようなあどけなさや若々しさの象徴

八重歯があることで、笑顔に「幼さ」や「無邪気さ」を感じさせるとされます。これが日本では「若々しい」「愛らしい」といったポジティブな印象を与える要因となっています。

欧米では大人らしさや整然とした美しさが重視されますが、日本ではどちらかと言えば「可愛さ」や「自然な魅力」が好まれる傾向があります。

4. 歴史的な背景

日本では、歯並びに対する意識が欧米に比べて低かった時代が長く続きました。そのため、八重歯が矯正の対象とされることよりも、個性の一部として受け入れられる文化が形成されました。また、かつては歯科矯正の普及率が低かったこともあり、八重歯を持つ人が多く、その親しみやすさが一般化していったとも考えられます。

5. 国際的な美的感覚との違い

欧米では、歯並びの美しさが社会的ステータスや健康の象徴とされるため、八重歯などの不正咬合に対しては治療が推奨されます。一方で日本では、歯並びをそこまで厳しく評価しない文化が根付いています。そのため、八重歯も「魅力の一部」として肯定的に捉えられることが多いです。

八重歯が日本でチャームポイントとされる背景には、日本独特の美的感覚やアイドル文化、若々しさを象徴するイメージ、そして歴史的な要因が影響しています。ただし、八重歯には健康上のリスクも伴うため、チャームポイントとして捉える一方で、適切なケアや治療の必要性を理解することも大切です。

八重歯が口腔内に及ぼす影響

八重歯は見た目だけでなく、以下のような健康面でのデメリットをもたらす可能性があります。

むし歯や歯周病のリスク増加

八重歯があると歯磨きが行き届きにくく、歯垢が溜まりやすくなります。その結果、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

噛み合わせの不調

犬歯は噛み合わせのバランスを保つ重要な役割を持っています。八重歯の状態では、他の歯に過度な負担がかかり、歯のすり減りや顎関節症の原因となることがあります。

口内炎の発生

突出した八重歯が口腔内の粘膜を刺激し、口内炎を引き起こすことがあります。

八重歯の矯正治療方法

八重歯の矯正治療には、以下の方法があります。

ワイヤー矯正

歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーで歯を動かす一般的な矯正方法です。さまざまな症例に対応できますが、装置が目立つというデメリットがあります。

裏側矯正(リンガルブラケット)

歯の裏側に装置を装着するため、外見からは矯正していることが分かりにくい方法です。しかし、費用が高く、発音に影響が出ることがあります。

マウスピース矯正

透明なマウスピースを使用する矯正方法で、装置が目立たず、取り外しが可能です。ただし、自己管理が必要で、適切な装着時間を守らないと効果が得られません。

矯正治療のメリットとデメリット

八重歯の矯正治療には以下のメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 口腔内の健康改善・・歯並びが整うことで、歯磨きがしやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが減少します。
  • 噛み合わせの改善・・正しい噛み合わせが得られ、顎関節への負担が軽減されます。
  • 審美性の向上・・整った歯並びは、笑顔に自信をもたらします。

デメリット

  • 治療期間と費用・・矯正治療は数年の期間と高額な費用がかかることがあります。
  • 装置の不快感・・装置による違和感や痛みを感じることがあります。
  • 食事や発音への影響・・装置の種類によっては、食事や発音に影響が出ることがあります。

八重歯を放置するリスク

八重歯を放置すると、以下のリスクが生じる可能性があります。

  • むし歯や歯周病の進行・・清掃が難しいため、口腔内の衛生状態が悪化し、むし歯や歯周病が進行する可能性があります。
  • 顎関節症の発症・・噛み合わせの不調が続くと、顎関節に負担がかかり、痛みや開口障害を引き起こすことがあります。
  • 全身への影響・・噛み合わせの問題は、頭痛や肩こり、消化不良など全身の健康に影響を及ぼすことがあります。

矯正治療を検討する際のポイント

八重歯の矯正治療を検討する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 専門医への相談・・まずは歯科医師に相談し、自分の歯並びや噛み合わせの状態を正確に把握しましょう。
  • 治療方法の選択・・自分のライフスタイルや希望に合った治

まとめ

八重歯は日本では「可愛らしい」「親しみやすい」といった魅力を持つチャームポイントとされることがありますが、実際には健康面でのリスクもあります。むし歯や歯周病の原因になりやすいほか、噛み合わせの不調や顎への負担が生じることもあります。

そのため、八重歯を矯正することで得られる健康面や審美面のメリットも大きいです。矯正治療にはさまざまな方法があり、お一人おひとりのライフスタイルや希望に合わせて選択することが出来ます。

八重歯を単なる見た目の問題として捉えるのではなく、総合的な健康と美しさを考慮しながら、ご自身に合った選択をすることが大切です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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