今回は「歯周病ケアの歯磨き粉」について書いていきたいと思います。
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歯周病ケア用歯磨き粉の効果
歯周病ケア用の歯磨き粉は、歯茎の健康を保ち、歯周病の予防や進行を防ぐために特別に設計されています。これらの歯磨き粉には、一般の歯磨き粉と異なる成分が含まれており、次のような効果が期待されます。
1. 抗菌作用
歯周病の主な原因は、歯茎や歯周ポケットに蓄積する歯垢や細菌です。歯周病ケア用の歯磨き粉には、抗菌成分が含まれており、これらの細菌を抑制する効果があります。代表的な抗菌成分には以下のものがあります。
- トリクロサン・・細菌の増殖を防ぎ、歯茎の炎症を抑える効果が期待されます。
- イソプロピルメチルフェノール(IPMP)・・歯周ポケット内の細菌を殺菌する効果があり、歯周病の進行を防ぎます。
2. 炎症の抑制
歯周病の症状である歯茎の腫れや出血を抑えるために、抗炎症作用のある成分が含まれていることが多いです。これにより、歯茎の健康が回復しやすくなります。
- アラントイン・・歯茎の炎症を抑制し、治癒を促進する効果があります。
- グリチルリチン酸・・歯茎の炎症を和らげ、歯茎を健やかに保ちます。
3. 歯茎の引き締め効果
歯周病が進行すると、歯茎が腫れたり、歯と歯茎の間に隙間(歯周ポケット)ができやすくなります。歯周病ケア用の歯磨き粉には、歯茎を引き締める成分が含まれていることがあり、歯周ポケットを小さくするのに役立ちます。
- 塩化ナトリウム・・歯茎の引き締め効果を発揮します。
4. 歯垢や歯石の形成を抑制
歯周病の予防には、歯垢が歯石になるのを防ぐことが重要です。歯周病ケア用の歯磨き粉には、歯垢の形成を抑制する成分が含まれており、歯石の蓄積を防ぎます。
- フッ素・・虫歯予防の効果があるだけでなく、歯周病の原因となる歯垢を防ぐ作用もあります。
5. 口臭予防効果
歯周病が進行すると、口臭が発生しやすくなります。歯周病ケア用歯磨き粉には、口臭を抑える成分も含まれており、口腔内を清潔に保つことで、歯周病による口臭を防ぐことができます。
- メントール・・爽快感を与えるだけでなく、口臭の原因を抑える効果があります。
- 亜鉛化合物・・口臭の原因となる硫黄化合物を中和し、口臭を防ぎます。
6. 予防的ケアの補助
歯周病ケア用歯磨き粉は、すでに進行している歯周病の治療を助けるだけでなく、歯周病の予防にも効果的です。毎日の歯磨き習慣に取り入れることで、歯周病のリスクを軽減し、健康な歯茎を維持することが可能です。
歯周病予防・ケア・治療中歯磨き粉のおすすめ
- コンクールシリーズ(ウエルテック)
- システマSP-Tシリーズ(ライオン)
1. コンクールシリーズ(ウエルテック)
歯科界で知らない人はいない、ウエルテックの「コンクール」シリーズ。
歯茎トラブルに特化。コンクールリペリオ
歯茎トラブルに特化した歯磨き剤です。歯磨き粉というよりはジェル状。そのため歯磨き剤としてだけでなく、歯茎トラブルの気になる部分に塗り込む、歯茎マッサージ剤としても使うことができます。細胞の活性化・血行促進により歯茎など歯周組織の回復を促します。
「歯周病の予防」というよりは、すでに歯周病の診断を受けていたり中〜重度の歯周病の方におすすめです。
コスパ・効果抜群!コンクールF
こちらは虫歯・歯周病予防に効果的な洗口液です。少量の水にコンクールF数滴を滴下し、口をすすぐだけで長時間・高い殺菌力が持続します。
コンクールFは他のマウスウォッシュと違ってピリピリしません。そのためしっかりすすぐことができ、高い殺菌効果と適度な爽快感が持続します。
また濃縮タイプであるため、1本で360〜700回うがいができるというから驚き!1日1回のうがいであれば1年持ちますね。継続が大切な歯周病ケアにとってはありがたいです。
仕上げに歯の面をコーティング。ジェルコートF
こちらも歯磨き粉というよりは「歯磨きジェル」です。歯周病ケアにとって重要である歯磨きに、じっくり時間をかけられるようジェル状になっています。ジェル状であることで泡立ちにくく、唾液も出すぎず・・・余計なことを気にせず時間をかけてしっかり歯を磨くことができます。
また研磨剤も配合されていません。時間をかけて磨いても、歯や歯茎が傷付きにくいです。
こちらのジェルコートFは殺菌成分が歯周病の原因である歯垢(プラーク)を除去します。先述のコンクールリペリオは細胞の活性化・血行促進により歯茎の回復を助けます。
歯周病の治療を始めたばかりであればリペリオを使用し、治療とともに症状が落ち着いてきたらジェルコートFに移行するというイメージです。歯科医院でも相談してみると良いでしょう。
またジェルコートFは、「歯磨き後のフッ素コート」としても使うことができます。歯磨きをした後、仕上げにジェルコートFを歯の面全体に行き渡らせ1回だけ軽くうがいをします。これにより歯の面がコーティングされ、虫歯発生の予防、口臭の防止にも繋がります。
2. システマSP-Tシリーズ(ライオン)
歯周病に特化。SP-Tジェル
先出のジェルコートFと同様、じっくり磨けるようジェル状であり研磨剤が入っていません。またジェルの粘性が高く、トラブルの起こっている歯茎や歯周ポケットに薬用成分が長くとどまります。
また歯周病に特化した歯磨き粉であり、市販されていて購入しやすい点もメリットとして挙げられます。
先出のジェルコートFはドラッグストアでは見かけず手軽さではこちらに劣ります。しかしコンクールシリーズを採用している歯科医院・病院はかなり多く、それだけ歯の専門家には信頼されていると言えます。
仕上げにうがいで歯周病ケア。SP-Tメディカルガーグル
こちらは歯周病ケアのためのマウスウォッシュです。SP-Tジェルで全体を磨いた後や、就寝前などに使用すると良いでしょう。殺菌効果だけでなく、口臭の除去にも効果的です。
歯磨き粉の必要性
歯垢(プラーク)を落とすのはあくまで歯ブラシです。歯ブラシで物理的にこすることで、歯周病の原因である歯垢(プラーク)が落ちます。歯磨き粉はあくまでそれを手助けするもの。歯磨き粉を使わないからといって、歯垢(プラーク)が落ちにくくなる・・・ということはありません。歯磨き粉をつけずに歯磨きしていて、ほぼ完璧に磨けている患者さんも実際にいらっしゃいます。
しかし歯磨き粉は、歯周病や虫歯の予防・ケアに効果的なのも事実です。そのため、歯磨き粉は使わなくてもOKですが使った方がより良いです。値段も数百円のものが多く、どこででも手に入りやすいです。そのため、患者さんに歯磨き粉を使うか使わないかどちらが良いか聞かれたとき、私は「使った方が良い」とお伝えしています。
歯周病ケア用歯磨き粉の効果
歯周病予防を主に謳っている歯磨き粉は、歯茎を引き締める成分や殺菌に効果的な成分が含まれています。ゆえに歯茎の腫れ、出血、口臭、歯茎のかゆい感じなどといった、歯周病の症状を緩和させる効果があります。
「虫歯予防」などを大きく謳っている歯磨き粉は、「歯周病予防」と謳っているものよりも歯茎に対しては効果が感じにくいかもしれません。しかし虫歯予防にしても、目的は原因となりうる歯垢(プラーク)を落とすことにあります。
また先述のとおり、歯磨き粉はあくまで清掃による効果を手助けするもの。ゆえに歯磨き粉が歯周病用でないから歯周病が治らない・・・ということはないです。
まとめ
歯周病の予防、ケア、治療のためのおすすめの歯磨き粉として、ウエルテックの「コンクール」シリーズとライオンの「システマSP-T」シリーズが挙げられます。コンクールシリーズは歯茎トラブルに特化しており、中~重度の歯周病の方に推奨される商品群です。コンクールリペリオは歯茎マッサージ剤としても使え、コンクールFは殺菌効果のある洗口液、ジェルコートFは歯をコーティングするジェルです。
一方、システマSP-Tシリーズは市販されており購入しやすいです。SP-Tジェルは歯磨き粉、SP-Tメディカルガーグルはマウスウォッシュとして用いられます。歯磨き粉は物理的な歯垢の除去を手助けする役割があり、その使用は歯周病や虫歯の予防・ケアに効果的です。