今回は「入れ歯の種類とそれぞれのメリット・デメリット」について書いていきます。
保険がきく入れ歯
入れ歯には保険がきくものと、きかないものがあります。それぞれに分けてメリット・デメリットを見ていきましょう。
レジンのみ使用したもの
虫歯の治療をするとき、「削ってプラスチックを詰めます」と言われたことはありませんか?このときの「プラスチック」というのは、この入れ歯と同じ「レジン」です。正確には同じものではありませんが、このレジンだけを使って入れ歯を作っていきます。
メリット
保険で入れ歯を作ることができるので、比較的安価なのがメリットでしょう。初めて入れ歯を作るときは保険の入れ歯にし、まずは様子を見るという方も多くいらっしゃいます。
また入れ歯の調整がしやすいこともメリットとして挙げられます。この部分だけ薄くしたい、この部分だけもう少し厚みを出したいなども自由自在です。
デメリット
使用しているのがレジン(プラスチック)なので、食事のときに食べ物の熱い・冷たいがわかりにくいです。これは美味しさや味の感じ方にも影響を与えます。
またレジン(プラスチック)のみで入れ歯を作ると、どうしても入れ歯に厚みが出てしまいます。これにより異物感・違和感がなかなか消えなかったり、会話がしにくいことがあります。
それに加えてプラスチックなので衝撃が加わると割れやすかったり、汚れがつきやすいなどのデメリットもあります。
保険がきかない入れ歯
保険が効かない入れ歯はいくつかの種類があります。
✔︎レジン+シリコンを使用したもの
✔︎バネのないもの
✔︎磁石をつけたもの
✔︎インプラントと組み合わせたもの
①レジン+金属を使用したもの
何の金属を使うかによっても、いくつかの種類に分けられます。
メリット
レジン+金属を組み合わせた入れ歯の最大のメリットは、薄い・軽いという点です。金属自体強度が高いので、薄くしても壊れにくいのです。レジン(プラスチック)は薄くしすぎると壊れやすいため、保険がきく入れ歯ではある程度厚みを残さなければいけません。
入れ歯に厚みがあると、どうしても異物感や違和感を感じてしまって会話もしづらくなります。また金属が加えられたことで、食事中に食べ物の熱さ・冷たさを感じやすく、かつ丈夫で壊れにくいです。また金属の部分は汚れがつきにくいので、清潔を保ちやすくにおいも発しにくいです。
デメリット
レジン+金属の入れ歯は壊れにくいといえど、無理な力がかかれば壊れることももちろんあります。レジン部分が割れたり、壊れた場合は修正は比較的簡単にできます。しかし金属部分が破損した場合は修正が困難です。また保険がきかず、高価である点も患者さんが悩まれる理由の1つです。
]金属アレルギーをお持ちの方は使用することができません。
②レジン+シリコンを使用したもの
痛みが出やすい(歯茎に直接当たる)部分や、痛みに敏感な方にはレジン+シリコンを組み合わせた入れ歯もあります。
メリット
シリコンは口の中の温度・体温でやわらかくなります。そのため入れ歯使用時に痛みを感じにくく、フィット感を感じられます。
デメリット
シリコンは汚れが付きやすいため、1~2年に一度くらいの頻度でシリコン部分を交換する必要があります。レジン+シリコンの入れ歯は保険がきかないので、このシリコン部分の交換にも費用がかかります。
③バネのないもの
メリット
歯に引っかけるバネ(金属)の部分がないので、見た目が良いのが最大のメリットです。また弾力のある樹脂を使っているので壊れにくく、かつ異物感・違和感を感じにくいです。
デメリット
失った歯の本数が多いと、使用できない(作れない)ことがあります。
この入れ歯も保険はききませんが、素材そのものが比較的劣化しやすいため、2〜3年に一度くらいの頻度で作り直す必要があります。
レジン+金属の入れ歯と同様、壊れにくいといえど無理な力がかかれば壊れてしまうこともあります。その場合、修正が困難な素材であるため一から作り直す必要があります。
④磁石をつけたもの
入れ歯を支える歯(歯の根っこ)、入れ歯の裏側に磁石をつけ、磁力で入れ歯を支えるものがあります。
メリット
上図のような一般的な入れ歯と違い、バネの部分がないため見た目が良いです。
また磁石の力で入れ歯を支えるので、着脱が簡単です。また浮いたり外れたり、ガタつくようなことはほぼないでしょう。
デメリット
土台となる磁石は、歯の根っこ部分に取り付けます。そのため歯の根っこが残っていないと使用することができません(そもそも作ることができません)。
また、MRIなどの検査を受ける際は注意が必要です。MRIを受ける前に歯科医院で処置が必要な場合もあります。
⑤インプラントと組み合わせたもの
インプラントと入れ歯を併用することもできます。
メリット
インプラントを土台として入れ歯を支えるのでバネがありません。そのため見た目が良く、違和感やガタつきを感じにくいです。
デメリット
入れ歯を支えるために何本かのインプラントを入れる必要があります。また普通のインプラント治療と同様、保険がきかず治療費が高価になります。インプラントの治療費+入れ歯の作製費がかかってきます。
入れ歯の種類とそれぞれのメリット・デメリットまとめ
入れ歯にもさまざまな種類があり、それぞれメリットがあればデメリットもあります。高価であれば必ず良いというものでもありません。歯科医師としっかり相談して治療を受けていきましょう。