今回は「歯が原因で起こる口臭」について解説します。
口臭の原因は歯にある?
口臭の原因はさまざまですが、多くはお口の中に原因があると言われています。また口と鼻はつながっているので、鼻がにおいにすぐ慣れてしまい、自分では口臭を感じにくいことがほとんどです。
▼口臭を自分でチェックする方法はこちらでまとめています。
歯が原因で起こる口臭
歯が原因で起こる口臭の代表的なものは4つあります。
①歯周病によるもの
②虫歯によるもの
③舌の上の汚れによるもの
④古くなり合わなくなったかぶせ物によるもの
【歯が原因で起こる口臭①】歯周病によるもの
最も多いのが歯周病による口臭です。
歯周病の原因はバイオフィルム(プラーク)です。歯石自体には強い歯周病原性はありませんが、粗雑な歯石表面はバイオフィルム形成の格好の場所になり、バイオフィルムによる歯周病の発症と進行が早くなります。
歯石の他に不適合修復物、義歯、矯正装置、歯列不正、食片圧入などもバイオフィルム形成を促進します。歯石の付着により歯周組織の根面の再付着が妨げられるので歯石を取り残したり、取らないと歯周組織の修復が阻害され、歯周病が進行します。
特徴
口臭のほとんどの原因物質(口臭成分)は口腔細菌が産生します。とにかく独特な、腐ったようなにおいがします。
歯周病の特徴的な臭いは歯周ポケットに供給される栄養素を歯周病菌が代謝分解する際に発生します。ほとんどの歯周病菌は強い口臭成分を出します。
対処方法
歯周病による口臭を改善するには、歯科医院で歯周病の治療を受ける必要があります。治療の一環としての歯磨きはとても重要ですが、残念ながら歯磨きだけで歯周病は治りません。強い口臭は進行した歯周病の証拠です。
歯肉炎の時点で歯茎の異常に気がつければ、歯磨きだけで改善することもあります。
▼歯周病と歯肉炎の違いはこちらでまとめています。
【歯が原因で起こる口臭②】虫歯によるもの
虫歯かな?と思ったらすぐに歯科医院へ行きましょう。定期検診を受けていれば、虫歯の早期発見につながります。つまり口臭の予防にもつながりますし、治療回数も少なくすみます。
特徴
虫歯があると、虫歯によってできた穴に食べ物が挟まって発酵し口臭が発生します。また虫歯を放置すると歯の神経がだめになったり、歯の根っこに膿が溜まることでも口臭は発生します。
対処方法
歯科医院で虫歯治療を受ける、これに限ります。虫歯が治れば、口臭を収まります。
初期の虫歯であれば歯磨きで改善することがあります。しかし食べ物が挟まるほどの穴があったり、口臭が発生するほどの虫歯は歯科医院で治療しなければ治りません。
【歯が原因で起こる口臭③】舌の上の汚れによるもの
特徴
舌をベーっと前に出して見てください。舌の上が白いようであれば、それは汚れです。口臭の原因となっています。これは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれます。
舌苔のつきやすさは人によって違います。唾液量が少なかったり、ストレスでつきやすくなったりもします。
対処方法
舌苔は自分で落とすことができます。
普段の歯磨きの仕上げに、歯ブラシで舌の上をこすります。「舌ブラシ」という舌清掃専用グッズもあるので、そちらを使っても良いです。
歯ブラシまたは舌ブラシを、舌の奥から手前に動かして舌苔を取り除いていきます。
舌を傷つけてしまわないよう、優しくこするようにしましょう。舌苔がしっかりついていたり、乾燥してこびりついていると1回では取れません。毎日歯磨きの仕上げに習慣づけていくと、徐々に薄くなってきます。
舌表面は歯肉に比べて柔らかいですから傷つきやすくなっています。角化して白く見える舌乳頭を舌苔と思って一生懸命磨いて舌を血だらけにする人が少なからずいます。糸状乳頭の白い色は取れません。
舌の糸状乳頭の先端は角化して白く見えることが多いです。注意してください。歯科医師、歯科衛生士にまずは相談をおすすめします。
歯以外が原因で起こる口臭
もちろん歯などお口の中以外にも、口臭の原因はあります。
生理的口臭
特徴
朝起きたときやお腹が空いているとき、緊張しているときに感じる口臭を「生理的口臭」と言います。これらは唾液量が減っていることで口臭が起こっており、誰にでもあるもの。心配ありません。
対処方法
食事や水分を取ったり歯磨きをしたり、唾液量が増えればすぐに収まります。夜、寝る前の歯みがきが不足している場合もあります。丁寧に磨いて就寝するように心がけてみましょう。
飲食物・嗜好品による口臭
特徴
にんにくやネギ類、飲酒・喫煙によって起こる口臭です。これらは摂取したもののにおいが強いことにより起こります。こちらも誰にでも起こるもので心配ありません。
対処方法
食品による口臭は自然と収まります。歯磨きをしたりガム・タブレットを噛むと和らげることができます。大切な用事の前は臭いのする食べ物を控えた方が無難です。
ただ、ヘビースモーカーの方は、舌苔の付着による口臭が起こることがあります。また、ニコチンなどの有害物質の影響で歯周病になりやすい為、歯周病特有の口臭がする場合があります。
内臓からくる口臭
特徴
内臓の病気からくる口臭もあります。普段感じないようなにおい・口臭を感じた場合は注意が必要です。
対処方法
歯磨きをしても、歯の治療をしても口臭が治らない場合は要注意です。内科や消化器内科で診てもらうことをおすすめします。
▼胃からくる口臭についてはこちらで詳しくまとめています。
ストレスによる口臭
特徴
ストレスが続くと口臭を感じることがあります。これは緊張したときに感じる口臭と似ていて、原因は唾液量が減っていることです。
対処方法
ストレスの原因となっているものを排除するか、難しければ水分を積極的に取ったりガムを噛んだりすることで収まります。リラックスするジャスミンティなどもおすすめです。コンビニで手軽に買えますネ。
心理的口臭
心理的口臭は特徴的です。仮性口臭症と言います。
特徴
「心理的口臭」とは、実際は口臭がないのに口臭がすると思い込んでいることです。周りの人の反応に敏感になっていたり、口臭を気にしすぎているとこのようなことが起こります。
学校、職場、地域社会などでの人間関係の不調和に悩み、その原因が口臭かも?と思っている精神的な思い込みによる仮性口臭が増えてきています。
対処方法
この場合は人に「口臭しないよ!」と言われても納得できないでしょう。気を使っているのかも、他の人には感じるのかもと思ってしまうからです。このような方には歯科医院で口臭検査を受けることをおすすめします。
口臭検査は、専用の機械を使って口臭を数値化します。そのため自分の口臭を客観視することができます。もちろん口臭のプロである歯科医師や歯科衛生士によって検査を行うので、その結果は確実で安心できますね。あと唾液検査もおすすめです。
口臭の原因・対処法に関するQ&A
口臭のほとんどの原因物質は口腔内の細菌によって産生されます。
歯周病による口臭を改善するには、歯科医院で歯周病の治療を受ける必要があります。歯磨きだけで歯周病は治りませんので、歯科医師の指導のもとで適切な治療を受けることが重要です。
舌の上の汚れ(舌苔)を取り除くために、歯磨きの仕上げに歯ブラシや舌ブラシを使用し、舌の上を優しくこすって清掃します。毎日習慣づけて行うことで改善が期待できます。ただし、舌の糸状乳頭は取れないため、歯科医師に相談することが重要です。
口臭の原因・対処法まとめ
口臭の原因のうち、歯が原因で起こる口臭は多くの割合を占めます。家族に口臭を指摘されればもちろんのこと、電車の中で近くの人が嫌な顔をしたり、友人にガムを勧められたり。ちょっとしたことから、自分の口臭が気になり始める方は多くいます。
また口臭はかなりデリケートな問題なので、言えない・指摘できないという方は多くいます。これはつまり、自分から口臭がしていても、多くの人は言ってくれないということ。
口臭は自分ではわからないものだからこそ、一度気になり始めると不安は募っていくばかりですよね。周りの人の気持ちが気になって口を開けて笑えなかったり、話しづらくなったりします。
自分の口臭の原因がわからない方におすすめなのが「口臭検査」です。口臭検査では、口臭を数値化するためだけに作られた専用の機械を使います。口臭が数値化されると、自分の口臭は実際にあるのか?人を不快にさせるほどなのか?といったことがわかります。つまり自分の口臭を客観視できるというわけです。
またそれだけでなく、口臭検査を行うことで口臭の原因もはっきりわかります。専用の機械が、口臭のもとになっている成分(においのもと)を診断し、その成分はどこから来ているのが教えてくれるのです。
自分の口臭の原因がわかれば、歯を治療したり内科に行ったり口臭ケア用品を見直してみたり、対策が取れますよね!そのために行うのが口臭検査と唾液検査です。唾液検査では細菌の数を調べ口臭があるかわかります。
監修
歯科衛生士 坂上明美
医療法人真摯会
クローバー歯科クリニック
まつもと歯科
【所属学会】
日本歯周病学会
日本審美歯科学会
日本医療機器学会
日本アンチエイジング歯科学会
【資格】
スイスデンタルアカデミーエキスパート
第2種滅菌管理士
ホワイトニングコーディネーター
デンタルコーディネーター