
インビザラインは装置が目立たない快適な治療方法ですが、すべての出っ歯を治せるわけではありません。軽度から中程度の出っ歯には効果的ですが、重度のケースでは他の治療法との併用が必要になることも。インビザラインによる出っ歯治療の可能性と限界についてご説明します。
▼インビザラインについて詳しくはこちらでまとめています。
https://matsumoto.or.jp/toothteeth/invisalign-cost/
目次
インビザラインで出っ歯は治るのか

結論から言うと、出っ歯はその状態や原因によってインビザラインで治すことができる場合とできない場合があります。
基本的には、出っ歯はインビザラインなどマウスピース矯正での改善が可能です。しかし出っ歯の状態が重度である場合などは、インビザラインのみでは難しく、ワイヤー矯正やブラケット矯正との併用が必要になることも。
インビザラインで治る出っ歯の条件
インビザラインは次のような条件が整っている場合、治療が可能です。
1. 軽度から中等度の出っ歯
- 歯の突出が軽度または中等度で、骨格に大きな異常がない場合、インビザラインでの治療が可能です。
- 歯を後方へ移動させるスペースが十分にある場合、アライナーによる力で改善が期待できます。
2. 歯の並びが比較的整っている場合
- 歯並びが極端に乱れていないケースでは、インビザラインのプランニングにより適切な力をかけることができます。
3. 患者さんの協力が得られる場合
- アライナーは取り外し可能であるため、1日20時間以上の装着が必要です。患者さんが指示を守ることで、計画通りに治療が進行します。
インビザラインで治らない出っ歯のケース
一方で、次のような場合にはインビザラインのみでの治療が難しいことがあります。
1. 重度の骨格的な問題
- 骨格性の上顎前突(上顎が下顎より大きく前方に突出している場合)は、インビザラインだけでは改善が困難です。
- 外科的矯正(顎矯正手術)との併用が必要になることがあります。
2. 歯の移動スペースが不足している場合
- 歯を後方へ移動するためのスペースが不足している場合、抜歯や歯列拡大が必要です。
- インビザラインでは対応できない場合、部分的にワイヤー矯正を併用することがあります。
3. 極端な歯列不正がある場合
- 出っ歯に加えて、歯列全体が乱れている場合、複雑な矯正力を必要とするため、ワイヤー矯正が優先されることがあります。
インビザラインのメリットと治療の限界
メリット
- 透明で目立たないため、日常生活に影響が少ない。
- 治療中でも歯磨きや食事がしやすい。
- デジタル技術を活用した精密な治療計画が可能。
治療の限界
- 強い力を必要とする歯の移動には対応が難しい。
- 骨格性の問題に対しては効果が限定的。
インビザラインでの治療を選ぶ際の注意点
インビザラインでの治療を選ぶ際には、治療の成功と満足度を高めるためにいくつかの重要なポイントを確認しておく必要があります。
歯科医師との相談が必須
出っ歯の程度や骨格の状態を診断し、インビザラインが適切かどうかを確認する必要があります。
- 詳細な診断が必要
インビザラインが適しているかどうかは、患者さんの口腔内の状態によって異なります。特に、出っ歯の程度が軽度か重度か、または骨格的な問題がないかを確認するためには、精密検査(歯列写真、X線撮影、iTeroなどのスキャン)が必要です。 - 経験豊富な歯科医師を選ぶ
インビザラインはデジタル技術を活用しますが、計画を立てる歯科医師の経験とスキルが治療結果に大きく影響します。矯正治療の経験が豊富な歯科医師を選ぶことが重要です。
治療計画の理解
クリンチェックと呼ばれるデジタルシミュレーションを通じて、最終的な仕上がりを確認し、現実的な期待を持つことが重要です。
- シミュレーションの活用
インビザラインでは、治療開始前に専用のソフトウェアで最終的な歯並びのシミュレーションを見ることができます。このシミュレーションを通じて、どのように歯が動くかを理解し、現実的な期待値を持つことができます。 - 計画通りに進めるための協力が必要
アライナーの装着時間を守らないと、計画通りに歯が動かない可能性があります。その結果、治療期間が延びたり、追加のアライナー作成が必要になることがあります。日々の自己管理が求められる治療法であることを理解しましょう。
費用と治療期間の把握
インビザラインの治療費は一般的なワイヤー矯正と同等かやや高額になる場合があります。
- 費用の詳細を確認
インビザラインの治療費は、一般的にワイヤー矯正と同等かやや高額になる傾向があります。歯科医院によって料金設定が異なるため、事前に治療費の内訳を確認し、見積もりを取ることをおすすめします。 - 治療期間の目安
軽度の出っ歯であれば1年以内で治療が完了することがありますが、複雑なケースでは2年近くかかる場合もあります。定期的なチェックやアライナー交換のスケジュールをしっかりと把握し、計画的に治療を進める必要があります。
出っ歯になっている原因

出っ歯になっている原因によって、インビザラインで治りやすい・治りにくいが変わってきます。
- 歯と歯の重なりが強く前歯全体が出っ歯になっている
- 骨格的に上あごが前に出ており出っ歯になっている
①歯と歯の重なりが強く出っ歯になっている
歯がきれいに並ぶためのスペースを抜歯により確保し、インビザラインなどのマウスピース矯正で歯並びを整えることにより、出っ歯は解消されます。
②骨格的に上あごが前に出ており出っ歯になっている
歯がきれいに並ぶためのスペースを抜歯により確保し、インビザラインなどのマウスピース矯正で歯並びを整えます。
ただしこの場合は、インビザラインにより歯をきれいに並べた後ワイヤー矯正(ブラケット矯正)も必要です。インビザラインのみでは骨格自体を変えることができません。また骨格的に下あごが小さいことで、出っ歯になっていることも多いようです。
インビザラインで治りやすい歯並び

インビザラインにはたくさんのメリットがあります。取り外し可能であるがゆえ、今後数年の予定や仕事を気にせず手軽に始められるのも魅力です。しかし手軽である分、インビザライン(マウスピース矯正)には限界があります。
✔︎開咬(上下前歯の間があいている)
✔︎上顎前突(出っ歯)
✔︎反対咬合(受け口)




インビザラインで治りにくい歯並び

インビザラインで治療が難しいケースをいくつかご紹介します。
深い噛み合わせ(過蓋咬合)
歯の噛み合わせが極端に深い場合、インビザラインでの治療は困難です。インビザラインは軽度から中等度の過蓋咬合には効果的ですが、重度の場合はワイヤー矯正や外科的矯正が必要になることがあります。
大きな歯の回転(回転歯)
前歯や犬歯が大きく回転している場合、インビザラインではその回転を十分に修正することが難しいです。軽度の回転であれば対応できますが、45度以上の回転があると効果的な治療ができない場合があります。
高度な歯の移動(押し込み・引き出し)
歯を大幅に押し込んだり、引き出したりする必要があるケースも、インビザラインでは治療が難しいことがあります。特に、奥歯の位置調整や大きな前歯の移動が必要な場合、ワイヤー矯正のほうが適しています。
開咬(かいこう)
奥歯を噛んだときに上下の歯に隙間ができる開咬の治療は、インビザラインでは難しいとされています。軽度の開咬には対応できることがありますが、重度の開咬にはワイヤー矯正や外科的なアプローチが必要です。
骨格性の不正咬合
骨の構造による噛み合わせの問題、例えば骨格性の受け口や上顎前突(出っ歯)は、インビザラインだけでは完全に矯正することができません。骨格的な問題は、外科的矯正が必要となる場合があります。
インビザラインなどマウスピース矯正だけでは、あごの骨格自体を治すことはできません。また、歯並びの程度によって歯を大きく動かす必要がある場合も、インビザラインなどのマウスピース矯正は適切ではありません。歯並びを治すのにとても時間がかかってしまうためです。
まとめ

インビザラインは、見た目に配慮しながら出っ歯を治すための効果的な選択肢です。ただし、その効果は出っ歯の原因や状態によって大きく左右されます。歯の位置が原因の出っ歯には高い効果を発揮しますが、骨格的な問題がある場合や大きな歯の移動が必要なケースでは限界があります。
矯正治療は数年かかるのが主で、歯科医師や歯科医院との長い付き合いになります。信頼できる歯科医師に、納得がいくまで相談して決めるようにしましょう。