よくあるご質問
口臭・その他

歯医者で治療中に顔にタオルをかけるのはなぜ?

歯医者で治療中に顔にタオルをかけるのはなぜ?

歯科医院で治療を受ける際、お口以外の部分にタオルをかけられた経験をお持ちの患者さんも多いのではないでしょうか。この処置には、患者さんの快適さや安全性を高めるためのさまざまな理由があります。歯科治療中に顔にタオルをかける目的やその効果についてご説明します。

顔にタオルをかけられるのを嫌がる患者さんの心理

患者さん

歯医者で患者さんのお顔にタオルをかけさせていただくのには理由がありますが、歯科医が遮られて逆に不安になってしまう患者さんもおられます。患者さんが歯医者で治療中に顔にタオルをかけられるのを嫌がる理由については、いくつかの心理的・身体的な要因が考えられます。

1. 閉塞感や息苦しさ

顔を覆うことで閉塞感を感じる患者さんもおられます。特に、狭い空間や顔に何かが触れることに不快感を覚える方にとっては、息苦しく感じる場合があります。

  • 口と鼻以外が覆われるため閉塞感や圧迫感を感じる
  • 顔周りが圧迫されるような感覚がして不快
  • 特に暑い季節や治療室が暖かい場合は嫌だと感じる

2. 恐怖心や不安の増加

歯科治療に対して元々不安を抱いている患者さんにとっては、顔を覆われることでさらに緊張や恐怖が増すことがあります。

  • 周囲の状況が見えないことへの不安
  • 治療器具の音や動きが予測できず、想像で恐怖が増幅される
  • 「顔が見えないことで医師やスタッフとコミュニケーションが取れないのでは」と感じる

3. 視覚的な制限への抵抗感

顔をタオルで覆うと、視界が遮られます。視覚からの情報が得られないことで、患者さんの安心感が損なわれる場合があります。

  • 自分の状態や治療の進行状況を確認できない不安
  • 「何が起きているかわからない」と感じることで、コントロールを失ったように思う

4. タオルの触感や匂いへの不快感

タオルの素材や清潔さ、あるいはその匂いが患者さんにとって快適でない場合もあります。

  • タオルが肌に触れる感触が嫌
  • タオルで顔がくすぐったくなる
  • 柔らかさや硬さが気になる
  • 使用された洗剤や消毒剤の匂いが不快

5. コミュニケーションが取りづらいと感じる

顔が覆われていることで、医師やスタッフと目を合わせることができず、意思疎通が難しいと感じることがあります。

  • 治療中に何か伝えたいことがあっても、すぐに伝えられない不安
  • 顔の表情を読んでもらえず、不安感が強まる

顔にタオルをかける主な目的

とはいえ、患者さんのお顔にタオルをかけさせて頂くことには理由があり、ドクターもスタッフも治療中の患者さんの安全や、快適に過ごして頂くことをいつも考えております。歯科治療中に顔にタオルをかける主な目的は以下のとおりです。

1. 飛沫や薬剤の飛散を防ぐため

歯科治療では、水や唾液、さらには薬剤が飛散することが一般的です。これらが患者さんの顔や目にかかるのを防ぐためにタオルを使用します。

  • 歯を削る際に発生する水や粉塵を防ぐ。
  • 薬剤や洗浄液が飛び散って目や皮膚に接触するのを防ぐ。

特に目に入ると、薬剤が刺激を与える可能性があるため、安全対策として重要です。

2. 照明から目を守るため

歯科治療では明るいライトを患者さんの口腔内に向けて使用します。このライトはとても明るく、目に直接当たると不快感や疲れを引き起こす可能性があります。

  • タオルをかけることで、光が目に直接当たるのを防ぐ。
  • 患者さんが目を閉じた状態で快適に治療を受けられるようにする。

3. 治療中の緊張を和らげるため

患者さんの中には、診療チェアに座っただけで緊張して身体がカチコチになってしまう方もおられます。患者さんの視界を制限することで、治療中に起こる不安感や緊張を軽減する効果もあります。

  • ドリルや器具を見ると緊張する方が多いですが、タオルをかけることで見えなくなるためリラックスできる。
  • 治療の進行を直接見る必要がないため、心理的な負担が軽減される。

4. プライバシーの保護

治療中、患者さんは口を大きく開けたり、口腔内に器具を挿入されたりするため、非常に無防備な状態になります。このような状況で顔を隠すことでプライバシーを保護する役割も果たしています。

  • 他のスタッフが治療室に入る場合でも、患者さんの顔が見えないように配慮される
  • カメラなどで治療の様子が記録される場合にも、お顔が映らないようにする
  • 治療中の患者さん同士のお顔が見えないようにする

これらの目的により、患者さんはより快適で安全な環境で治療を受けることができます。

患者さんが快適に感じられるための工夫

歯科診療

お顔へタオルをかけることを嫌がる方は、もともと歯科が苦手な方が多いという印象を受けます。お話を伺うと、痛いことをされるのでは?という意識が強く、診察要チェアに座っただけでカチコチに緊張され、ドクターやスタッフの声かけに対しても、必死で頷くだけ、というお話を伺ったこともあります。

嫌がる患者さんに配慮するためには、以下のような工夫が考えられます。

  • 事前説明・・タオルを使う理由やそのメリットをわかりやすく説明する。
  • 選択肢の提示・・患者さんが希望しない場合はタオルを使わずに治療を進める。
  • 配慮ある使用方法・・軽めのタオルを使う、顔全体ではなく一部を覆うだけにする。
  • コミュニケーションの確保・・タオル越しでもすぐに声をかけられることを伝える。

患者さんそれぞれの感覚やお好みがあるため、歯科医師や歯科衛生士、アシスタントは嫌がる理由を理解し、柔軟に対応します。

患者さんの快適性向上

治療中にお顔にタオルをかけることで、患者さんの快適性が向上するようにと考えて、お顔にタオルをかけさせて頂いています。

  • 視覚的ストレスの軽減・・治療器具や手技を直接見ることがないため、緊張感が和らぎます。
  • プライバシーの確保・・顔を覆うことで、他の患者さんやスタッフからの視線を遮断し、安心感を提供します。
  • リラックス効果・・視覚情報を遮断することで、治療中にリラックスしやすくなります。

これらの効果により、患者さんは治療中の不安や緊張を軽減し、リラックスした状態で治療を受けることができます。

治療中の安全性確保

顔にタオルをかけることは、患者さんの安全性を高める役割も果たします。

  • 目に異物が侵入するのを防止する・・歯の削りカスや水しぶきが目に入るのを防ぎます。
  • 器具が誤ってお顔に接触するのを防止する・・治療器具が誤って顔に触れるリスクを減らします。
  • 感染リスクを低減させる・・飛沫感染のリスクを低減し、衛生的な環境を維持します。

これらの安全対策により、患者さんは安心して治療を受けることができます。ドクターやスタッフも治療中の患者さんへの声かけを欠かしませんので、出来ましたらご理解いただきたいと思っています。

感染予防対策としての役割

歯科治療では、感染予防が非常に重要です。顔にタオルをかけることは、以下の感染予防対策として効果的です。

  • 飛沫の拡散防止・・治療中に発生する飛沫が患者さんのお顔に付着するのを防ぎます。
  • 衛生環境の維持・・タオルを使用することで、治療エリアを清潔に保ちます。

これらの対策により、院内感染のリスクを低減し、患者さんとスタッフの安全を守ります。

患者さんの心理的負担の軽減

歯科治療に対する不安や恐怖を感じる患者さんは少なくありません。顔にタオルをかけることで、以下のように心理的負担を軽減する効果があります。

  • 治療器具の視覚的刺激の遮断・・歯を削っているときや治療の様子を直接見ることがないため、怖がりの方にとっては恐怖心が和らぎます。
  • 治療中の音への集中度の低下・・視覚からの情報が遮断されることで、音への過度な集中も緩和されます。
  • リラックス状態の促進・・視覚的な情報が減少することで、リラックスし、全身の緊張がほぐれやすくなります。

これらの効果により、患者さんは治療中のストレスを軽減し、リラックスした状態で治療を受けることができます。

まとめ

歯科治療中に顔にタオルをかけることには、患者さんの快適性向上や安全性確保、感染予防、心理的負担の軽減など、さまざまな利点があります。これによって、患者さんは治療中の不安を軽減し、リラックスした状態で治療を受けることができます。

これから歯科医院を訪れる際、もし顔にタオルをかけられた場合は、それが快適で安全な治療環境を提供するための工夫であることをぜひ思い出してください。そして、疑問や不安があれば、遠慮なく医師やスタッフに相談してみましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

▶プロフィールを見る