
虫歯や歯周病は家族間やパートナー間で親密な接触を通じて菌がうつる可能性があるため、実は予防がとても重要です。特に、赤ちゃんや小さな子供は感染のリスクが高く、親が注意を払うことが不可欠です。虫歯・歯周病がどのように感染するのか、その予防法についてご説明します。
虫歯・歯周病はうつるもの?

虫歯への感染
- ミュータンス菌が主な原因菌で、唾液を通じて人から人へ伝わることがある。
- 家族内感染が多く、特に親から子供への感染が一般的です。たとえば、食器の共有や親が子供の食べ物を噛み砕いて与えるなどの行為がリスクとなる。
- 特に乳歯が生え始める時期に、菌の影響を受けやすくなるため、早期の予防が大切。
歯周病への感染
歯周病は細菌感染によって起こるもの。そのためうつることがあり、うつされることもあります。ただ、歯周病菌が口の中に入っても、必ずしも歯周病を発症するとは限りません。
- プラーク中の細菌・・歯周病を引き起こす原因菌(ポルフィロモナス・ジンジバリスなど)は、口腔内のプラーク中に多く存在し、唾液や接触を通じて他者に移る可能性がある。
- パートナー間の感染リスク・・夫婦や恋人など、親密な接触をする相手に感染が広がるケースも報告されています。
虫歯や歯周病がうつるメカニズム
1. 口腔内の細菌がうつる
虫歯や歯周病の原因となる細菌は、唾液を介して他人に伝わる可能性があります。例えば、以下のような行動がリスクを高めます。
- 同じ食器やカトラリーを共有する
- 親が子どもに食べ物を口移しする
- キスや口元の接触
2. 細菌の影響と感染
虫歯の原因となるミュータンス菌や歯周病の原因となる歯周病菌が、新しい宿主の口腔内に定着すると、その人の口腔環境に悪影響を及ぼします。その結果、虫歯や歯周病が進行しやすくなります。
日常生活で気をつけるべきポイント
1. 衛生管理の徹底
- 家族間でも、歯ブラシやタオルを共有しないようにしましょう。
- 使用後の食器やカトラリーはしっかり洗浄し、必要に応じて熱湯消毒を行うと効果的です。
- 小さな子どもがいる家庭では、親が食べ物を噛んでから与えることは避けましょう。
2. 正しい歯磨きの習慣
- 一日2回以上、フッ素配合の歯磨き粉を使って歯磨きを行いましょう。
- 子どもには仕上げ磨きを行い、細菌が増殖しやすい部分をしっかりとケアします。
- 歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、歯と歯の間の歯垢を取り除きましょう。
3. 定期的な健診
- 家族全員で歯科健診を定期的に受けることが重要です。
- 虫歯や歯周病の早期発見・早期治療に努めましょう。
- 専門的なクリーニング(PMTC)を定期的に受けることで、口腔内の細菌を効果的に減らすことができます。
虫歯・歯周病が【赤ちゃん・子供へ】うつるとは?
うつりやすい時期
虫歯・歯周病が最もうつりやすいのは、2歳前後と言われています。ちょうど子供の歯が生えそろう頃ですね。この時期に虫歯菌・歯周病菌がうつらなければ、その後も虫歯になりにくいとされています。この時期は特に注意しましょう。
どうやってうつる?
元々ヒトは、虫歯菌・歯周病菌いずれも持っていません。特に赤ちゃんがそうです。しかし母親や父親など、生まれてきた後に周囲の大人から虫歯菌・歯周病菌をもらってしまうことがあります。
- 口をつけた食べ物を赤ちゃんにあげる
- スプーンなど食器の共有
- 赤ちゃんの口にキスをする
パパやママが気をつけていても、義父や義母がやってしまうこともあるので注意が必要です。
虫歯・歯周病をうつさないために
感染のリスクを減らすためのポイントは以下のようなものです。
- スプーンやお皿、お箸など食器を別々にする
- 親が子供の口に直接食べ物を与えない
- 赤ちゃん・子供の歯磨きをしっかり行う
- 親も虫歯や歯茎の腫れがあったら治療を受ける
義母・義父にやめてもらう効果的な方法
最も伝えやすく、効果的な方法は
だと思います。ママさんたちが立場上義母・義父に言いにくいお気持ち、すごくわかります。加えて怒りっぽい、聞く耳を持たない・・・など義母・義父の性格によって言いにくいこともありますよね。
しかし歯科医院のパンフレットであれば、歯のプロ・歯科医師が言っていることですから、義母・義父も受け入れざるを得ないでしょう。「こないだ歯医者に行ったらこう言われたんです。赤ちゃんの今後のためにも、これらを守っていこうと思って」などと伝えれば受け入れてくれるかもしれません。 義母・義父が怒りっぽかったり聞く耳を持ってくれない場合は、「自分たちの時はAだったからAが正しい」という考え方が根底にあります。
そのため「こうしてくださいお願いします」よりも「私はこうしていこうと思います」の方が良いでしょう。その背景に歯のプロ・歯科医師が見えれば、「正しい情報なんだ、協力しよう」となるはずです。
もし自分が言いにくい立場なだけで、話を聞いてくれる義母・義父なのであれば、赤ちゃん・子供を歯医者に連れて行くときに一緒に来てもらっても良いでしょう。上記のようなNG行為を歯科医師が直接言ってくれれば、行動に移してくれる可能性が高いです。
虫歯・歯周病が【大人(パートナー)】にうつる

大人は赤ちゃん・子供と比べて、他人の虫歯はうつりにくいです。実際、子供でも3歳以降は虫歯菌がつきにくくなるという研究結果も出ています。そもそも他人から虫歯菌をもらったとしても、必ず虫歯を発症するとは限りません。
歯周病に関しても同様。大人同士でうつることはありますが、歯周病菌をもらったからといって必ず歯周病を発症するとは限りません。少なからず、歯周病の主な原因は歯垢と言われる歯の汚れです。自分自身が正しいケアを行っていないと、恋人と触れたときや回し飲みをしたときなど、歯周病がうつって発症する可能性が高まるでしょう。
歯ブラシの共有などをしてしまった時は
気持ちを落ち着かせるためにもまずは新しい歯ブラシに交換しましょう。また繰り返さないように、似たデザインは避けたり設置場所の工夫をしましょう。ちなみに、歯磨き粉やコップなどの共有程度では、大人同士では歯周病菌はうつりにくいと思います。
先述の通り、歯周病菌をもらったからといって必ず歯周病を発症するとは限りません。自分の口腔内状況が元々悪ければうつりやすいかもしれません。
いずれにしろ、歯周病菌をもらってしまった場合は今まで以上にしっかり歯を磨き、生活に気を遣って様子を見ましょう。元々歯周病菌がいたり、歯茎の状態が完璧ではなかった場合もあります。このようなことが起こった時のためにも、普段からしっかりケアを行うことが大切です。
口臭がうつることはあるの?
口臭自体がうつるというよりは、歯周病がうつって口臭につながる・・・ということは考えられます。それを感じてからしっかり歯磨きをしても良くならない・・・という場合は歯科医院で診てもらいましょう。
虫歯・歯周病を大人(パートナー)同士うつさないために
自分ひとりだけが一生懸命ケアしていても、パートナーが歯周病にかかっていては意味がありません。また歯周病は口臭の原因となります。自分のためにもパートナーのためにも、ふたりで一緒に歯周病ケアを行っていくことが大切です。
まとめ

虫歯や歯周病は、感染を通じて人から人へうつる可能性があります。しかし、適切な予防とケアを行えば、そのリスクを大きく減らすことが可能です。特に、赤ちゃんや子供への感染予防には親の協力が不可欠であり、大人同士でもパートナーと一緒にケアを進めることが重要です。もし感染が気になる場合は、歯科医院で専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。