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ストレスで歯や歯茎に痛みや腫れが出ることはある?

ストレスで歯や歯茎に痛みや腫れが出ることはある?

ストレスは心身にさまざまな影響を及ぼし、その中には口腔内の健康も含まれます。ストレスが歯や歯茎にどのような影響を与えるのか、その原因と対策についてご説明します。

ストレスと口腔内の健康の関係

ストレスは自律神経系や免疫系に影響を及ぼし、全身の健康状態を左右します。口腔内にも、ストレスが原因でさまざまなトラブルが発生することがあります。例えば、歯茎の腫れや痛み、口内炎、歯の痛みなどがあげられます。

ストレスが原因で生じる歯や歯茎の症状

ストレスが原因で発生する歯や歯茎の症状には様々なものがあります。それぞれの症状がどのようなメカニズムで生じ、どのような対策が求められるのかをご説明します。

1. 歯茎の腫れや痛み

メカニズム

ストレスは体内の免疫力を低下させます。その結果、歯茎の健康を維持する防御機能が弱まり、細菌感染が起こりやすくなります。歯垢や歯石がたまりやすくなり、それが炎症を引き起こして歯茎が腫れたり痛みを伴ったりします。特に、歯周病が進行している患者さんの場合、ストレスが症状を悪化させる可能性があります。

主な症状

  • 歯茎の赤みや腫れ
  • 歯磨き時の出血
  • 歯茎の浮腫(腫れが柔らかく感じる)

対策

  • 丁寧な歯磨きとデンタルフロスの活用で歯垢を除去する
  • 抗炎症作用のある歯磨き粉の使用
  • 定期的に健診を受けて早期治療を心掛ける

2. 歯の痛みや浮いた感覚

メカニズム

ストレスが強いと、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをしていることがあります。これにより、歯に過度な力がかかり、歯根膜(歯を支える組織)が炎症を起こすことがあります。炎症が進行すると、歯が浮いているような感覚や噛むときの痛みを感じることがあります。

主な症状

  • 歯が浮いたような違和感
  • 噛むと痛みを感じる
  • 歯の表面のすり減りやひび割れ

対策

  • 夜間用マウスピースを使用して歯ぎしりを防ぐ
  • ストレスを軽減するリラクゼーション法(深呼吸やヨガ)を取り入れる
  • 歯科医院でチェックを受けて早期対応する

3. 口内炎の発生

メカニズム

ストレスが続くと、体の免疫系が弱まることで口内炎が発生しやすくなります。さらに、ストレスによる唾液分泌の低下も粘膜を乾燥させて傷つきやすい状態を引き起こします。

主な症状

  • 唇や舌、頬の内側に白っぽい潰瘍ができる
  • 痛みやしみる感覚
  • 食事中の不快感

対策

  • 口内炎用の市販薬を使用する
  • 食事で刺激物(辛いもの、酸味の強いもの)を避ける
  • 唾液分泌を促進するため、水分をこまめに摂取する

4. 顎の痛みや違和感

メカニズム

ストレスが原因で歯ぎしりや食いしばりが増えると、顎関節に過剰な負担がかかり、痛みや違和感を引き起こすことがあります。これが進行すると、顎関節症と呼ばれる状態になることがあります。

主な症状

  • 顎を開閉するときの痛み
  • 顎のクリック音や違和感
  • 口を大きく開けられない
  • 頭痛や首のこりを伴う場合もある

対策

  • 顎に負担をかけないよう、意識的にリラックスする。
  • 夜間にマウスピースを使用して顎への負担を軽減する。
  • 必要に応じて、歯科医で咬合の調整を受ける。

5. 唾液分泌の減少による口腔乾燥症(ドライマウス)

メカニズム

ストレスが交感神経を過剰に刺激すると、唾液の分泌が減少します。唾液は口腔内の清潔を保つ重要な役割を果たしており、分泌量が減ると細菌が増えやすくなり、歯垢の蓄積や口臭の原因となります。

主な症状

  • 口が乾燥して食事や会話がしづらい
  • 歯垢や歯石がたまりやすい
  • 口臭の増加

対策

  • こまめな水分補給で口腔内の潤いを保つ。
  • 唾液分泌を促進するガムやタブレットを活用する。

6. 歯周病の進行

メカニズム

ストレスは免疫力を低下させるだけでなく、炎症を引き起こすホルモン(コルチゾール)の分泌を増加させます。これにより、歯周病菌が増殖しやすくなり、歯周病の進行が加速します。特に歯茎の痛みや腫れがある場合、早急な治療が必要です。

主な症状

  • 歯茎からの出血
  • 歯茎の退縮
  • 歯がグラグラする

対策

  • 専門的な歯周病治療を受ける
  • 歯磨きに歯間ブラシやデンタルフロスも使用する
  • 規則的な歯科健診で早期発見・治療を行う

これらの症状は、ストレスの程度や継続期間によって異なります。患者さんがご自身の状態を正しく理解し、適切なケアを行うことが、症状の改善に繋がります。

ストレスによる口腔内トラブルのメカニズム

ストレスがお口の中に影響を及ぼす主なメカニズムは以下の通りです。

免疫力の低下

ストレスは免疫系の働きを抑制し、細菌やウイルスに対する抵抗力を弱めます。その結果、歯茎の炎症や感染症が起こりやすくなります。

唾液分泌の減少

ストレスにより自律神経が乱れると、唾液の分泌が減少します。唾液には口腔内を清潔に保つ作用があるため、分泌量の減少は細菌の増殖を促し、歯垢の蓄積や口臭の原因となります。

歯ぎしり・食いしばりの増加

ストレスは無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりを引き起こし、歯や歯茎に過度な負担をかけます。これにより、歯の摩耗や歯茎の痛みが生じることがあります。

ストレスが引き起こす口腔内疾患

ストレスのために起こるお口の中の疾患には、以下のものがあります。

歯周病

免疫力の低下や唾液分泌の減少により、歯周病菌が増殖しやすくなります。これにより、歯茎の腫れや出血、最終的には歯の喪失につながることがあります。

口内炎

ストレスによる免疫力の低下で、口内炎が頻繁に発生することがあります。

顎関節症

歯ぎしりや食いしばりが続くことで、顎関節に負担がかかり、痛みや開口障害を引き起こすことがあります。

ストレスによる口腔内トラブルの予防と対策

ストレスが原因で生じる口腔内の問題を予防・改善するためには、以下のような対策が有効です。

  • ストレス管理・・適度な運動や趣味の時間を持つことで、ストレスを軽減しましょう。
  • 十分な睡眠・・質の良い睡眠は免疫力の維持に重要です。
  • バランスの良い食事・・栄養バランスの取れた食事は、全身の健康維持に役立ちます。
  • 適切な口腔ケア・・正しい歯磨きやデンタルフロスの使用で、お口の中を清潔に保ちましょう。
  • 定期的な歯科健診・・定期的に歯科医院を受診し、早期に問題を発見し、対処することが大切です。

まとめ

ストレスは歯や歯茎に痛みや腫れを引き起こす大きな要因の一つです。その影響は口腔内にとどまらず、全身の健康にも広がります。患者さんがストレスによる影響を最小限に抑えるためには、ストレス管理を行うとともに、口腔ケアや定期的な歯科健診を欠かさないことが大切です。

また、歯や歯茎の痛みや腫れが長引く場合や原因が不明な場合は、歯科医院を受診し、早期に原因を特定することが大切です。適切な対処を行うことで、ストレスが原因であっても口腔内トラブルを予防・改善することが可能です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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