よくあるご質問
歯並び・歯列矯正

インビザラインで歯が動いている気がしない場合の理由

インビザラインで歯が動いている気がしない場合の理由

インビザラインは従来の矯正器具とは異なり、歯が動いている実感が湧きにくいと感じる患者さんもおられます。これは、マウスピースの特性や、装着時間や適切な使い方など、いくつかの要因が影響しているためです。インビザラインで歯が動いている気がしないと感じる原因や、歯が動いていることを確かめるための対策についてご説明します。

インビザラインで歯が動いている気がしない理由とは

インビザライン治療で歯が動いていることを実感できない原因はいくつか考えられます。インビザラインは透明なマウスピースを使用するため、従来の矯正器具と比べて動きが視覚的に分かりにくいことがあります。以下に、動いている実感が湧きにくい主な原因についてご説明します。

1. まず奥歯を後ろに下げている段階だから

インビザラインでの治療計画で、歯を動かす順番を確認してみましょう。アライナーを使った治療で良くあるのは、まず奥歯を後方に下げ、そこから徐々に手前の歯を後ろに下げていくというものです。最初は前歯は動かさず、奥歯だけが動いている状態ですので、歯が動いている実感がわきにくいことがあります。

しかし、数か月後には小臼歯や前歯を動かす順番が来ますので、その後は歯が動いている実感が得られやすいと思います。そのため、この場合は特に問題なく治療が進んでいると考えられます。

2. 装着時間が不足している

インビザラインの効果を発揮するためには、1日22時間以上の装着が必要とされています。装着時間が足りないと、十分な力が歯にかからず、計画通りに歯が動きません。たとえば、毎日数時間の装着不足が続くと、予想以上に歯の移動が遅れることになります。

対策

装着時間をしっかり守るためには、以下のポイントが役立ちます。

  • 食事や飲み物を摂った後すぐに装着する・・外したままにしないため、食後すぐに装着する習慣をつける。
  • 装着時間を記録するアプリの利用・・装着時間を管理できるスマホアプリなどを活用し、毎日の装着時間を確認する。

3. マウスピースがしっかりと装着されていない

インビザラインは、歯にしっかりと密着することで効果を発揮しますが、装着が甘くアライナーが歯から浮いていると、正しい圧力が歯にかからなくなります。マウスピースが浮いている場合、歯の動きが妨げられ、予定よりも移動が遅れることがあります。

対策

マウスピースを正しく装着するために、以下の点に注意します。

  • 指でしっかりと押し込む・・装着時に、各歯にしっかりと密着しているか確認します。
  • チューイーなどの補助具を使う・・チューイーを噛むことで密着度が高まります。これを数分行うと、マウスピースがしっかりとフィットします。

4. インビザラインの透明性が実感を妨げる

インビザラインは、目立たないように設計されているため、動きが目に見えて分かりにくいことが多いです。金属ブラケットのように大きな物理的変化が視覚的に感じられないため、実際には動いていても気付きにくいのが特徴です。

対策

自分の歯の動きを把握するために、写真で治療の進行状況を記録する方法があります。毎月1枚ずつ同じ角度で写真を撮り、歯の動きを確認することで、進行状況が視覚的に分かりやすくなります。

5. 歯の動きが緩やかなため、変化が実感しづらい

歯の移動は非常にゆっくりと進行します。インビザライン治療では、1か月に1mmほどの移動が目安とされていますが、このような細かな変化は日常生活では気付きにくいものです。そのため、動いていないように感じることがあります。

対策

長期的な治療であることを理解し、焦らずに治療計画に従うことが大切です。また、月ごとの健診で担当医から進行状況を聞くことで、不安を解消しやすくなります。

6. 個人差による歯の動きの違い

人によって歯の移動速度は異なります。歯や骨の状態によっては、計画通りに動きにくいケースもあります。特に、過去に矯正治療を受けたことがある方や、不正咬合がある方は動きが遅れる場合があります。

対策

疑問があれば、定期的に健診で相談することをお勧めします。必要に応じてアタッチメントの調整や治療計画の見直しが行われることで、効率的に治療を進めることができます。

インビザラインで歯が動いている実感が湧きにくい原因を理解することで、適切な対策を取ることが可能です。

インビザラインで歯の動きを実感するための対策

インビザライン治療で歯の動きを実感するためには、いくつかの工夫が必要です。透明なマウスピースは目に見える変化が分かりにくいため、しっかりと効果を感じられるような習慣や対策を取り入れることが大切です。

1. 装着時間を守るための工夫

インビザラインの効果を最大限に発揮するには、1日22時間以上の装着が推奨されています。しかし、毎食後の装着や外出時など、装着を忘れてしまうこともあるかもしれません。装着時間を守るための工夫を取り入れることで、計画通りの効果が得やすくなります。

リマインダーアプリの利用

スマホのリマインダーやアプリを使って、装着のタイミングを通知するように設定します。特に食事後などは、装着を忘れやすいので、リマインダーを使って習慣化しましょう。

歯磨きセットの持ち歩き

外出先でも装着しやすいよう、歯磨きセットを常に携帯しておくと便利です。歯磨き後すぐに装着できる環境を整えることで、装着時間の不足を防げます。

2. マウスピースの正しい装着方法を確認する

インビザラインのマウスピースは、歯にしっかり密着させることが重要です。密着が甘いと、歯にかかる力が不足し、計画通りに動かない可能性があります。マウスピースが浮かないように、正しい装着方法を習慣づけましょう。

チューイーの活用

チューイーと呼ばれるシリコン製の補助具を噛むことで、マウスピースが歯にしっかりと密着します。装着後に2~3分チューイーを噛むと、より効果的にマウスピースがフィットし、歯が計画通りに動きやすくなります。

装着後の確認

マウスピースがしっかり装着されているか、毎回鏡で確認することを習慣化しましょう。特に奥歯までしっかりと浮くことなく密着しているか確認することが重要です。

3. 毎月の治療進行を写真で記録する

歯の動きは少しずつ進むため、毎日の変化を実感しにくいものです。動きが分かりにくいと不安を感じることもあるかもしれませんが、写真を撮影することで変化が確認しやすくなります。

月ごとの比較写真を撮影

毎月決まった日やタイミングで口元の写真を撮影し、治療の進行状況を記録します。正面や横からの写真を同じ角度で撮影することで、歯が動いているかどうかの変化を確認しやすくなります。

歯科医師と写真を共有

撮影した写真を歯科医師に見せて相談することで、治療計画の確認や調整がスムーズに進みます。治療の進捗について具体的なアドバイスをもらうこともでき、モチベーションの向上につながります。

4. アタッチメントの状態を確認する

インビザライン治療では、アタッチメントと呼ばれる小さな突起を歯に装着します。これは、歯を効率的に動かすために必要なものです。アタッチメントが外れていないかを確認し、外れていることに気づいたら早めに歯科医院に連絡しましょう。

アタッチメントの定期的なチェック

アライナーを装着した際に、アタッチメントがしっかりとフィットしているか確認しましょう。アライナーが浮いていてどうしてもピッタリはまらない場合は、担当医に相談しましょう。

5. 定期的に歯科医師と相談してモチベーションを保つ

治療中に進捗が見えにくいと感じた場合は、歯科医師との定期的なコミュニケーションが重要です。歯科医院での健診を通じて、治療の進行具合や問題点を把握し、適切な対策を取ることで治療に対する不安が軽減されます。

治療の進行具合を質問する

歯科医師に治療の進行状況を確認することで、安心感が得られます。また、歯の動きや進捗に疑問があれば積極的に質問し、理解を深めることが大切です。

不安や疑問を定期的に解消する

治療についての不安や疑問をその都度解消することで、モチベーションを保ちながら治療を続けることが出来ます。治療が順調に進んでいることが分かると、インビザライン治療への信頼も深まり、治療の効果を実感しやすくなります。

インビザライン治療中に歯が動いていることを実感するためには、毎日の装着やケアを注意深く行うことが重要です。また、まだ前歯を動かす段階になっていない場合もありますので、治療計画をチェックしましょう。

歯が動くまでの一般的な期間

歯の動きはアライナー1枚で僅か0.25mmです。歯の動きが実感できるまでには2~3か月ほどかかることが多いですが、個人差があります。

まとめ

インビザライン治療中を始めたばかりの患者さんが歯が動いている実感が湧かないとおっしゃることは、時々あることです。その原因を理解し、適切な対策を取ることで、治療の効果を実感しやすくなります。

治療計画上、今は前歯が動いていなくても問題ない場合もあります。装着時間や装着方法に問題がある場合は、きちんと装着時間を守り、アライナーが歯にフィットするように気を付けましょう。インビザラインはゆっくりと確実に歯を動かす治療法ですので、焦らずに治療に向き合いながら、美しい歯並びを目指していきましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

▶プロフィールを見る