
歯医者で治療を受けた後、麻酔が効いている状態では、感覚が鈍くなっているため、口の中での異常を感じにくく、傷を負ったり、やけどをしたりするリスクが高まります。麻酔後に食事を避けるべき理由と、適切な待機時間や食事の注意点についてご説明します。
目次
麻酔の効果が切れるまでの時間
局所麻酔の場合、効果は通常 2~4時間 持続します。この間、麻酔をかけた部分の感覚が鈍くなり、唇や頬、舌の一部がしびれたように感じることがあります。麻酔が効いている間に食事をすると、唇や舌を噛んでしまったり、食べ物の熱さを感じないため、口の中を傷つける可能性があります。
口内を噛んでしまう
麻酔で感覚が鈍っているため、無意識のうちに頬や舌を噛むことがあります。これにより傷ができ、感染のリスクが生じる可能性があります。
火傷のリスク
温かい飲み物やスープなどを摂取した際、感覚が鈍っているため、口内を火傷することがあります。
歯医者で麻酔後、食事は何時間後から?

歯医者で麻酔をした直後飲食を控えるよう言われるのは、麻酔が効いている間は感覚がないため、火傷や傷を負っても気づけないためです。気づけないまま傷口が大きくなってしまったり、出血が増えてしまう可能性もあります。そのため、麻酔が効いている間は飲食を控え、安静にしましょう。
歯医者で、虫歯の治療などで行なった麻酔では1〜3時間ほどで麻酔は切れてくるでしょう。歯茎に埋まっている親知らずの抜歯の際など、深い部分にも麻酔をした場合は麻酔が切れるまでに3〜5時間ほどかかることもあります。
また何時間経っても唇の感覚が取れない場合などは、一度歯医者へ相談してみると良いでしょう。
麻酔が完全に切れた後(約2~4時間後)
唇や頬、舌の感覚が戻るまでは、固いものや熱いものを避けるようにしましょう。しびれが残っている場合は、しばらく待つのが安全です。
歯科医師の指示に従う
特に抜歯や外科的処置を行った場合は、出血を防ぐために特別な指示が出されることがあります。この場合は、歯科医師の指示に従うことが最優先です。
感覚が戻るまで食事を避ける理由
歯科治療で麻酔を使用した後に感覚が戻るまで食事を避けるのは、いくつかの理由があり、特に安全面や治癒の観点から重要です。
1. 誤って舌や頬を噛むリスク
麻酔が効いている間、特に局所麻酔の場合、口の中の感覚が鈍くなり、この状態で食事をすると、以下のようなリスクが発生します。
舌や頬を誤って噛む
麻酔が効いていると、口の中の動きや位置感覚が鈍くなり、通常は感じるべき痛みを感じることができないため、舌や頬を噛んでしまうことがよくあります。特に食事中は噛む力が強くなりがちで、気づかないうちに舌や頬に深い傷を作ってしまうこともあります。
傷が悪化する可能性
一度噛んでしまうと、その部分が腫れて痛みが生じ、さらに食事をする際に再度噛んでしまうリスクが高まります。このような繰り返しが、傷の治癒を遅らせ、感染のリスクも増加させることになります。
2. やけどのリスク
麻酔が効いている間、熱さや冷たさを感じにくくなります。このため、食べ物や飲み物が熱すぎる場合でも、それに気づかずに食べたり飲んだりしてしまい、口内や舌をやけどすることがあります。
感覚が戻らない状態での危険
特に熱いスープやコーヒー、温かい食べ物などは、麻酔が効いている時には熱さを感じないため、やけどすることがあります。やけどは口内に痛みや炎症を引き起こし、さらなる治療が必要になる場合もあります。
3. 食べ物がうまく飲み込めないリスク
麻酔によって、口内の筋肉や舌の動きも鈍くなっていることがあります。これにより、食べ物を噛んだり飲み込んだりする動作が正常に行えなくなることがあります。
誤嚥(ごえん)のリスク
飲み込む力が弱まっていると、食べ物や飲み物が誤って気管に入り、咳き込んだり、誤嚥性肺炎のリスクを高めることがあります。特に高齢者や小さな子供の場合、誤嚥が起こると健康への影響が大きくなることがあります。
4. 治療箇所への負担を減らす
麻酔後に治療した歯や歯茎がまだデリケートな状態にある場合に食事をすると、その部位に負担がかかり、痛みや炎症を引き起こす可能性があります。麻酔が効いている状態で食事をすると、気づかないうちに治療した部分を過度に使ってしまうこともあります。
出血や傷の悪化
特に抜歯や歯茎の治療を行った後では、食事中の圧力や食べ物の物理的刺激が原因で、出血が再発したり、傷口が開いてしまうことがあります。これを防ぐためにも、麻酔が切れた後、治療部位の感覚が完全に戻るまで待つことが推奨されます。
5. 麻酔の効果が切れるまで待つのが安全
歯科医が麻酔後に食事を控えるよう指示するのは、上記のリスクを避け、治療後の回復を安全に進めるためです。局所麻酔が完全に切れたとき、唇や舌、歯茎の感覚が正常に戻り、食事中のリスクを軽減できます。
推奨される待機時間
麻酔の効果が1〜3時間持続するため、この間に食事を控えることが一般的です。また、麻酔が効いている間は、ぬるめの飲み物を少量ずつ飲む程度であれば安全です。
麻酔が切れた後の食事の注意点
麻酔が切れた後、すぐに食事を再開する際には、いくつかの注意点があります。特に歯の治療を受けた部分がまだデリケートな状態であるため、慎重に食事を摂ることが推奨されます。
柔らかい食べ物を選ぶ
初めは柔らかい食べ物を選び、治療した歯に負担をかけないようにしましょう。お粥やスープ、ヨーグルトなどが適しています。
熱いものは避ける
麻酔後すぐに熱い食べ物や飲み物を摂ると、感覚が完全に戻っていない場合、やけどのリスクがあります。ぬるい飲み物や冷たい食べ物が安全です。
食事を始める際のポイント
食事を再開する際は、以下の点に注意してください:
- 柔らかい食べ物を選ぶ・・麻酔が切れた直後は、柔らかい食べ物(おかゆ、スープ、プリンなど)が適しています。
- 患部を避けて咀嚼する・・治療を受けた側の歯を避け、反対側で咀嚼するように心がけましょう。
- 熱いものは避ける・・火傷を防ぐため、温度が低めの食べ物や飲み物を選びましょう。
飲み物に関して
麻酔後の飲み物についても注意が必要です。特にストローを使った飲み物は、吸う動作が抜歯や治療後の傷口に影響を与えることがあるため、避けたほうがよいです。
- 推奨される飲み物・・常温の水や冷たいお茶などが安全です。
- 避けるべき飲み物・・コーヒーやアルコールなどの刺激の強い飲み物は控えましょう。
痛み止めを服用している場合
歯科治療後に痛み止めを処方されることがあります。薬の効果が出る前に食事を摂ると、痛みを感じやすいため、薬の服用後に軽めの食事を摂ると良いでしょう。また、痛み止めを空腹時に飲むと胃に負担がかかる場合があるため、少量の食べ物と一緒に摂取するのがおすすめです。
抜歯後や外科処置後の特別な注意点
抜歯や歯茎の手術を伴う治療を受けた場合、出血を防ぐために 2時間程度は飲食を控える 必要があります。また、処置当日は以下の注意点があります。
- アルコールや炭酸飲料は避ける・・血行を促進し、出血を引き起こす可能性があるため。
- ストローの使用を控える・・吸引圧がかかると血餅(治癒に必要な血の塊)が剥がれてしまうリスクがあります。
まとめ

歯科治療後の麻酔が切れるまで食事を控えることは、口内を安全に保つために重要です。麻酔が効いている状態では、舌や頬を噛んでしまったり、熱い食べ物でやけどをする危険があるため、治療後の回復を助けるためにも安静が必要です。麻酔が切れた後は、感覚が戻ったことを確認してから、柔らかい食べ物を摂るようにしましょう。また、食事中は治療部位に負担をかけないよう、適切な飲食を心がけることが大切です。