
日常の小さな癖が子供の歯並びを悪くすることがあります。例えば、指しゃぶりや口呼吸、舌を前に出す癖などは歯や顎の発育に影響を与え、不正咬合や歯並びの乱れを引き起こす可能性があります。子供の歯並びに悪影響を与える癖とその対策についてご説明します。
▼子供の歯並びで治すべきものについてはこちら
子供の歯並びが悪くなる癖

子供の歯並びに悪い影響を与える癖をご紹介します。
- 指しゃぶりの癖
- 口呼吸の癖
- 舌を前に出す癖
- 食べ物をよく噛まない癖
- 頬杖の癖
1. 指しゃぶり
指しゃぶり自体は悪いことではなく、むしろ成長過程において重要な役割を果たすもの。
問題なのは成長してからも指しゃぶりの癖が直らないことです。具体的には4〜5歳になっても指しゃぶりをしている場合は、顎の発育や歯並びを考慮してやめさせた方がよいと言われています。
指しゃぶりを続けていると指が上下の歯の間にはさまった状態が続くため、指に押されて出っ歯や開咬、すきっ歯になる可能性があります。



原因
指しゃぶりは新生児期から幼児期にかけて多く見られる癖です。安心感を得たり、眠りにつくための行動として自然に行われます。
指しゃぶりが長引く影響
指しゃぶりは、特に3歳を過ぎてからも続けると、上顎が前に押し出され、歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。長期間続く指しゃぶりは、上顎前突(出っ歯)や開咬の原因となり、正しいかみ合わせが妨げられます。
- 上顎前突(出っ歯)・・上顎が前に出てしまう
- 開咬・・上下の前歯が噛み合わない状態
- 顎の発育不全・・指が顎に不自然な圧力を加える
対処法
指しゃぶりをやめるための工夫として、指に苦味成分を塗る、代わりに安心感を与えるおもちゃを提供するなどの方法が考えられます。矯正治療が必要な場合は、歯科医師と相談して適切な時期に治療を行います。
2. 口呼吸
口呼吸は子供にとっても大人にとっても、良いものではありません。
普通、呼吸は口を閉じて鼻で行います。口を閉じていることで舌や頰などによりバランスが保たれ、歯並びが正しい位置に落ち着きます。しかし口で呼吸する口呼吸が癖になっているとこのバランスが崩れ、歯並びが悪くなる可能性があります。
子供の口呼吸を治すためには、口呼吸になっている原因を探ることが重要です。ただの癖かもしれませんが、アレルギー性鼻炎などにより鼻呼吸が難しいゆえ口呼吸になっていることもあります。その原因によってかかるべき医療機関が変わってきます。
また口呼吸は、口臭の原因にもなります。子供の口臭・口呼吸についてはこちらでまとめています。
原因
アレルギー性鼻炎や扁桃腺肥大が原因で鼻呼吸が困難になる場合、口呼吸が習慣化します。
影響
- 歯列全体の乱れ:舌の位置が下がることで、歯が外側に押される
- 顔つきの変化:顎が後退したり、口元が突出する可能性
- 虫歯や歯周病のリスク増加:口内が乾燥しやすい
対策
- 耳鼻科で鼻呼吸を妨げる要因を治療する
- 口閉じテープなどで寝ている間に口呼吸を防止
- 正しい舌の位置を教えるトレーニング
3. 舌を前に出す
前に出す癖に限らず、舌の癖はいくつかあります。
口の中における舌の正しい位置は、上の前歯の少し後ろ。舌を前に出す癖があることで、歯が舌に押され出っ歯や開咬になる恐れがあります。


舌を前に出す癖は無意識であることも多く、直すのは簡単ではありません。また歯列矯正を検討しているのであれば、先に舌の癖を直すべきです。舌の癖があるままだと、歯列矯正の効果が得にくいことがあります。
舌の癖を直すには歯科医院で舌のトレーニングを受けたり、時には専用の装置で直すこともあります。
原因
飲み込み方の癖が原因となり、舌を前に突き出すような動きが習慣化することがあります。
影響
- 前歯の開咬や出っ歯
- 発音の問題(特にサ行やタ行)
- 歯列矯正治療後の後戻り
対策
- 矯正歯科での「舌のトレーニング」(口腔筋機能療法)
- ストローや飲み物を使った練習で正しい舌の位置を学ぶ
4. 舌で前歯を押す癖
舌を前歯に押し当てる癖は、開咬の原因となります。この癖が続くと、上下の前歯がかみ合わず、食べ物を前歯で噛み切ることが難しくなり、咀嚼機能に影響を及ぼす可能性があります。
対処法
舌の位置を正しく保つために、口腔筋機能療法(MFT)を導入することが効果的です。舌の筋肉のトレーニングによって、正しい舌の位置を保つ習慣をつけることができます。
5. 唇を噛む癖
唇を噛む癖は、特に前歯の位置やかみ合わせに影響を与える可能性があります。唇を頻繁に噛むことで、前歯が前方に押し出されることがあり、出っ歯や開咬(前歯が閉じにくくなる状態)につながります。
対処法
唇を噛む癖が見られた場合、まずはその行動が無意識に行われていることを理解し、癖を直すためのサポートを行うことが大切です。場合によっては、歯科医師や矯正専門医によるカウンセリングが有効です。
6. 歯ぎしり(ブラキシズム)
歯ぎしりは、子供でも起こることがあり、特に成長期における歯や顎に負担をかけます。頻繁な歯ぎしりは、歯の摩耗や歯並びに悪影響を及ぼすことがあり、歯が正しい位置に生え揃わなくなる原因となります。
対処法
歯ぎしりの治療としては、ナイトガードの使用が有効です。また、ストレスが原因となる場合もあるため、リラックスできる環境を整えることや、適切な睡眠習慣をつけることも大切です。
7. 食べ物をよく噛まない
最近は加工食品の普及によりあごをしっかり使わなくても良い食べ物であふれています。よく噛まない癖がついていると、あごの発達が遅れることで歯が並ぶスペースが足りず、歯並びがガタガタになる恐れがあります。あごの発育にとって「よく噛むこと」はとても大切です。
✔︎食材の厚みや煮込み時間などを工夫する
✔︎食事中、飲み物の量を制限する
✔︎1つ食べたら箸を置き、30回噛ませる
など試してみると良いでしょう。食事中に飲み物を近くに置いておくと、食べ物をよく噛まずに水分で流し込む癖がついてしまうことも。量を決めて飲ませるなど工夫してみましょう。小さな子供だと、1回1回箸を置かせて30回噛ませる・・・というのは難しいかもしれません。
8. 頬杖やうつ伏せ寝
頬杖をつく癖やうつ伏せ寝は、顎に不自然な力が加わるため、顔や顎の骨格に歪みをもたらし、歯並びが悪くなる原因となります。片側だけに頬杖をつくことが多いと、顔の非対称性が生じる可能性もあります。
また子供は親や大人の真似をしたがります。親や周りの大人がしていることでそれを真似し、結果として癖になってしまうこと。自分たちも同じことをしていないか、見直す必要があるかもしれません。
原因
片方の頬に手をついたり、うつ伏せで寝る習慣は外部からの力が歯列にかかることが原因です。
影響
- 顎の左右非対称:片側の顎が発達しにくくなる
- 不正咬合:特定の歯が内側や外側に傾く
対処法
頬杖をつく癖は、意識的に正すことが重要です。家族や周囲の人が軽く注意を促すことや、姿勢を改善するトレーニングを取り入れることが癖を直す助けになります。
まとめ
子供の歯並びに影響を与える癖は、日常の些細な行動から生まれることが多いですが、そのまま放置すると大きな問題に発展する可能性があります。指しゃぶりや口呼吸、食べ物をよく噛まない癖など、それぞれの原因を理解し、早めに対処することで、健康的な歯並びと顎の発育をサポートできます。
大切なのは、お子さんの癖に気づき、家庭での対応をしっかり行うことです。定期的に歯科医院で診てもらったり、積極的に癖を見直していくことが大切です。