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歯並び・歯列矯正

矯正治療中の歯磨きのコツとは?効果的に磨くためのポイント

矯正治療中の歯磨きのコツとは?効果的に磨くためのポイント

矯正治療中の歯磨きには通常とは異なる注意点があり、しっかりとコツを押さえることで、虫歯や歯肉炎を防ぎながら治療を進めることができます。矯正装置ごとに適した歯磨き方法がありますので、矯正治療中でもしっかりとお口の中を清潔に保つための歯磨きのコツについてご説明します。

なぜ矯正治療中の歯磨きは難しいの?

 

歯磨き矯正治療では、ワイヤーやブラケット、マウスピースなどの装置を使用します。これらがあることで、歯磨きがしづらくなる主な理由は以下の通りです。

  • ワイヤーやブラケットが歯の表面を覆っている → 歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすい。
  • 食べかすが装置に引っかかりやすい → 特に細かい食べ物が装置の間に残りやすく、歯垢がたまりやすい。
  • マウスピース矯正では装着時間が決まっているため、歯磨きのタイミングが重要 → しっかりと汚れを落とさないと、マウスピースの内側で菌が増殖する可能性がある。

このような理由から、矯正治療中は普段以上に丁寧な歯磨きが必要になります。

矯正治療中に歯磨きを怠るとどうなる?

「少しぐらい磨かなくても大丈夫…」と思っていると、矯正治療中は特に以下のようなリスクが高まります。

  • 虫歯になりやすい → 矯正装置の周りに歯垢がたまりやすく、虫歯の原因になってしまいます。
  • 歯肉炎や歯周病になりやすい → 歯茎に炎症が起きると、腫れたり出血したりすることも。
  • 矯正治療の進行に影響が出る → 虫歯や歯周病が進行すると、治療を一時中断する必要があり、予定通りに進まないことも。

そのため、矯正治療中は通常以上にしっかりと歯磨きを行うことが大切です。

矯正治療中の歯磨きの基本ルール

歯磨き

矯正治療中は、以下のポイントを意識して歯磨きを行いましょう。

  • 毎食後に必ず歯を磨く → 食べ物が装置に挟まりやすいため、食後はなるべく早く磨くことが重要。
  • 正しい歯ブラシを選ぶ → 矯正専用の歯ブラシや、毛先が細かいタイプを選ぶと磨きやすい。
  • 補助的なアイテムを活用する → デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と装置の間の汚れを落とす。
  • 優しく、丁寧に磨く → 強く磨きすぎると歯茎が傷つくため、優しく小刻みに動かすことがポイント。

毎日の歯磨きをこの基本ルールに沿って行うことで、矯正治療中でも清潔な口腔環境を保つことができます。

矯正中のおすすめ歯磨きタイミング

歯磨き

→ 朝食後にしっかり磨く
→ 食後に軽くブラッシング(できる範囲でOK!)
→ 最も大事!丁寧にフロス&仕上げ磨き

矯正装置別の歯磨き方法

矯正治療にはさまざまな種類の装置があり、それぞれ適した歯磨き方法が異なります。ここでは、ワイヤー矯正・マウスピース矯正・裏側矯正(リンガル矯正)の3つに分けて、より具体的に解説します。

① ワイヤー矯正(表側矯正)の場合

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを使用するため、歯の表面に多くの凹凸ができ、食べ物が詰まりやすい特徴があります。そのため、以下のようなポイントを意識して歯磨きを行いましょう。

ワイヤー矯正の歯磨きのポイント

1. 歯ブラシの角度を意識する
  • ブラケットの上側・下側・正面の3方向から歯ブラシを当てる。
  • 45度の角度でブラシを当て、小刻みに動かして磨く。
2. ワイヤーの下をしっかり清掃する
  • 歯ブラシの毛先をワイヤーの下に差し込むようにして、汚れを掻き出す。
  • 歯間ブラシを活用するとより効果的!
3. ブラケットの周りは円を描くように磨く
  • 毛先を使って小さな円を描くようにすると、歯垢を効果的に除去できる。
4. 仕上げにデンタルフロスや歯間ブラシを使用する
  • 普通のフロスが使いにくい場合は、スーパーフロス(硬い部分があるフロス)を使うと便利。

ワイヤー矯正の歯磨きに役立つアイテム

  • 矯正専用の歯ブラシ(V字カット) → ブラケットを挟むように磨きやすい。
  • 歯間ブラシ → ワイヤーの下や歯と歯の間の汚れを効果的に落とせる。
  • スーパーフロス → 硬い部分をワイヤーの下に通しやすい。

ワイヤー矯正は特に歯垢がたまりやすいので、歯ブラシと補助アイテムを組み合わせて、しっかりとケアすることが大切です。

矯正治療中の歯の管理 日本成人矯正歯科学会(JAAO)

  • ブラケット装着時の清掃の難しさと、適切なブラッシングができないと**ホワイトスポット(歯の脱灰)が発生する可能性を報告。
  • 歯間ブラシや矯正用フロスの活用を推奨し、歯と装置の境目を意識した清掃の重要性を解説。

② マウスピース矯正(インビザラインなど)の場合

インビザライン

マウスピース矯正はワイヤーを使用しないため、一見すると歯磨きが楽そうに思えますが、実は食後に歯磨きを怠ると、マウスピースの中で細菌が繁殖しやすくなるというリスクがあります。しっかりと歯磨きをして、清潔な状態を保ちましょう。

マウスピース矯正の歯磨きのポイント

1. 食事のたびに歯を磨いてからマウスピースを装着する
  • 歯を磨かずにマウスピースを装着すると、マウスピース内に汚れが閉じ込められ、虫歯や歯肉炎の原因になる。
  • 外食時も携帯用歯ブラシを持ち歩くと安心!
2. マウスピース自体も清潔に保つ
  • ぬるま湯で軽くすすぐ(熱湯は変形の原因になるためNG)
  • 専用の洗浄剤を使用する
  • 歯ブラシで軽くこすって汚れを落とす(研磨剤入り歯磨き粉は避ける)
3. フロスや歯間ブラシで隙間の汚れも除去する
  • マウスピース矯正でも歯間の汚れはしっかり取る必要があるため、デンタルフロスを活用する。

マウスピース矯正の歯磨きに役立つアイテム

  • コンパクトサイズの歯ブラシ → 外出先でも手軽に歯磨きができる。
  • マウスピース用の洗浄剤 → 着色や細菌の繁殖を防ぐ。
  • デンタルフロス → 歯の間の汚れをしっかり除去できる。

マウスピース矯正では、「歯もマウスピースも清潔に保つことが大事!」ということを忘れずにケアしましょう。

矯正治療と歯周病リスク 日本歯周病学会(JSPP)

・矯正治療中の不十分なブラッシングが歯肉炎を引き起こしやすいと報告。
・歯肉炎予防のために、軟らかめの歯ブラシを使い、歯ぐきをマッサージするように磨くことを推奨。

③ 裏側矯正(リンガル矯正)の場合

裏側矯正は歯の裏側に装置がつくため、見た目には目立ちませんが、歯磨きの難易度が非常に高い矯正方法です。通常の歯磨きでは届きにくいので、専用のアイテムを活用しながら丁寧に磨くことが重要です。

裏側矯正の歯磨きのポイント

1. 歯ブラシの角度を工夫する
  • 下から上に向かって磨くようにすると、装置の裏側にしっかり毛先が届く。
  • 小さな動きを意識して、ゆっくりと磨く。
2. タフトブラシを活用する
  • 普通の歯ブラシでは届きにくい部分をピンポイントで磨くことができる。
3. フロスや歯間ブラシを使って装置の周りを清掃する
  • 裏側矯正では、特に歯の隙間に汚れが溜まりやすいため、フロスや歯間ブラシが必須。
4. 鏡を見ながら丁寧に磨く
  • 歯の裏側は見えづらいため、手鏡などを使いながら丁寧にチェックすることが大切!

裏側矯正の歯磨きに役立つアイテム

  • タフトブラシ → 裏側のブラケット周りを磨くのに最適。
  • デンタルフロス(糸通しタイプ) → ワイヤーの下を通して、隙間の汚れを取る。

裏側矯正は通常よりもケアが難しいですが、専用のアイテムを駆使することでしっかりと清潔に保つことができます。

このように、矯正装置の種類によって歯磨きの方法は異なります。それぞれの特性に合わせた正しいケアを行い、矯正治療をスムーズに進めていきましょう!

便利な歯磨きアイテムを活用しよう

歯磨き

矯正治療中は通常の歯ブラシだけでは不十分なことが多いため、次のようなアイテムを活用すると効果的です。

  • 矯正専用歯ブラシ → 小さめのヘッドで、ブラケットの周りを磨きやすい。
  • 歯間ブラシ → ワイヤーの下や、歯と歯の間の汚れを落とすのに便利。
  • デンタルフロス(スーパーフロス) → 硬めの部分があるフロスなら、ワイヤーの下を通しやすい。
  • 電動歯ブラシ → 細かく振動するため、手磨きよりも効率的に汚れを落とせる。

これらのアイテムを適切に使うことで、矯正装置があっても清潔な状態を保つことができます。

歯科医院での定期的なケアも大切

診察

自分での歯磨きだけでは取り切れない汚れもあるため、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることも重要です。

  1. プロによる歯のクリーニング
  2. 矯正装置のチェック
  3. 歯磨き指導で正しい方法を再確認

定期的な健診を受けることで、虫歯や歯周病を予防しながら、矯正治療をスムーズに進めることができます。

まとめ

矯正治療中は、プラークが溜まりやすく、虫歯・歯肉炎のリスクが高まるため、特別なケアが必要と各学会が報告しています。

矯正治療中の歯磨きは、普段よりも手間がかかりますが、正しい方法を実践すればしっかりと歯を守ることができます。

  1. 矯正装置に合わせた歯磨きを行う
  2. 歯間ブラシやデンタルフロスを活用する
  3. 歯科医院での定期的なクリーニングを受ける

毎日のケアを徹底して、健康な歯を守りながら矯正治療を進めていきましょう!

この記事の監修者
医療法人真摯会 まつもと歯科
理事長 歯科医師 総院長 松本正洋
1989年国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。日本抗加齢医学会 認定医。日本歯周病学会。

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