今回は「出っ歯の治し方」について解説します。
出っ歯の原因
出っ歯(上顎前突)は、上の前歯が前方に突出している状態を指します。その原因は様々で、遺伝的要因や、幼少期の指しゃぶりや舌癖などの習慣によって引き起こされることが多いです。また、下顎が小さい場合や、上顎が過剰に成長することも出っ歯の原因となります。
出っ歯の治し方
1. ワイヤー矯正を行う
最も一般的な治療法です。歯にブラケットを接着し、ワイヤーを通して適切な力を加えることで歯を動かし、歯並びを矯正します。特に出っ歯の場合、上顎の歯を後方に引っ込めることで、審美性を高めて噛み合わせを整えます。ワイヤー矯正は、軽度から重度の出っ歯まで幅広いケースに対応できます。
メリット
ワイヤー・ブラケット矯正は、さまざまな出っ歯に対応できます。
- 最もメジャーな矯正方法であり治療実績も多い
- 歯がねじれていたり、重なったりしてできた出っ歯でも治せる
- 他の矯正方法よりも比較的安い
デメリット
- 付け外しが自由にできず、汚れが溜まりやすい
- 食事中気になったり、食べづらかったりする
- 歯の表面に装置をつける場合は見た目が目立つ
治療期間
およそ2〜3年ほどかかります。
▼裏側・舌側矯正についてはこちらで詳しくまとめています。
https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/lingual-merit/
また全体に装置をつけるか、部分的に装置をつけるかでも変わってきます。部分的につける場合はもう少し費用が安くなります。
▼部分矯正・プチ矯正についてはこちらで詳しくまとめています。
https://www.matsumoto.or.jp/toothteeth/petit-orthodontics/
2. マウスピース矯正を行う
当院ではインビザラインというマウスピースの装置を主に使用します。インビザラインは、透明なマウスピースを装着することで、マウスピースの形にピッタリ合うように歯を少しずつ動かす方法で目立ちにくいため、審美性を重視する人に人気があります。ただし、インビザラインは中程度までの不正咬合に使用する場合が多く、出っ歯の程度によっては、ワイヤー矯正と併用する場合もあります。
メリット
- マウスピースは透明なためつけていても目立たない
- 付け外しが自由にできるため清潔を保ちやすい
- 痛みを感じにくい
デメリット
- 重度の出っ歯には対応できない
- 付け外しが自由にできる分、効果は頑張り次第となる
- マウスピースの種類によっては頻回の型取りが必要
治療期間
およそ1〜3年ほどかかります。決められた期間の中でマウスピースを交換し、それによりかかる力で出っ歯を治していきます。
3. オプションでミニインプラントを使った矯正を行う
ミニインプラントを使う矯正は、主にワイヤー矯正と併用して行われます。ワイヤー・ブラケット矯正を単体で行うよりも効果が高く、歯を大きく動かせるのが特徴です。
ワイヤー・ブラケット矯正はそれぞれの歯を支点にしていました。しかし支点にしている歯自体も動いてしまうので、出っ歯を治すのに時間がかかったり動かせる範囲に限界がありました。
インプラント矯正は動いてしまう歯ではなく、動かないあごの骨に身にインプラントを埋め込んで支点にします。そのため短期間でかつしっかり歯を動かすことができます。
メリット
- 複雑な出っ歯でも治せる
- 矯正期間を短くできる
- 歯を抜かずに出っ歯を治せることも
デメリット
- ネジをあごに埋め込むための手術が必要
- 費用が他に比べて高い
- 骨の質によってはネジが抜けてしまうことも
治療期間
ワイヤー・ブラケット矯正を単体で行う場合の、およそ半分くらいの期間で出っ歯が治ります。
4. セラミックを被せて治す
セラミックの被せ物によって前歯を引っ込めて形を整え、見た目をきれいにします。セラミック矯正とも呼ばれます。
セラミック矯正は、出っ歯を治すための一つの手法で、セラミック製の被せ物(クラウン)を歯に装着することで、見た目を改善します。短期間で結果を得られますが、歯を削る必要があるため、歯にダメージを与えるリスクがあります。
メリット
- 他の矯正方法に比べて治療期間が圧倒的に短い
- 歯並びだけでなく、歯の色も選べる
- 治療中の痛みがほとんどない
デメリット
- 歯を削って被せるため、歯の寿命が縮まる
- 経年劣化で変色することがある
- あくまで被せ物のため取れたり欠けたりする可能性がある
治療期間
およそ1〜3ヶ月ほどです。
セラミック矯正は、歯を削って被せ物を被せることで、「歯並びをよく見せる」方法です。歯を実際に動かして整えるわけではありません。
5. セットバック手術で治す
骨格性の出っ歯で、装置を使った矯正方法だけでは口元の突出感が治らない場合、手術により出っ歯を治すこともあります。矯正装置で治るのは歯並びだけです。骨格自体を治すには手術するしかありません。
上顎の骨格的なでっぱりを、骨を切除することで引っ込めて横顔のラインを整えます。医療法人真摯会では、梅田にあるカトレア歯科でのみセットバック手術を行っています。手術は全身麻酔で行われ、日帰りで受けることが出来ます。
https://www.cattleya-clinic.jp/sinryo/ope.html
メリット
- 複雑な出っ歯でも治せる
- 治療を受ける病院を選べば保険がきく
- 歯を抜かずに出っ歯を治せることも
歯を動きやすくするため、ワイヤー矯正の前に外科手術を挟むこともあります。
デメリット
- 全身麻酔による手術となるため入院が必要
- 矯正期間だけでなく手術前にも数回の通院が必要
- 手術直後は顔が腫れたり口が開かないことがある
治療期間
手術自体は1日で終わります。手術が終わって落ち着いてから術後矯正を行う場合は、ワイヤー・ブラケット矯正の装置をつけて歯を動かしていきます。これにはおよそ1〜3年ほどかかります。
出っ歯の原因
【出っ歯の原因①】遺伝
出っ歯自体が遺伝するというよりは、歯の大きさやあごの大きさ、骨格などが遺伝します。それにより結果的に出っ歯が遺伝するということが起こります。
【出っ歯の原因②】日頃の癖
ご両親はきれいな歯並びをしていても、指しゃぶりや口呼吸、舌の癖などにより出っ歯になることがあります。成長途中の子供は、歯やあごの骨も成長途中です。その期間に指しゃぶりなどが癖になっていると、出っ歯の原因となり得ます。
出っ歯を放置するとどうなる?
【出っ歯を放置すると①】虫歯や歯周病のリスクが上がる
出っ歯など歯がきれいに並んでいないと、歯磨きが難しくなります。歯がねじれていたり、重なっていればなおさら。汚れがたまりやすくなる上に歯磨きが難しいので、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
【出っ歯を放置すると②】かみ合わせが上手くいかない
出っ歯であることで食べづらさや話しづらさにつながります。かみ合わせが上手くいっていないと、食べ物を噛み切ったり噛み砕いたりといった基本的なことが難しくなります。これにより消化に時間がかかるなど胃腸にも影響を与えます。
かみ合わせがアンバランスであることにより、顎関節症になるリスクが高いです。
【出っ歯を放置すると③】周りからの視線
子供の頃は特に周りの目線を気にしやすいです。子供であれば余計、気遣いができず友人に指摘されることもあるでしょう。出っ歯が原因で子供が悩んでしまうことはしばしばあります。
出っ歯の治し方に関するQ&A
ワイヤー矯正は、全ての歯の面にブラケットと呼ばれる小さなボタンのような装置を貼り付け、そこにワイヤーを通して力をかけることで歯の位置を調整する方法です。メリットは、歯のねじれや重なりを解消できる点や比較的安価な点です。デメリットは、食事時の不便さや見た目の目立ち感、汚れが溜まりやすい点が挙げられます。治療期間はおよそ2~3年で、出っ歯だけでなく殆どの不正咬合を治療することが出来ます。
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使い歯の位置を調整する方法です。特徴は、目立たないこと、付け外しの自由さ、痛みが少ないことです。ただし、重度の出っ歯には向かない点や1日22時間以上の装着が推奨されるため、効果が使用者の努力に左右されるというデメリットもあります。治療期間はおよそ1~3年です。
セラミック矯正は、歯を削ってセラミックを被せて歯の外観を整える方法です。長所は、治療期間が短く、歯の色も選べること、痛みが少ないことです。短所は、歯の寿命が縮まることや変色の可能性、被せ物の取れやすさが挙げられます。
出っ歯の治し方まとめ
出っ歯を治すにはさまざまな方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。出っ歯の状態やその程度によっても方法は変わってくるので、一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
監修
医療法人真摯会
クローバー歯科クリニック
まつもと歯科
歯列・歯並び・ 咬み合わせのお悩みなら。マウスピース、インビザライン、裏側、小児矯正等。LINE相談可。八重歯、出っ歯、受け口の治療など得意です。大阪梅田、なんば、心斎橋、吹田、豊中、神戸にあります。
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