今回は「ホワイトニングができない場合」についてまとめました。
ホワイトニングができない場合
ホワイトニングができる・できない人、できる・できない歯があります。
ホワイトニングができない方
- 子供(〜高校生)
- 妊娠中の方、授乳中の方
- 無カタラーゼ症の方
- 光線過敏症の方
①子供(〜高校生)
ホワイトニングにはいくつか種類がありますが、いずれも乳歯や生えたての永久歯に対する影響がはっきりわかっていません。そのため、ホワイトニングの対象年齢は、原則として18歳以上とされています。そのため歯の根が未完成の子供の場合はホワイトニングには向いていません。
②妊娠中の方
「歯を白くする」と書かれた市販の歯磨き粉などは使用可能です。しかし歯科医院で行う、オフィスホワイトニングやホームホワイトニングなどといったホワイトニングは、妊娠期、授乳期の女性は避けるべきです。
歯科医院で使用するホワイトニングを薬剤には、過酸化水素という成分が含まれています。一般の方の使用においては、過酸化水素の安全性が確認されています。しかし妊娠中の方や胎児への影響、授乳時の影響はまだ確認されていません。そのため安全とは言い切れず、妊娠中は控えるべきとされています。
妊娠中は美を追求してホワイトニング・・・よりも、日常的な歯磨きの方が圧倒的に重要です。歯磨きが不十分であることで歯周病や虫歯になってしまうと、それらの細菌はお腹の中の赤ちゃんにも感染する恐れがあります。歯周病は早産の原因になるというのは研究でも明らかになっています。
特に妊娠初期のつわりがある時は、歯磨きが十分にできないことが多いでしょう。歯磨き粉を使わずに磨いたり、磨けそうな時だけでも磨いたり、マウスウォッシュだけでも使うなど、妊娠中は少しでも工夫して、お口の中を清潔に保つよう心がけましょう。あと歯科医院でのクリーニングもおすすめします。
③無カタラーゼ症の方
※無カタラーゼ症とは?
過酸化水素を分解するカタラーゼが不足している病気。先天的な要因でケガをした時にオキシドールを塗っても泡が立ちません。
先述のとおり、歯科医院で使用するホワイトニングを薬剤には過酸化水素という成分が含まれています。過酸化水素は歯を白くしてくれますが、全身にとっても有益!というものではありません。そのため歯科医院でのホワイトニングと同じ成分のものは市販されておらず、歯科医師の監視下でのみ行うことができるのです。
そんな過酸化水素を分解してくれるのが「カタラーゼ」という酵素。この酵素が生まれつきない病気を無カタラーゼ症といいます。無カタラーゼ血症の場合過酸化水素を上手く分解できないので、過酸化水素を使用するホワイトニングは行うことができません。
④光線過敏症の方
オフィスホワイトニングでは光照射を行うため、光過敏症の方は口唇にやけどを起こしやすいので避けた方が良いです。
ホワイトニングができない歯
- 大きな虫歯や歯周病がある場合
- エナメル質、象牙質の成長が不十分な歯
- 詰め物、被せ物、差し歯など人工の歯
- 重度の知覚過敏歯、重度のテトラサイクリン変色歯は非適応症となります。
- メタルコア(金属の土台)や、アマルガム(水銀の小さなかぶせもの)の金属修復物から、金属イオンが溶出することにより生じた変色や残っている歯が少ない場合。
①大きな虫歯や歯周病がある場合
歯科医院でホワイトニングを行う前には、お口の中全体のチェックを行います。ホームホワイトニングをする際も、はじめに自分専用のマウスピースを作るために来院が必要です。そのためお口の中のチェックは行ってもらえるでしょう。
そのチェックの際に大きな虫歯や歯周病が見つかった場合は、先に虫歯・歯周病の治療を優先します。ホワイトニングはあくまで「見た目を良くするために行う」ものであり、虫歯や歯周病と比較すると優先度は高くありません。特に歯周病は全身の健康にも関わってくる病気です。それらの治療が完了してから、ホワイトニングを行っていきます。
また虫歯や歯周病は基本的に、歯磨きがおろそかであることから起こります。そのような状態でホワイトニングを優先できたとしても、すぐに色の後戻りが起きるでしょう。歯磨き習慣・技術が確立していて、さらにワンステップ上に行くのがホワイトニングです。
②エナメル質の成長が不十分な歯
何らかの原因によって、エナメル質(歯の表面)の成長が不十分なことがあります。
エナメル質形成不全の原因
エナメル質の形成不全は種々の原因で生じ、遺伝性のエナメル質形成不全症では、乳歯および永久歯のすべての歯に形成不全が起こりますが、これはかなり稀な疾患です。
一方、歯が顎の骨の中で形成される時期に何らかの問題が起こると歯の形成不全が生じることがあり、これは全身的な原因(栄養不良や全身的な病気など)で起こることもあれば、局所的な原因(外傷や顎顔面の炎症・感染など)で起こることもあります。
エナメル質形成不全歯は、歯質が欠けていたり石灰化が不全なため、むし歯になるリスクが高く、また、一旦むし歯になると進行が速いことが危惧されます。
引用 赤ちゃん&子育てインフォ
エナメル質の成長が不十分なのに歯科医院でホワイトニングを受けると、歯の神経が刺激により強い痛みを感じたり、ホワイトニング効果が得られなかったりします。
そのためエナメル質形成不全症の方はホワイトニングを受けることができません。また何らかの原因でエナメル質にヒビが入っているという人も、ホワイトニングは避けた方が良いとされています。ホワイトニングの薬剤で歯全体を傷めてしまうことがあるためです。歯科医師に相談してみましょう。
③詰め物、被せ物、差し歯など人工の歯
人工歯はホワイトニングしても効果がありません。それよりも歯のクリーニングが着色には効果があります。
歯科医院で行うホワイトニングも自宅で行うものも、詰め物や被せ物、ブリッジ、インプラントといった人工歯に対しては効果が見込めません。ホワイトニングの薬剤は「神経が生きている天然の歯」のために作られたものだからです。 最近はメーカーによっては歯の表面の汚れや着色を浮かせる作用のあるものもあります。
まずは、詰め物や被せ物など人工歯を白くしたい場合は、歯科医院でクリーニングをしてもらい表面の着色を除去するか、好みの白さのものに取り替える(=作り直す)と良いでしょう。
ホワイトニングができない場合まとめ
見た目の良さや清潔感を生むために人気のホワイトニング。ただ歯科医師や歯科衛生士からストップをかけられる場合もあります。これは患者さんの安全を考慮した上でのこと。市販のホワイトニング用品などであれば、歯科医院でのホワイトニングほど効果は感じられませんが、歯の着色やくすみ程度なら落とすことができます。それらを利用してみましょう。
監修
歯科衛生士 坂上明美
医療法人真摯会
クローバー歯科クリニック
まつもと歯科
【所属学会】
日本歯周病学会
日本審美歯科学会
日本医療機器学会
日本アンチエイジング歯科学会
【資格】
スイスデンタルアカデミーエキスパート
第2種滅菌管理士
ホワイトニングコーディネーター
デンタルコーディネーター